九州では珍しいらしい。
木曜日の夜、夫が真剣な顔をして広告を見ていた。
「ねぇ、明日これ買ってきて」
日頃薬局の広告など見向きもしない夫。
(また、へんな痩せるお茶とか、欲しがってんのかね?)
と、心の中で思いながら、夫が指さした「買ってきて欲しいモノ」とは、九州では珍しい「金ちゃんヌードル」だった。
「あ、金ちゃんヌードルやん。珍しいね」
「明日の日割り商品だから、絶対買ってきてね」
「でも、この薬局、場所が分からん」
「飯塚二中の近くと、嘉麻市にあるよ。どっちの店でもいいから、買ってきてね」
「ええ~。明日大雨って言ってるやん・・・。で、何個買うと?」
「10個買ってきて」
「ええ~。10個も~?個数制限とかあったらどうするん?」
「だったら、この制限分だけ買ってきて。個数制限ないって」
げー、めんどくさー。
めんどくさいと思いながらも、夫が金ちゃんヌードルが好きなのを知っている私は、仕方ないなーと引き受けることにした。
結婚して間もない頃、夫から「金ちゃんヌードルって知っている?」と訊かれた。
金ちゃんヌードルって、それまでの23年間、見たことも聞いたこともなく、もしかすると記憶にないだけかもしれないが、とにかく知らないカップ麺だった。
「あれ、おいしいんやけど。今は売ってないから・・・」と、夫は遠い目をしていた。
「商品はまだあるわけ?全然知らんのやけど」
「これ、徳島製粉って会社の商品なんだけど、九州では取り扱っているお店がほとんどないんよねー。ああ食べたい・・・」
夫がここまでカップ麺に固執するのも珍しいので、少々気になっていたのだが、夫の言うとおり、地元のスーパーでは見かけることはなかった。
94年と95年、夏休みに関西と四国に出かけた。
そのとき四国のホテルで、金ちゃんヌードルのTVCMを初めて見たのだ!
当時のCMキャラクターは、水前寺清子だった。
「一度食べたら、ベリベリグ~。ほっぺた、おチータ」
「うわ!金ちゃんヌードル、CMがあるやん!!」
そりゃそうだ。地元だし。
もちろん夫は、四国で金ちゃんヌードルを大量に買って帰ったのだ。
そんな事もあったなーと思い出しながら、金曜日、例の薬局に買いに行く。
カップ麺売り場を探したのだが、陳列棚には置いてない。
おかしいなーと思いながら、店内を隈無く回ると、広告に出ている商品は、別の場所に山積みになっており、その中に金ちゃんヌードルも置いてあった。
金ちゃんヌードルを手に取り、10個かごの中に入れる。
レジでの支払いの時、店員さんが怪訝な顔をして広告を見ている。
「あのー、個数制限があるんですか?」
「いや、ないですよー」
「このラーメン、九州にはあまりないんで買ってきてと頼まれたんで」
と、いかにも「私が食べるんじゃないんですぅ」という顔をして、訊かれもしないことを口にする。
「なんかそうらしいですね」
店員さんも、この金ちゃんヌードルが珍しいのを知っているようだった。
1個88円。10個で880円。
帰りに、地元のスーパーに寄る。
やっぱり金ちゃんヌードルは置いてない。
夜、夫から電話がある。
「買ってきた?」
(そんなに買ってきて欲しかったのだろうか?)
「買ってきたよ。10個」
「僕も買ってきたよー。5個」
「は?どこで?」
「今日、嘉麻市に出張だったから、帰りに買ってきた」
「・・・・・」
夜遅く、夫が帰宅。
土曜日、袋に入ったままの金ちゃんヌードルを、ちゃんと棚に片付けようと思い、中身を出したら、1個足りない!!
あれ??何で??
ゴミ箱を見てもカップ麺の容器はない。
夫はすでに自宅を出て仕事に行っている。
しばらくして夫から電話があった。
「あのさ、1個足りんのやけど、あんた知らん?」
「ああ、仕事先で食べるから1個持って行った」
なーんだ。そんならいいや。
あそこまで固執しているので、勝手に食べたらものすごく怒られそうだ。
懐かしい味を、久しぶりに堪能したようで、夫はご満悦だった。
やれやれ。
木曜日の夜、夫が真剣な顔をして広告を見ていた。
「ねぇ、明日これ買ってきて」
日頃薬局の広告など見向きもしない夫。
(また、へんな痩せるお茶とか、欲しがってんのかね?)
と、心の中で思いながら、夫が指さした「買ってきて欲しいモノ」とは、九州では珍しい「金ちゃんヌードル」だった。
「あ、金ちゃんヌードルやん。珍しいね」
「明日の日割り商品だから、絶対買ってきてね」
「でも、この薬局、場所が分からん」
「飯塚二中の近くと、嘉麻市にあるよ。どっちの店でもいいから、買ってきてね」
「ええ~。明日大雨って言ってるやん・・・。で、何個買うと?」
「10個買ってきて」
「ええ~。10個も~?個数制限とかあったらどうするん?」
「だったら、この制限分だけ買ってきて。個数制限ないって」
げー、めんどくさー。
めんどくさいと思いながらも、夫が金ちゃんヌードルが好きなのを知っている私は、仕方ないなーと引き受けることにした。
結婚して間もない頃、夫から「金ちゃんヌードルって知っている?」と訊かれた。
金ちゃんヌードルって、それまでの23年間、見たことも聞いたこともなく、もしかすると記憶にないだけかもしれないが、とにかく知らないカップ麺だった。
「あれ、おいしいんやけど。今は売ってないから・・・」と、夫は遠い目をしていた。
「商品はまだあるわけ?全然知らんのやけど」
「これ、徳島製粉って会社の商品なんだけど、九州では取り扱っているお店がほとんどないんよねー。ああ食べたい・・・」
夫がここまでカップ麺に固執するのも珍しいので、少々気になっていたのだが、夫の言うとおり、地元のスーパーでは見かけることはなかった。
94年と95年、夏休みに関西と四国に出かけた。
そのとき四国のホテルで、金ちゃんヌードルのTVCMを初めて見たのだ!
当時のCMキャラクターは、水前寺清子だった。
「一度食べたら、ベリベリグ~。ほっぺた、おチータ」
「うわ!金ちゃんヌードル、CMがあるやん!!」
そりゃそうだ。地元だし。
もちろん夫は、四国で金ちゃんヌードルを大量に買って帰ったのだ。
そんな事もあったなーと思い出しながら、金曜日、例の薬局に買いに行く。
カップ麺売り場を探したのだが、陳列棚には置いてない。
おかしいなーと思いながら、店内を隈無く回ると、広告に出ている商品は、別の場所に山積みになっており、その中に金ちゃんヌードルも置いてあった。
金ちゃんヌードルを手に取り、10個かごの中に入れる。
レジでの支払いの時、店員さんが怪訝な顔をして広告を見ている。
「あのー、個数制限があるんですか?」
「いや、ないですよー」
「このラーメン、九州にはあまりないんで買ってきてと頼まれたんで」
と、いかにも「私が食べるんじゃないんですぅ」という顔をして、訊かれもしないことを口にする。
「なんかそうらしいですね」
店員さんも、この金ちゃんヌードルが珍しいのを知っているようだった。
1個88円。10個で880円。
帰りに、地元のスーパーに寄る。
やっぱり金ちゃんヌードルは置いてない。
夜、夫から電話がある。
「買ってきた?」
(そんなに買ってきて欲しかったのだろうか?)
「買ってきたよ。10個」
「僕も買ってきたよー。5個」
「は?どこで?」
「今日、嘉麻市に出張だったから、帰りに買ってきた」
「・・・・・」
夜遅く、夫が帰宅。
土曜日、袋に入ったままの金ちゃんヌードルを、ちゃんと棚に片付けようと思い、中身を出したら、1個足りない!!
あれ??何で??
ゴミ箱を見てもカップ麺の容器はない。
夫はすでに自宅を出て仕事に行っている。
しばらくして夫から電話があった。
「あのさ、1個足りんのやけど、あんた知らん?」
「ああ、仕事先で食べるから1個持って行った」
なーんだ。そんならいいや。
あそこまで固執しているので、勝手に食べたらものすごく怒られそうだ。
懐かしい味を、久しぶりに堪能したようで、夫はご満悦だった。
やれやれ。