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トヨタ、EV減速でHVの「次」へ布石 PHV新型エンジン

2024-05-28 20:11:55 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


トヨタはPHV向けを想定する小型の新型エンジンを開発すると発表した(28日、東京都渋谷区)

 

トヨタ自動車は28日、プラグインハイブリッド車(PHV)向けの新型エンジンを開発すると発表した。

電気自動車(EV)の需要が鈍り、エンジンとモーターを組み合わせたPHVが「準EV」として伸びている。環境対応車を軸に中国勢が世界の車産業の勢力図を塗り替えつつある。EVの変調でエンジンの技術開発が再び競争力を左右する可能性が出てきた。

 

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「必要なものを必要な地域に届けていく。EVも本気、内燃機関も本気だ」。トヨタとマツダSUBARU(スバル)の3社は28日、都内で環境対応車についての記者会見を開いた。トヨタの佐藤恒治社長はこう述べ、PHVやハイブリッド車(HV)などエンジン車の開発の手を今後も緩めないと強調した。

会場で目立ったのがトヨタが新たに開発する小型エンジンの模型だ。従来型よりも体積などを10%小さくした。次世代のPHVやHVへの搭載を想定する。

 

 

価格の高さなどからEVの販売が世界で鈍化し、充電面などで使い勝手の良い両車種の販売が伸びている。

燃費などに直結するエンジンの小型化技術を武器に顧客を囲い込む戦略だ。トヨタと資本提携するマツダとスバルも脱炭素で連携する。

 

英調査会社のグローバルデータによると、EVの世界販売台数は2030年までに23年比3倍超の約3400万台まで伸びる。

環境車の本命はEVで変わらない一方、新車販売に占めるPHVなど内燃機関車の割合は30年で65%、35年でも48%を占めると推計する。

 

世界の大半のメーカーでEVは赤字が続く。ロイター通信によると、米フォード・モーターはEVを1台売るごとに平均4万7000ドル(約740万円)の損失が出たことを明らかにした。

EVの本格的な普及期までの「つなぎ役」であるPHVなどでいかに稼ぐかが車大手の競争力を左右し始めた。

 

PHVに注目が集まるのはガソリン車とEVの「いいとこ取り」の要素があるためだ。

エンジンも積むPHVはEVに比べて航続距離が長い。家庭のコンセントなどでも充電できる。環境性能はHVよりもEVに近い。

 

モーターで動くため二酸化炭素(CO2)の排出量はガソリン車よりも少なく、世界で最も厳しい欧州の環境規制にも対応できる車種が多い。PHVの世界市場は30年に23年比2倍弱の635万台まで伸びる見込みだ。

 

 

トヨタの存在感は低い。23年の世界販売は前年比38%増えたものの12万台にとどまる。世界シェアは3%に過ぎない。HVで世界首位の同6割を持つのとは対照的だ。

PHVが大きく伸びているのが中国市場だ。調査会社のマークラインズによれば23年の販売台数は280万台と前年比85%増えた。EVの販売台数は25%増(668万台)で伸びの大きさが際立つ。

 

メーカー別では中国EV最大手の比亜迪(BYD)が特に力を入れる。23年の販売台数(乗用車)301万台のうち、PHVは143万台と半分を占めた。7万9800元(約170万円)程度と低価格で売り出し、EVに手の届かない消費者の需要をつかんでいる。

トヨタが環境車の主導権をBYDなど中国勢から奪い返すためにもEVの品ぞろえの拡充と並んでPHVでの巻き返しが欠かせない状況だ。

 

中国だけではない。米国や欧州でもPHVやHVなどエンジン搭載車を再強化する動きが広がる。

ゼネラル・モーターズ(GM)は米国で販売していなかったPHVを売り出す検討に入った。フォードは一部のEVの発売を延期したうえで30年までに全てのエンジン車の車種にHVを導入する。独メルセデス・ベンツグループも30年までにエンジン車を全廃する方針を撤回した。

 

トヨタの24年3月期の連結営業利益は日本企業で初めて5兆円を超えた。

好調なHVなどで稼ぐ成長への原資はトヨタの強みになっている。HVの次としてPHVを育てることは本格的な電動車時代を見据えた次世代への布石ともいえる。

 

 

PHV、EV移行期の「現実解」 再評価には脱炭素必須

プラグインハイブリッド車(PHV)などエンジン搭載車の再評価が持続するかどうかは、脱炭素対応がカギを握る。足元で電気自動車(EV)の需要は失速しているが、各国の環境規制は今後一段と厳しくなる。
 
二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料の量産や、エンジンの脱炭素技術の導入を迅速に進められるかが重要となる。


「カーボンニュートラル燃料の社会への導入に向けて活用の促進に協力していきたい」。マツダの毛籠勝弘社長は28日に開いた環境車戦略の説明会で強調した。

トヨタ自動車は出光興産やENEOSなどとCO2を排出しないカーボンニュートラル燃料を導入する検討を始めた。再生可能エネルギー由来の水素とCO2を反応させてつくる合成燃料と、植物由来のバイオ燃料の製造の量産化に向けて連携する。
 

この枠組みにマツダやSUBARU(スバル)も協力する方針を明らかにした。
 
カーボンニュートラル燃料は1リットル当たりの価格が現在のガソリン価格の3倍以上になるとの試算がある。需要や流通量を増やして、燃料価格を抑える狙いだ。
 

PHVはEVの移行期の「現実解」だが課題がある。3月、欧州連合(EU)はPHVが多くのCO2を出すと指摘した。

2021年に登録された新型PHVの排出量は販売の認証値の平均3.5倍に達するという。充電に時間のかかるEV走行を使わず、エンジンを使って移動しているためだとしている。PHVに対する環境規制が強まれば、好調な需要が鈍る可能性がある。

マツダはカーボンニュートラル燃料だけでなく、さらにエンジン排気に含まれるCO2の一部を吸着剤で回収してCO2濃度を減らす取り組みも進める。最先端のエンジン技術も導入しPHVの需要を伸ばしたい考えだ。
 

EV市場の成長には減速感が出ているが、長期ではEVシフトが進むことに変わりはない。
次世代電池やソフトウエア開発には巨額費用が必要になる。開発資源が限られるなか、いかにエンジン搭載車の脱炭素技術を磨けるかが問われている。
 
 
 
 
 
日経記事2024.05.28より引用
 
 
 
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2 コメント

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フリクションテクノロジー (某整備士)
2024-05-31 19:41:40
エンジン単体で考えるとCO2排出削減に有効なのは、バイオディーゼルだと思いますがそこへの言及があればなお面白いかなと思いました。
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マルテンサイト千年 (グローバルサムライ)
2024-06-21 04:00:13
やはり世界を引っ張るハイブリッド日本車の技術力の前に、EVシフトは不調をきたしていますね。特にエンジンのトライボロジー技術はほかの力学系マシンへの応用展開が期待されるところですね。いくらデジタルテクノロジーを駆使しても、つばぜり合いは力学系マシン分野がCO2排出削減技術にかかってくるのだとおもわれます。
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