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子供たちが幼かった頃、私たち両親が日曜学校へ、姉兄たちがジュニア日曜学校へ出席している間、二歳半ほどの末娘は、教会の託児へ向かった。託児の先生が子供たち皆にそれぞれ好きな食べ物を教えて、と言うと、ほとんどの子供はM&Ms、スニッカーズ、ベイブ・ルース等のキャンデイの名を次々にあげていき、とうとう末娘の番になった時、娘は答えた:「シュリンプ・カクテル!」 この答えに託児の先生はおおいに笑いこけたと後で教えてくれた。
ここで言う「カクテル」はアルコール飲料ではなく、冷製のエビをカクテルソースに付けて食すオードブルの一種で、カクテルソースはホースラディッシュ(西洋わさび)とケチャップを混ぜたディップソースである。通常大人の食卓に上がるが、子供も試して気にいることも多い。子供も食するが、通常2歳半の幼児は食べようともしないものである。
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又ある日曜日のディナーで、4歳になる前だった長女が、夫と私に尋ねた:「ジュースの王様ってどんなジュースなの?」夫と私は顔を見合わせ、思わず吹き出した。「それはね、ジュース、じゃなくて、Jews (ジューズ),つまりJewish(ユダヤ人)のことで、ユダヤ人の王様、という意味で、イエス・キリストのことを言うのよ。」と答えると、長女は神妙な顔をしてうなづいた。
私自身も教会で何年も幼い子供たちの先生として、かなり楽しい時間を過ごしたものである。18か月から12歳手前までの子供たちを毎日曜日各クラス別に教えたが、「子守」というにはあまりにも楽しく、時には子供たちに教えられることもたくさんあった。例えば、聖餐会は、幼い子には少々退屈だが、静かに絵本を読んだり、塗り絵をしたり、そんな遊びをしている間に耳に入ってくる大人の説話などは、大人が想像する以上に子供たちの耳に残り、知らず知らずのうちに福音のあれこれを習得している。その知恵は、夕食時や、お風呂を使わせている時、子供のひとりがひょいと口に出し、次々に他の子供たちも同じ話を始めたりすることで披露されるのだ。
幼子に習うことは意外に多い。そんなよい一例を先日ルース・フローレンス・ナイティンゲイルさんの記事(2019年7月8日付・Faithit.com)で読んだ。彼女は毎週日曜日5歳と6歳の子供たちの日曜学校クラスを教えている。クラスを始める前に彼女は子供たちにその週何があったかをそれぞれに話させるようにしている。
子供たちの話は、仲良しと定期的に喧嘩してしまう、などと大抵は子供らしく、奇妙でおかしいこともあり、ルースさんはいつも楽しんで聞きながら、自然にその日のレッスンに子供たちを引き込んでいくのだった。レッスンを始めて間もなく、ある一人の少年が手を挙げて言った。「知っています?」おそらくこの子は、話の時間に言い忘れたのだろうと、ルースさんは思って、耳を傾けた。
この少年は、むしろ淡々と言った;「僕のお父さんが死んじゃったんです。」
ルースさんは何を言うべきか迷った。この少年の父親を知っていただろうか? 何故このことを自分は知らなかったのだろう。確かにこの子と母親は毎週日曜日に教会へ来ているのは知っている。でも。。。短い時間に彼女はいろいろなことを思い、話す言葉を模索したが、何も言えずにいると、少年は尋ねた;「何故おとうさんが死んじゃったかわかりますか?」
少年は続けた;「僕にもっとたくさんの祝福がくるように、なんです。」
たった五歳の少年が、そうした知恵の言葉を話すとは、とルースさんは涙が込み上げてきた。
とうとう彼女は勇気を奮って少年に尋ねた;「それはおかあさんがそうおっしゃってくださったの?」
「いいえ。お父さんがそう教えてくれました。」
少年に席に着くように言い、クラスの後でおかあさんとお話したい、と伝え、彼女はクラスを終えた。そして少年の母親がやってきた。 ルースさんは、「(少年の父親が)お亡くなりになったんですね。私は知りませんでした。」と言うと、母親は、「ええ、癌で苦しみましたが、亡くなったんです。一年ほど前のことでした。」と答えた。
この父親は自分が長く生きないのを知り、まだ幼い息子に残した人生のレッスンはなんと素晴らしい影響を少年に与えたことだろうか。彼は自分の子供が成長するのを見ることができないことを知っていた。けれど彼は息子のために、人生の強力な基盤を構築することにより、この世界で過ごしたわずかな時間を最大限に活用したのだった。
この小さな少年は、父親をとても愛していて、父親が一足先に素敵な場所へ行ったと信じている。少年の心の中で父親の愛はこれからも育っていくのだと、ルースさんは確信したと言う。その姿形は見えないが、少年の人生の行く先々に父親の愛も運ばれていくのだ。
人生は消えゆく影
瞬く間に、蝋燭の炎は揺れて
ちらつきながら消える
けれど、愛は一生そこにあり、
永遠に刻まれる
そして消えることはない
ルースさんは言う;「私はこの少年の父親を尊敬します。彼は幼い息子さんの銀行(ハート)に愛を預けたのです。それは誰も奪うことができない宝物です。私は大人でありながら、愛する人を損失することは、耐えられがたいことです。もしこの少年の身になったら、私はむしろ神に疑問を呈し、戦おうとしたかもしれません。ところがこの小さな男の子は、私に一生の教訓を教えてくれました。神は良いです、いつも!いつも、神は良いです!」
いつも心温まるお話を、ありがとうございます。
お元気でいらっしゃいますか。お嬢様もいまでは立派な若い女性となられたことでしょう。