~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No34 「デフレ」なのに「バブル」!?

2006年01月06日 | 投資・運用
日経1/3第25面(論旨抜粋)・・・日経平均株価の1年間の上昇率は四割に達し、消費者物価も前年比小幅プラスに転じた。資産価格が先行して上がり、一般価格も水面上に顔を出す。日本経済は大きな転換点を迎えつつあるようだ。

「日本全体がバブル期のような雰囲気になってきた」と日経連奥田会長。福井日銀総裁も「そういう方向で一気に人々の行動が流れてしまうのは怖い」牛尾ウシオ電機会長「その流れは始まりつつある」

対して小泉首相は「好ましい傾向が出るとすぐ逆の反応が出る。本当に日本人というのは面白い」と反論し、政府与党も「まだデフレなので量的金融緩和の解除は慎重に」とけん制する。

見る人によって今の日本は「まだデフレ」とも「もうバブル」とも移る。転換期の日本経済、それをどう見るかは冷静な分析と議論が必要だ。

・・・

80年代後半のバブル景気は、円高不況による金融緩和政策で過剰流動性(貨幣流通の過剰)が発生、土地神話が生きてる中でそれが不動産の高騰を生み、含み益が株などの投機に回っていきました。資産が高騰するほど、いわゆる「ババ抜き」ゲームのように投機資金が回転を早めついにはゲームオーバーとなったのは周知のとおりです。

長いデフレのトンネルを抜けるため、類を見ない金融緩和政策が長らく取られている現在、貨幣流通の過剰が株や不動産へ向かっていることは事実です。

今回の特徴は「海外投資家」がゼロ金利で円を調達して日本で積極的にゲームに参加し、ゲームを引っ張っていること。日本株の外国人買いが05年ものすごい勢いだっただけでなく、あまりデータに出てきませんが海外投資家が都心の不動産を路線価の2倍以上の値で買い漁っている現状があります。世界でダントツ最も安く借金できる国だからに他なりません。

株価上昇は、もちろん国内企業群がリストラなどで甦り収益が伸びていることがベースにはあります。しかしそれは外需中心の“グローバル大手”企業のことであり、産業人口の大部分を占める内需関連はいまだ水面を上下している状況です。

そう考えると日経平均株価や首都圏不動産の最新の動きはやはり、国内企業回復とゼロ金利に目をつけた外国人投資家が火をつけ、含み資産を蓄えたグローバルな国内企業家・投資家が一斉に追従すべく動き出した産物といえるでしょう。

となると日経連はじめ財界の「すでにバブル」発言は当たらずも遠からず、一般庶民を除いた彼らの世界ではバブルを実感していてもおかしくありません。

片やデフレですが、当ファイルNo32/33で書いたように、デフレの基準自体が節約志向で安い輸入品受容志向の日常品物価(CPI)に定義を置いているため、この数字自体は原油高騰などの異常要因がない限り今後も大幅に上昇はしないと私は考えます。

これらを鑑みると・・
変人の首相発言は置いといたとしても、国債の金利を暴騰させたくない政府与党の思惑による「まだデフレ」慎重発言は、とてもむなしく響いてきます。

借金事情を抱える政府でも、ゲームに参加している資産家でもない、大部分の平均的庶民からしてみれば今はまだ、日本はいったい何を騒いでいるんだ?オレ達には関係ない話!・・というのがホンネに近い実感ではないでしょうか。

しかし今後もこのマネーゲーム上昇トレンドが続いたとして、いつの間に、知らぬ間に、一般庶民も甘い潮に流されてしまいそうになった時、15年前のバブル崩壊を復習し経験を生かすとすれば、あえて追従的にそのゲームに参加しないという賢明な選択肢も視野に入れたいものです。

“金余りニッポン”の「プチ再来」といえる今、株と不動産は要警戒です。それらの短期売買の投機はババ抜きゲームでありハイリスクだと思います。とくに外国人の逃げ足の速さは折り紙つきだからです。そのとき一物件のファンダメンタルの強さなどは吹き飛んでしまいます。 

私自身はいつ来るかわからない、でもいつか来るゲームオーバーに巻き込まれないよう傍観を決め込んでいます。
それよりずっとリスクが少なくリターンが望める個人資産運用の考え方を勧めたいところです(さわりだけですが当ファイルNo31に記しました)。