ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

こぼれたミルク

2019-01-25 | アメリカ事情

istockphoto.com




この話は、非常に重要な医学的進歩をその研究・検証で遂げた、ある有名な研究科学者についてである。何故彼が平均的な人より、とても創造的であるのか、とある新聞記者によってインタビューされた。何が彼を他者から遠くかけ離れさせているのだろうか。


彼は、それに答え、自分の意見では、すべては、二歳の頃に起こった彼と母親の経験からであろうと言った。


ある日彼は冷蔵庫から牛乳瓶を取り出そうとして、滑りやすい瓶をうまく持てず、床に落とし、あっという間に床は牛乳の海のようになってしまった。


母親が台所にやってきた時、彼を叱ったり、お説教したり、お仕置きをする代わりに、こう言ったのだった。「ロバート、なんて素敵で大きな水たまりかしら! 滅多に巨大な牛乳の水たまりは見られないわ。まあ、被害はすでになされているわね。それを片付ける前に、あなた、ちょっとの間牛乳の海で遊びたい?」


実際、彼はそうした。数分後、彼の母親はこう言った。「ロバート、このように混乱したときはいつでも、結局それをすべて片付けて元通りにしなきゃいけない必要があるのよ。それで、あなたはどのようにそれをしたい? スポンジ?タオル?あるいはモップを使う?どれがいい?」彼はスポンジを選び、それから母親と一緒にこぼれた牛乳を片付けた。


彼の母親はそれから言った、「二つの小さな手で大きな牛乳瓶をうまく運ぶ実験の一つは、失敗しちゃったわよね。裏庭に行って、瓶に水を入れて、それをどうやって落とさずに上手に運べるか、なにか良い方法を発見しましょうよ。」その小さな男の子は、もし両手で瓶の口近くあたりで瓶を持つならば、それを落とさずに運べる方法を学んだ。なんと素晴らしいレッスンだろうか。


この有名な科学者はその時点で間違いを犯すことを恐れる必要はないと知った、と述べた。 その代わりに、彼は間違いが、ただ何か新しいことを学ぶための機会であり、結局のところ、それは科学実験のすべてであるということを学んだ。 実験が「うまくいかない」場合でも、通常、そこから価値のあることを私たちは学べるのだ。


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この話に似た英語の諺的な言い方がある。それは、 When life gives you lemons, make lemonadeということで、つまり人生がレモン〔レモンは欧米ではさわやかなイメージばかりではなく、苦境、欠陥、不快なこと、などの意味を持つ〕をあなたにくれる時、レモネードを作ることである、と言う意味である。発想の転換、逆境を踏み台にする、という肯定的な考え方を示している。私はこの言い方を好むが、子供たちの誰かが、へこんでいるな、という時、よく”When life gives you lemons, let's bake lemon bars!”と言い、実際にレモンバーLemon barsを作った。五人の子供を育てることは、しかし、私にとっては人生のレモンであったことはなく、いつだって本当に楽しいレモンバーであった。


注:Lemon barsとはサクサクとした生地の上にフレッシュなレモンを使い、レモンの風味と酸味を生かしたフィリングをのせた焼菓子。アメリカの世間一般では、チョコレート・ブラウニーと同じく好まれている。


 

bakerbynature.com

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