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トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始  イングランド号、薩摩藩に無事納入

2024-08-07 21:50:44 | 秘密結社 フリーメーソン、イルミナティ、秘密結社など、

トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍  井伊大老の暗殺https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/21d3943978ef0e71d379b0b2189f7f08
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イングランド号、薩摩藩に無事納入

一八六〇年、安政七年は井伊太郎の暗殺により三月に改元、「万延」と年号が変わった。 グラバーは万延四月には長崎へ戻り、茶葉、蒸気船の購入に全力投球を始めた」。万延十月、薩摩藩五代才助の注文により、グラバーが手配していた蒸気船が細長く、鶴の港といわれた長崎港に入って来た。  

その船名は「イングランド号」、長さ六〇メートル、幅一〇メートル。 それまでの外輪船ではなく、スクリュー・プロベラ船だった。 世界の船舶はこのスクリュー・プロペラ船の発明により、格段にスピードが速まっていった。 新型イングランド号の入港は、JM商会より連絡を受けたグラバーが、今日あたりの入港ということを多くの人たちに知らせていたので何十人もの人達が院グランド号を出向かえに来ていた。

 

同船の船主甲板にマッケンジーの手を振る姿が確認できた。 グラバーはマッケンジーが自ら上海へ赴き、日本へ回航されるイングランド号に同乗してくれたことに「ありがたい先輩と感謝の気持ちを抱いていた」。 ただし果たしてどんな船舶なのか。 中古船でもかまわないと五代は言っていたが、もしかすると中古も中古、「ボロ船」を持ってくるのではないかと、ひそかに心配していたのだ。

ところが、眼前に見るイングランド号は、限りなく新品に近く、かつ大型船だったので、グラバーの心配は一挙に吹っ飛び「さすがは大先輩のマッケンジーさん」と、彼を拝みたいくらいの気分になっていた。

桟橋には十隻余りの艀(はしけ)が横付けされており、グラバーは五代才助と共に艀に乗りイングランド号に近づいた。 同号の船腹には「縄梯子(なわばしご)」が垂らされていて、長崎奉行所の役人たちが先頭に登り、続いてグラバー、五代達が登り船上に降り立った。

四十歳代と見える船長は、とても愛想の良い人物で、全員を船内見学に案内してくれた。 役人達は幕府が以前に購入した咸臨丸を見学していたが、「咸臨丸よりも大きいではないか、それにエンジン室、ボイラー室、操舵室など最新式のようだ」と驚きの表情を見せていた。

 

役人に続いて見学しているグラバーも、この船が自分達のものになると思うと、これまでの努力が無駄ではなかったと思わず涙がこぼれそうになっていた。ところがこの後の手続きが大変なことになってしまった。

というのは外国船の取引きは諸藩には禁じられている。 このためイングランド号はいったんは幕府が購入して、それを薩摩藩に下げ渡すという方法をとらねばならないのだ。 

だから購入代金の十二万三千ドルという大金は、いったんは長崎奉行所に持参し、奉行所から改めてJM商会へ支払われることになる。全く馬鹿げた話だが、この当時、それが少しでも権威を保ちたい幕府の方式であった。

 

 

 

 

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この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。

 

 

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