炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

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湖と地震の関係 タキトゥスの記すFucinus      4月12日改訂

2005-04-08 | 欧州・地中海域
 前回、コメント欄に、湖と地震の関係について、質問がありましたので、以前から気になっていた、タキトゥスが書き記すイタリア中部の「フーキヌス湖」の謎に迫りたいと思います。

ローマの東80kmにかつて位置したこの湖は、水深30m、周囲59kmほどの大きさで、近世にはケラノ湖(Lago Celano)と呼ばれましたが、現在は農地に生まれ変わり、その姿を見ることは出来ません。
湖が消えた40年後の1915年、この地域は大地震に襲われ、かつての湖畔の町 アヴェッツァーノ では、建物のほとんどは倒壊し、死者3万人を出す大災害となりました。
1915年 Avezzano地域の地震記事 BBC.)
 近年の断層発掘調査の結果、この地域の以前の地震は、西暦508年頃が最後ではないかとされています。(報告書 PDF版. 肝心な所が白紙になっている所がミソ、14ペイジの図。 )

 かつて、この湖は流れ出る川を持たないため、水位が大きく変わることで知られていました。
西暦41年~52年、古代ローマ皇帝 クラウディウスが、同じ目的でこの湖に、排水路を建設したことが、タキトゥスの『 年代記 』に記されています。
各地で大規模な建設工事を行った クラウディウス帝 ですが、12年の歳月をかけ、 地下トンネル で近くのリーリス川へ、湖水を排出させた模様が書き記されています。
完成式典の壮麗さと、悲惨な結果が読みとれます。

-参考- 
・タキトゥス 『 年代記 』 筑摩書房版 国原吉之助訳

同地方 2009年4月06日の L'Aquilaの地震
周辺の衛星画像:  衛星 Terra.
1720年頃の湖の様子 
Celano 考古学博物館 湖底から出土した、青銅器時代の湖底の村...
ヨーロッパの地震史 イタリア中央地震局編 (古い地震が載ってない)

拙ブログ ・阪神淡路大震災から 12年

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