路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

ヤドカリの流儀

2013-11-04 | ★ほんの日常







以前、可愛い三毛猫姉妹の『きき』と『らら』を

ベランダで保護しているおばあちゃんに出会った。



おばあちゃんはあらゆる知恵を絞って

ベランダから直接水をあげるシステムを作ってみたり

使わなくなったプラスチック製の食器乾燥機で

簡易小屋をベランダに設置して三毛猫姉妹の為、

あの手この手で頑張っていた。

ベランダ下には猫達の為に段ボールハウスまでこさえていたのだが

いつも『ヤドカリ』が何食わぬ顔で占拠しているので

通りすがりの私に杖を渡しながら、

「その猫、これで追っ払って!」と

かなり物騒な依頼をしたこともあった。(勿論、やらなかったけど)



が、しかしつい先日

『ヤドカリ』の姿が遠くに見えたので

写真に納めようと近付いた所、

『ヤドカリ』はカリカリとしっとりウェットタイプの缶詰が

混入された素敵なディナーを頂いていた。

「あれ?手の込んだご飯貰って、良かったね」と

声を掛けつつ写真を撮っていると

片手に猫のご飯を入れた皿と箸を握り締めた例のおばあちゃんが

ひょっこり現れた。

私の顔をみるなり、おばあちゃんの文句が始まった。

「この猫は、贅沢者やけー。カリカリだけやと食べんとよ。

 わたしゃ背中が痛くて重たい荷物は持てんとに、ほら、缶詰は重かろうが。

 病院にも行かないかんし、大変ったいね。こげんして朝も夕も

 顔見たら鳴くもんけん、ご飯やらないかんやろ……家にも猫がおってな……。」



お話しは延々と続く愚痴になっていった。




しかし、…おばあちゃんはこの猫が『ヤドカリ』だとは

気付いていないらしい。

つい噴出しそうになったのだが、一応真面目な顔をして聞いていた。

多分、私の受け答えなどどうでも良くて

ただ誰かに話しを聞いて欲しかったのだろう。






世の中には己のご贔屓や

損得勘定に関わる相手によって態度をコロコロと変える人間がいる。

しかし、『ヤドカリ』は誰に対しても同じ態度と姿勢で生きている。

その姿がなんとも素敵で、

何故か「お得」(御徳)に見えたのは言うまでもない。











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2 コメント

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Unknown (Anooshka)
2013-11-09 21:34:52
まあ、可笑しくも
心暖まるお話でした。

ヤドカリ君はヤドカリ君らしく
生きているわけですね。

返信する
anooshkaさんへ (rojineko-lily)
2013-11-09 22:38:46
可笑しい話ですよね。
多分、おばあちゃんは猫好きに間違いないんですよ。
文句を言いながらもしんどいのに猫の為に缶詰買ってしまうんですから。笑。
返信する

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