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『古事記』 イザナミが向かった黄泉の国

2023-04-09 22:07:24 | 日本神話・神道・古事記・日本史

イザナミは火の神・火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産んだことで陰部(ほと)に火傷を負い、「神神避る(かむさる)」ことになりました。 つまり死んでしまったのです。 そうしてイザナミは、葦原中国を去り、黄泉(よみ)の国へと向かいました。

そこは俗に「死者の国」と呼ばれる世界であり、本居宣長は葦原中国の下に位置すると考えました。 現在の「蘇る(よみがえる)」問言葉は、「黄泉」から帰ることを語源としています。『古事記』における「黄泉の国」は暗く、闇に包まれた恐ろしい世界であるとされますが、詳しい描写はありません。

暗く、そこへ行った者が醜い姿になってしまうことから、黄泉の国は、古代の墓の内部を表しているという説もあります。古代人は。肉親を埋葬した後に、その遺骸を見に行くという風習があったといいます。 それがイザナギの黄泉の国訪問の話につながっているのでしょう。


古代の人々には、もう一つ死後の世界についての考えがありました。 それは、「人は死んだら,常世国(とこよのくに)にいく」というものです。 常世国は海のはるか彼方にある。美しい、不老不死の国だと言います。 闇に包まれた黄泉国へ下ってしまう『古事記』の話とは全く異なる死生観です。

ただ、『古事記』でも、常世国について描写されています。 オオクニヌシと共に出雲を建国したスクナビコナは、その後、常世国に渡ったと記されています。 常世国は海をいくつも超えてやっとたどり着ける場所であるのに対して、黄泉国ハイザナギにとっては行こうと思い立ってすぐに行ける近さにありました。 

ずっと昔は、死後の世界も身近なものと考えられていたんかもしれません。 そんな身近であっな黄泉国でしたが、イザナギとイザナミの決別によって、人の国から切り離されることになったのです。

 

 

『古事記』シリーズ

・『古事記』 いつ誰が何のためにつくった?
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・『古事記』のもとになった『帝紀』と『旧辞』
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・『古事記』と『日本書紀』の違い
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・『古事記』 天地創造
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・『古事記』 日本の国生み
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・『古事記』 どのように日本は創られたのか? イザナギ・イザナミ神話
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『古事記』 捨てられ流された水蛭子(ひるこ)のその後
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