~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No30 円高・株安は調整か?反転か?・・海外筋次第の短期相場の怖さ

2005年12月20日 | 投資・運用
日経12/17第3面 ・・・円安・株高の流れが反転、円高・株安が進んだ。FRBが出した声明の微妙な変化で、米国の利上げ局面の終了が近づいたとの観測が広がり一気にドル売り円買いに動いた。為替相場の急変を警戒するヘッジファンドなどが日本株に過度に傾けた投資配分の見直しに動いた。(論旨抜粋)

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当ファイルNo26,No27で円安は実効レート的に見てすでに危険水域、株高は海外筋が何かのキッカケで一気に逃げ足早く売りに走る恐れが強い、と書いてからわずか10日たらずで調整局面(あるいは反転)が来てしまいました。大きく派手なアオリ見出しより小さく見過ごしがちなベタ記事の重要性を再認識する、よい証明例となりました。

とくに円安に関しては10日前の当ファイルで、日本の量的緩和策解除の動きが本格化したとき日米の金利差縮小が意識され一気に円売りが始まるのではと考えましたが、実際には米国の利上げ打ち止め観測が意識されたとたん海外勢が反応しています。金利差自体は当分縮まりません。

これが何を意味するかというと、それだけ海外投機筋の動きが速いということ。いわゆる“市場織り込み”時期ペースが年々早まってきているような気がします。

慌てて損切りなど売りに走らざるを得ないのは国内投資家です。一気の仕掛けはいつも、ヘッジファンドをはじめとした海外筋と決まっています。追従型トレンドに流されやすい日本人たちをあざ笑うかのような動きに一番苦汁を飲まされるのは投資暦の浅い庶民投資家。円も株も単なる調整局面なのか、反転のターニングポイントなのか、個人投資家は固唾を飲んでウォッチするほかありません。両方とも海外筋に主導権を握られているからです。

とくにここ半年で10倍に膨れ上がったというインターネットFX取引(為替証拠金取引)をしている方達はこのような急転局面でレバレッジに苦しむことも多いかと思います。

為替のプロがある講演会で「プロでも難しいのに、個人投資家が為替証拠金取引をするのは正気の沙汰とは思えない」とコメントされたという話を聞きました。

すごく単純に考えて、ドルをレバレッジ1倍で買い持ちしていたとして今回の数日間の下落(121円→115円)は現在の日経平均株価が一気に800円下がるのに等しい下落率ですが実際にはレバレッジを10倍・20倍にするわけですからどれぐらいハイリスクかは推して知るべしです。

増して為替の急変は予測がつきません。専門家の予測も、事後で彼らのコメントを思い返すと、的外れな占いや予言に近いノリさえ感じてしまうことがあります。個人投資家が過去よく当たった予言者(失礼!)の言動を信じてそれについていくという行動も見られます。

プロを当てにせず同じことをするにしても、海外機関投資家と副業レベルの我々では情報面・機動面・経験面などあらゆる点で差は歴然としています。ディトレードであたかも簡単に儲かるかのような本や広告の情報には、重ねてくれぐれも注意していただきたいと思います。

ただ以前ファイルに米国の膨大な経常赤字にいつか再び注目が集まる時がくると書きましたが、ここのところ報道で「米経常赤字史上最大に」などの見出しが躍ってきているので、今後はそれが注目の的になるのは時間の問題のような感じがします。

だとすれば極論ではありますが一年前のような円高の再来が来ても大丈夫なような投資のスタンスを取るのが賢明。短期の為替差益狙いはリスクが高すぎと思います。なんといっても去年の今ごろは1ドル100円近くのレベルで、100円割れはあるのか?などの真剣な記事を読んでいたわけで。ついこの間のハナシです。忘れないようにするべきです。


余談ですが私自身はレバレッジ1倍、つまり必要があって外貨に変換する場合にFXの安い為替手数料を利用させていただいています。スワップ金利もわずかですがつきますし、これだけでメリットは充分です。一度変換して外貨のまま受渡しをすると決めていればとても気軽なもので、その後長期スタンスの海外分散投資でマネーを旅に出すことで、為替を気にせず運用するようにしています。


さて、円高が輸出関連株などの下落につながり日経平均株価を押し下げましたがその後やや回復、15000円台は切らず日本企業の業績は順調だから日本株投資は今後も大丈夫でしょうか?

これも海外ヘッジファンド投機筋が仕掛けた売りであることは明白です。彼らは時として企業業績(ファンダメンタルス)と連関性のない動きをする・・つまり仕手師と同じですから、この一年間海外投資家のマネーが日本に一極集中していたことを考えると、イケイケで日本株へ追従投資している庶民投資家にとっては高いレベルの警戒が必要ではないでしょうか。クリスマス休暇で彼らが一服しているときが考え時。日本株に偏らない分散投資へ今は組み直すチャンスかもしれません。


今回は単なる調整局面、あるいは反転、いずれにしても、短期予測の投資を志向されている投資暦の浅い個人投資家の方々が大切な金融資産を活用するにあたっては、改めて中長期的なマクロの流れを読むことから始まる運用のほうが我々庶民向きであると訴えたい今日この頃です。


1 コメント

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外貨ポジションを持つ (ひろ)
2005-12-22 00:31:47
手元流動性を確保しながら、外貨のポジションを持ちたい人にはFXは便利な商品だと思います。

そういう使い方を口にしている人は、自分以外に聞いたことはありませんが(^^;
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