湖と地震の”伝説” San Andreas Lake と 太平洋戦争の起点

　湖水と地震の関係を、暗示してやまないのが、１９０６年、ちょうど９９年前の ４月１８日、朝５時１２分、サンフランシスコを襲った大地震で出現した断層の由来です。

　この大地震で出現した断層の上に位置していた、当時、世界最大級のサンアンドレアス　ダムと、クリスタルスプリングス　ダムは、サンフランシスコ市の水道用として、それぞれ１８７０年、１８７７年に完成していました。　
土を盛り上げた高さ３０メートル程の、アースダムであったために、壊滅的な崩壊は免れましたが、地震でダムの両岸がずれ、ダムの形が歪みました。
日本でも有名なサンアンドレアス断層ですが、その名前の由来は、あまり知られていません。
その命名の元となったサン アンドレアス湖は、サンフランシスコ国際空港近くの丘陵に位置しています。名物の霧さえ出なければ、離着陸の時に、その地形を観察出来ます。
・空港西側の湖がサン アンドレアス湖（フライト　シミュレター　サンフランシスコ版. Horizon simulation社.）

　さて、この１９０６年のサンフランシスコ大地震は、社会的にもかなり有名です。
そのひとつは、地震後の混乱を抑えるため、市長が軍隊を出動させ、治安維持の名目で、市民射殺命令を出したことです。これにより、武装した兵士が逆に、暴徒化してしまい、略奪、強盗、殺人をほしいままにしました。（大地震で発生した大火災をダイナマイトで「 消火 」したことでも有名です。）
歴史に、悪名高いシュミット市長の　「 市民射殺命令書 」」は、サンフランシスコの各博物館で、今でも展示されています。また、この市長こそ、当時、日本人、中国人、韓国人を排斥し、その権利を抑圧した張本人でもあります。日本人のアメリカでの土地所有の禁止法は、１９６６年まで続きました。

　当時は、日本人、朝鮮人、中国人が、カリフォルニアに、大量に移民した時代でもあり、地震後の不満をそらすためか、白人による扇動で反東洋人暴動が発生し、E ミラーによると「血祭りと略奪、暴行」*が、おこなわれました。
地方議会もアジア人の財産権を制限し、小学生を分離する法案を提出。新聞も、反日記事を書きたて人種差別を煽りました。*（日本人学童分離法も、１９６０年代まで続きました。）

　翌、１９０７年には、反東洋人暴動が再発し、新聞が日露戦争に勝利した日本は、その矛先をアメリカに向けるであろうと脅威を書きたてる中、軍は日本の報復を警戒して、対日戦争シナリオの作成を開始したといわれています。　地震が、不幸な太平洋戦争の起源となったとも、謂えましょうか。

　尚、発展する隣国と、押し寄せる東洋人に対する、当時の米マスコミの論調、どことなく、今の日中関係に似ている、と思うのは、私だけでしょうか。私たちは、歴史の轍を踏む愚を、二度も犯さぬ様にしたいものです。

－参考-
エドワード　ミラー 『 オレンジ計画 』* 　　 新潮社
エドワード　モース 『 日本、その日その日 』 東洋文庫

-追記-
・San Franciscoの由来も、sismico（伊）形容詞 [地震の] に、由来？?（筆者の憶測ですが・・）

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