デュポン財閥の創始者 エルテール・イレーネ・デュポン（1771-1834）
デュポン財閥-5 吊るしあげられたデュポン
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からの続き
デュポンがＩＧファルベンを通じてンナチスのヒトラーを援助していたというスキャンダルについて紹介します。
第二次大戦の末期、アメリカ議会の軍需品調査委員会は、次のようなお驚くべき事実を公表しました。
それによると、１９３３年２月１日、フェリックス・デュポンはジーラと自称する人物と商取引上の協定を結んだことになっています。
コノジーラという人物は本名をペーテル・ブレンナーという国際的スパイで、だ一次世界大戦初期（1914－1917）にはドイツのスパイとしてアメリカで活躍し、１９１７年にアメリカが参戦するとドイツとの関係を絶ち、今度はデュポンの諜報員になった人物です。
この協定の内容は、「炸薬などの火薬をドイツおよびオランダの両国内の購入者に対して供給することにありました」。
炸薬（さくやく）とは、砲弾・爆弾などを爆発させるために、中に詰めておく火薬の事です。
この協定の実行に当たっては、デュポンのパリ駐在代理人 テイラーおよびケーシーの両名が当たることになていました。
当時禁止されていたドイツへの軍需品の輸入方法に関して、これらの人々が秘策を練っていたことが記録の残っています。
例えば、上院の軍需品調査委員会で、委員長ナイ上院議員の質問に対して、テイラー代理人はこう答えています。
「オランダの河川をさかのぼって軍需品をドイツに送り込むことは、途中に何の取り調べがないので、極めて簡単である」。
ナイ員会が手に入れた契約書によると、ジーラ特務機関が扱った炸薬火薬などの供給老は、非常に大量の物であったとされています。
そればかりでなく、この契約は、ドイツ国内における炸薬などの販売にまで及んでおり、しかもベルサイユ条約の規定はいささかも考慮されていないといいます。
デュポンは、そのドイツの「盟友」ＩＧファルベンとの密接な関係をも維持していました。
１９４４年、上院軍事調査委員会（キルゴア委員会）が明らかにしたところによると、
「 デュポンとＩＧファルベンとは紳士協定を結んでいました。この協定によれば、一方は他方に対して、新しい製造方法や新しい製品に関して優先権を与えることになっていました」。
全世界を三分していたデュポン（アメリカ）、ＩＣＩ（帝国化学工業、イギリス）、ＩＧファルベン（ドイツ）の三大化学トラストは、戦時中も何とかして緊密な友好関係を保とうとしたばかりでなく、戦後も勝敗に関係なく戦前の友好関係を回復しょうと考えていたようです。
ナチスの敗北が迫った１９４４年９月７日、キルゴア委員会の席上、 検事次長 ウェンデル・バージは、次のように証言しています。
「ドイツの独占体（ＩＧファルベン）は、国際カルテル協定の維持と回復によって、その勢力を保持しようとしている。 これは非常に危険な傾向と言わなばならない。
たとえば、ＩＧファルベンは、デュポンおよびＩＣＩと協定を結び南アメリカ市場を分割していた。 １９４０年２月９日、デュポンの外交部長が理事会に提出した報告によると、デュポンはＵＧファルベンに対して戦後、ＩＧファルベンの市場の回復を図ることを約束している」。
これに対してキルゴア委員長は、「このようなデュポンの協定は、スタンダード・オイルのそれと同じように、極めて売国的なものであり、上院議員ハリー・S・トルーマンも、これを売国的であると非難したのである」と結論をくだしました。
・ ナチスを支援したフォード社（共和党/ロックフェラーがバック） https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/9910d7ed08c81f2c94ee956703408712
・ ナチスドイツを支援したロックフェラー財閥所有の「スタンダード石油」 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7a043b04c0ea425472e698aa2b8020ff
・ 第二次世界大戦 ナチスドイツによるヨーロッパ占領 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ba09b78b47bd493e1ddf45216ad4774c
（関連情報）
・デュポン財閥-1 概要
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5226329b578cb7902e701c57de715b54
・デュポン財閥-2 フランス革命とデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7211f4344bd946895ce4ad7ebc3960b6
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・デュポン財閥-5 吊るしあげられたデュポン
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