にぎりは怖い
子どもの時からの仲良しで四国電力の工夫さんになった助さんと政さんの二人は、のどかな小春日和に、大きな杉丸太の電信柱にめんめに上がって配線の取り替え作業に精出していたが、お昼の食事時になった、
政さん大きな声で「助よ昼飯にしょうぜー」と呼びかけた、 助さん「おぅーそぅしよう」と返答して高い電信柱の空から靴に付けた剣金具で杉柱にコッンコッンと踏み差しながら下りてきて、道端の土手に刈り草の日干を尻に敷き二人は弁当を開けて食べ始めた、
互いにおかずを見て政さん塩さばの焼いたのを口にしながら「割に美味しいさばじゃけ食てみいゃ」、と半分割って助さんに、助さんも「おらんくの女房は卵ばっかりじゃ」と言ぃながら政さんに分ける、
政さんの言ぅこと「おんしんくの女房は助が弱ったらいかんけと気をつこぅちょるがょ」、と互いにムゴムゴ食べて、ハッハーと笑い楽しそうに弁当食べ終わって、さて一服しょうと巻きたばこにマッチで火を付け紫煙を空にむけて吐きながら一息した。
政さんの言ぅこと「助よしょうおらんくの女房の本たい偉いのにゃまいったぞ」、助さん「おまんくの嫁さんは、しょう静かで優しいが、そりゃどうしたぜょ」、 政さん「助も知っちゅうろぅ若後家で皆ながねろぅちゅうあの女ごょねゃ」、うん「おらぁこっそりあれをなつけてねゃちょこちょこお世話になりよったわ。
ところが、あの隣のしゃべりばぁが嗅ぎつけて知ったわ。たまるか女房に言ぅたときたわ、最近みょうに機嫌が悪いと思いよったら、 ひょっこり夕べ夜中に機嫌が良うてあれをしょうと言ぃだしたわ、
おらは調子に乗って出してかまえたわ、そうしたら女房は大事にさすってくれよったは、おらはたまらんけもぅしょうかと言ぅた、とたんにたまるか女房はおらの金玉を両手でギュウと握って、気のくるいそうな顔で『あんたはあの後家えと仲良ししよる、カッチリ証拠が上がっちょるけハガイィーもぅゆるさん』、言ぃもってギュウギュウ締められた、
おらはたまらずもぅ二度とせんけ、 こらえてくれーと太い声もできんし小声でまいったまいった二度とせん言ぃもって、ぐったりいたはゃ、女房は『もう本たいよその女ごには手は付けんかょ 、カッチリ約束すりゃあ許しちゃる』、言ぃもってやっと手を放してくれた、
おらは痛ぅてひゃ汗がでた、やっとおちついて一息した、ところが女房のやつはパットかまえて出して、『二度とせんと約束したけ許しちゃろぅけ、さぁしぃや』、ときたが今のこじゃんとにぎりつぶされたので起こりどころよまいってしもたわ、
そしたら女房の言ぅこと『起こらんのはよそでしちょる証拠じゃ』、フンと鼻息してフトンかぶって寝てしもた。
しょう真面目もんが怒ったら本たい怖いぞ、助も気をつけぇよ」、助さん「おらはおんしの様ぅな男前じゃないけ、それに女ごを引掛けるきようが無いけ、心配ないわ」ハッハーと笑うた。
政さん「おまんじゃけ話したがじゃけ、こんな話を人に言ぅなよ。本たい恥ずかしいけ」、よしよし、「夕べのにぎりは本とにこたえたぞ、それで今日はみょうに体がだるぅて仕事に力が入らんけ」、助さん「そんな時は危ない気を付けて柱へあがれよ」、「おいおい」、と言ぃながら二人は電信柱へ向かって歩きはじめた。
三郎さんの昔話・・・作者紹介
三郎さんの昔話
子どもの時からの仲良しで四国電力の工夫さんになった助さんと政さんの二人は、のどかな小春日和に、大きな杉丸太の電信柱にめんめに上がって配線の取り替え作業に精出していたが、お昼の食事時になった、
政さん大きな声で「助よ昼飯にしょうぜー」と呼びかけた、 助さん「おぅーそぅしよう」と返答して高い電信柱の空から靴に付けた剣金具で杉柱にコッンコッンと踏み差しながら下りてきて、道端の土手に刈り草の日干を尻に敷き二人は弁当を開けて食べ始めた、
互いにおかずを見て政さん塩さばの焼いたのを口にしながら「割に美味しいさばじゃけ食てみいゃ」、と半分割って助さんに、助さんも「おらんくの女房は卵ばっかりじゃ」と言ぃながら政さんに分ける、
政さんの言ぅこと「おんしんくの女房は助が弱ったらいかんけと気をつこぅちょるがょ」、と互いにムゴムゴ食べて、ハッハーと笑い楽しそうに弁当食べ終わって、さて一服しょうと巻きたばこにマッチで火を付け紫煙を空にむけて吐きながら一息した。
政さんの言ぅこと「助よしょうおらんくの女房の本たい偉いのにゃまいったぞ」、助さん「おまんくの嫁さんは、しょう静かで優しいが、そりゃどうしたぜょ」、 政さん「助も知っちゅうろぅ若後家で皆ながねろぅちゅうあの女ごょねゃ」、うん「おらぁこっそりあれをなつけてねゃちょこちょこお世話になりよったわ。
ところが、あの隣のしゃべりばぁが嗅ぎつけて知ったわ。たまるか女房に言ぅたときたわ、最近みょうに機嫌が悪いと思いよったら、 ひょっこり夕べ夜中に機嫌が良うてあれをしょうと言ぃだしたわ、
おらは調子に乗って出してかまえたわ、そうしたら女房は大事にさすってくれよったは、おらはたまらんけもぅしょうかと言ぅた、とたんにたまるか女房はおらの金玉を両手でギュウと握って、気のくるいそうな顔で『あんたはあの後家えと仲良ししよる、カッチリ証拠が上がっちょるけハガイィーもぅゆるさん』、言ぃもってギュウギュウ締められた、
おらはたまらずもぅ二度とせんけ、 こらえてくれーと太い声もできんし小声でまいったまいった二度とせん言ぃもって、ぐったりいたはゃ、女房は『もう本たいよその女ごには手は付けんかょ 、カッチリ約束すりゃあ許しちゃる』、言ぃもってやっと手を放してくれた、
おらは痛ぅてひゃ汗がでた、やっとおちついて一息した、ところが女房のやつはパットかまえて出して、『二度とせんと約束したけ許しちゃろぅけ、さぁしぃや』、ときたが今のこじゃんとにぎりつぶされたので起こりどころよまいってしもたわ、
そしたら女房の言ぅこと『起こらんのはよそでしちょる証拠じゃ』、フンと鼻息してフトンかぶって寝てしもた。
しょう真面目もんが怒ったら本たい怖いぞ、助も気をつけぇよ」、助さん「おらはおんしの様ぅな男前じゃないけ、それに女ごを引掛けるきようが無いけ、心配ないわ」ハッハーと笑うた。
政さん「おまんじゃけ話したがじゃけ、こんな話を人に言ぅなよ。本たい恥ずかしいけ」、よしよし、「夕べのにぎりは本とにこたえたぞ、それで今日はみょうに体がだるぅて仕事に力が入らんけ」、助さん「そんな時は危ない気を付けて柱へあがれよ」、「おいおい」、と言ぃながら二人は電信柱へ向かって歩きはじめた。
三郎さんの昔話・・・作者紹介
三郎さんの昔話