~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No36 ライブドアショックより前に日本株を減らすことを決めている海外筋

2006年01月22日 | 投資・運用
1/20日経第20面より・・・米メリルリンチが1/6~1/12に実施した世界のファンドマネージャー調査によると、今後三ヶ月で日本株の資金配分を「減らす」と回答した投資家の割合が過去十年で最高を記録した。

東証が19日発表した1/10~13週の売買動向では、外国人の買い越し額が前週から18%減った。変わりに個人(国内個人投資家)は16年ぶりの買い越し規模になり、外国人を抜いて最大の買い主体になった・・・


・・・


ライブドアショックの大きな記事に隠れる形でとても小さくこんな記事がありました。

1/18の東証売買停止騒ぎの前の時点で、すでに海外投資家(ファンド)は日本株に対して慎重姿勢に転換していることがわかります。

ライブドア強制捜査の日、米国はキング牧師記念日でホリデー中だったのですが、にもかかわらず米ヘッジファンド系が売りを大量にかけたとの情報があります。
すでに引き気味な体制を取っていた彼らに、このニュースは絶好のきっかけになったのかも知れません。

世間では、なぜライブドア一社の事件で東証全体が大きな影響を受けなくてはならなかったのか?という疑問が渦巻きましたが、その理由は海外投資家の日本株減らし姿勢が一因にあったといえるでしょう。

何回か書いているように、海外ファンドに代表される外国人投資家は、買い判断も早いが逃げ足の速さも日本人より早く、折り紙付きです。

ついに海外筋を抜いて「買い主体No1」となった日本の個人投資家は、いつも外人の素早く大量の仕掛けに翻弄されてしまうわけですが、その割にあまり外国人の最新の売買動向に気を配る個人は多くないと感じます。

グローバル世界の中で、日本の大企業・輸出企業のファンダメンタルの強さ、投資条件の地合いの良さに最初に気づいたのが海外投資家で、個人投資家はその波にうまく乗って05年株ブームになりました。

結果TOPIX年間43%もの上昇、これは05年の先進国マーケットで世界一の上昇率でした。
海外投資家にとっては企業収益力うんぬんよりも、史上類を見ない金融緩和によるマネーの過剰流動性が投資モチベーションの前提にあったのは言うまでもありません(No34記)。

世界的な過剰流動性は05年がピークで各国はすでに金融引締めモードに入っていますが、06年は日本も緩和の解除に向けた一年になることは必至と見られ、04~05年ほどはオイシくないと海外は冷静に判断しているのでしょう。

市場のライブドアショックが一段落した現在、報道や専門家の論調は「日本企業の収益力自体はますます良くなっているのだから落ち着けば株価に勢いが復活する」との見方が大方かと思います。

しかし「国内個人投資家」「海外ファンド投資家」の両輪のうち海外のほうは既に冷めたスタンスを取っているわけですから、片輪だけでは05年のような勢い相場にはならないと考えたほうが自然でしょう。

06年は・・
①収益成長力の高い一部企業とそうでない大部分の企業に株価二極化が進行し、全体としては乱高下、変動率が激しく読みづらい国内相場
②図らずも昨年末の為替レバレッジ取引(FX)調整と年明け日本株調整のコワさに気づいた個人投資家マネーが、これまで以上に外国投信などの世界マーケットへ、長期スタンスの分散投資方向に向かっていく年
③グローバル世界マネーは資金が集まりすぎたBRICsや日本を見捨てて、ユーロ圏や東欧のほうへ風が吹く

・・と勝手な予想なので当たるかどうかわかりませんが私自身はそう考えています。


だいぶ前当ファイルNo10で、後で振り返ると05年はグローバル投資元年と呼ばれるのでは?と書いたのですが、現在の流れを見ると今のところその通りになりそうです。

昨年11月に金融緩和の解除へ向けたファイルNo22~23を書いた時は猛反発のコメントがいくつか寄せられましたが(※コメント者が利害がらみの立場だったので削除済)、2ヶ月半たっただけで、もはや大勢が決したようなムードです。

12/7(No27)で短期為替差益狙いが危険水域、1/6(No34)短期日本株投資に危険信号を鳴らしたすぐ後に、偶然にも両方とも調整イベントがありました。


ゆえに今回も当たるとは限りませんが、06年私個人はこのマクロトレンド予測に基づいた中長期な投資行動を取ろうと思っています。

いずれにしても突発的なキッカケで短期的に大きく流れが変わるということは今回に限らず何度も実証済みで、今年は果たして何が起こるのか、それは誰にもわからないわけです。

短期変動を出来るだけ気にせずにいられるポジションをつくること、その代わりとして中長期的なマクロの流れを誤らないことがとても重要であるといえるでしょう。


1 コメント

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それにしても・・ (管理人)
2006-01-26 01:13:16
「ライブドア」のキーワードがヒットしたのでしょうか、急に今までの3倍以上のアクセスがありました。・・というより他のファイルが地味なんでしょうね(苦笑)。。 



普段のマイペースぶり、お許しくださいませ。
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