利休の茶室日記

侘び寂びを求めて、何を思う

『ニングル』から学ぶこと

2005-08-03 | 自然
十勝岳の奥の奥にある太古の原生林の中に、小さな先住民がいます。体長わずか十数センチの小さなヒトで、「ニングル」と呼ばれています。昔は里でも彼らの姿が目撃されましたが、人間が森を伐り始めた頃からだんだん姿が見えなくなりました。しかし地元の言葉でガッポと呼ばれている、巨木の中にできた大きな空洞、そこがニングルの家ですが、そこから今でもこんな会話が聞こえてくるときがあるそうです。

(倉本聰著「ニングル」から、以下抜粋)

「人間は夜も起きている」
と言ったのは283歳の長です。人間の暦になおすとおよそ江戸時代中期から世の中を見てきたことになります。
「起きて何をしている」、
「人間は闇でも目が見えるのか」
という質問が次々に聞こえてきました。
「人間は太陽を作っちまったんじゃ。その太陽は欲しい時に出てくれる。闇も照らすし、暖めてもくれる」
と長は答えます。
「人間ってスゴイ!」
と若いニングルがひっくり返りました。
「だけど、夜起きとって何をするんだ。人間はそんなにやることがあるのか」
と誰かが小さく囁きました。
「いい質問だ」
と長が重々しく答えます。
「わしにも判らん。しかしあるらしい。そこが人間社会の判らんところだ」
(以上、抜粋)

いつのころからかニングル社会では、人間社会をのぞくべからずという厳しい掟が定められ、ニングルの平和な暮らしを存続させるのに役立ってきたのだそうです。

特別養護老人ホームでの生活も便利さと効率を求めるのではなく、過去からの流れの中で、自然に寄り添いながら、ゆっくりと時間を共有することを大切にしていきたいと思います。ユニットケアが与えてくれるメリットがここにもあるような気がします。

ところで、あなたはニングルの存在を信じますか。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (茶ちゃ子)
2005-08-04 06:39:21
森は海の恋人だとすれば、風は森のお友達かもね。

デンマークの風車の話し、私も楽しみです。デンマークおばさんのコメント期待しています。(^O^)/
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