えぇこと金儲け
色は金なり。昔の田舎であそこはお金もある偉いという家は農家では大地主、町では店を張って物を商う商売人の家でした。
ある店で味噌醤油の調味料から日用雑貨品、小物を売っていてよく売れて繁盛し町でもお金持ちの指に入り、人の羨むお店でした。
そのお店に、もぅ年寄りで楽隠居で気楽にしたらよいのに何時も店に出てゆっくりと物売りの手伝いをしている、渡世人のおばあさんがいた。
当時の貧しい普通の人は他人が偉かったり出来すぎていると羨んだり悪口を言ぅのが常である。
A「あの店のおばあさんは少しがめついがホントにりこぅもんで渡世がえらいのぅし」
B「あそこの息子もりこぅもんで、渡世は上手じゃが、元を言ぅたら、あのおばあさんは梃子にあわんりこうもんでのぅし、こんな話があるのよ」
A「どんな事があったの」
B「おまん若いけ知るまい話ちゃろ、あのおばあさんはとっとのてん黒ぅで若い時にのぅし、貧乏な夫婦で二人で精出して働いていても、まともな働きでは普通の子やらいで人並みの渡世で、お金もできんただ難儀して貧乏でおわる、それで小金の元手をつくって商売して渡世を上げちゃろと思い、とっぴなアイデアを考え出して亭主を言ぃくるめて実行に移したわ」
A「そりゃどんなことぜょ」
B「さぁそりゃ誰でも出来そうで中々できんことよ」
A「どうして」
B「まぁ話を聞いて、今はあのおばあさん年取って皺じゃけんど若い時は奇麗で中々の愛敬よしじゃったと、それが媚びつかぅて大家の嫁さん持ちの旦那を都合よう引っ掛けて、大事なことをこっそりと実施して相手をのぼせさせ次の日時を決めて亭主の留守に呼び込み、内緒ごと熱演の最中に留守のはずの亭主がポッカリ出てきて現場を押さえる。
さぁ大事よ。間男は女に引きかけられたとは思わず、えい若嫁のしわいがじゃ遊びの気分でやったのが、亭主にカッチリと現場見付けられて段つんだ。
亭主は顔赤らめて本怒りで『おらの女房を惑わしていらん事した、もぅ許さん。もしこれで子でも出来てみい、おらぁ人の子を育てにゃいかん、そんなことは出来んけ女房はいなす。おんしはおらんくの家をこわしたねゃ本たい許さん、おんしんくの家も只ではすまんぞ、こじゃんと言ぃふらして家ぇをこわすぞ』とおどして段つける。その間あの嫁はんはしくしく泣いてごまかしよる、間男はホントにまいって頭を畳にこすりつけて『なんでもするけこらえてくれぇ』と恐れ入る。その問答がしばらく続き、やがてお金で内緒にして、他言せぬとして話がつく。
やがてお金を手に入れて夫婦はほくほくし、えぇことしての金儲けこんな美味しいこと忘れられず。
次はボンボン、若旦那と次々に色仕掛けで脅して金儲けて、小商売から小金貸しと中々のやりやのおばあさんで今の大家になったがじゃと」
A「たいしたやりやのおばあさんじゃのぅし」
B「お金儲けも色々あるが、えぇことして金儲けこんなえぇことはないが一つやって見たらどうぜよ」
A「私ゃ貧乏してもそんな器用なことはよぅせんけ」
B「お金がほしゅうても人に恥ずかしいことは誰もよぅせんぜょのぅし」
A「ほんとほんと」。
色は金なり、お金をお色気が食っちゃった。
注:後家ぇさんなら仕方がない時もあるが、間違ぅても人の嫁さんには手は付けられん。
三郎さんの昔話・・・作者紹介
三郎さんの昔話
色は金なり。昔の田舎であそこはお金もある偉いという家は農家では大地主、町では店を張って物を商う商売人の家でした。
ある店で味噌醤油の調味料から日用雑貨品、小物を売っていてよく売れて繁盛し町でもお金持ちの指に入り、人の羨むお店でした。
そのお店に、もぅ年寄りで楽隠居で気楽にしたらよいのに何時も店に出てゆっくりと物売りの手伝いをしている、渡世人のおばあさんがいた。
当時の貧しい普通の人は他人が偉かったり出来すぎていると羨んだり悪口を言ぅのが常である。
A「あの店のおばあさんは少しがめついがホントにりこぅもんで渡世がえらいのぅし」
B「あそこの息子もりこぅもんで、渡世は上手じゃが、元を言ぅたら、あのおばあさんは梃子にあわんりこうもんでのぅし、こんな話があるのよ」
A「どんな事があったの」
B「おまん若いけ知るまい話ちゃろ、あのおばあさんはとっとのてん黒ぅで若い時にのぅし、貧乏な夫婦で二人で精出して働いていても、まともな働きでは普通の子やらいで人並みの渡世で、お金もできんただ難儀して貧乏でおわる、それで小金の元手をつくって商売して渡世を上げちゃろと思い、とっぴなアイデアを考え出して亭主を言ぃくるめて実行に移したわ」
A「そりゃどんなことぜょ」
B「さぁそりゃ誰でも出来そうで中々できんことよ」
A「どうして」
B「まぁ話を聞いて、今はあのおばあさん年取って皺じゃけんど若い時は奇麗で中々の愛敬よしじゃったと、それが媚びつかぅて大家の嫁さん持ちの旦那を都合よう引っ掛けて、大事なことをこっそりと実施して相手をのぼせさせ次の日時を決めて亭主の留守に呼び込み、内緒ごと熱演の最中に留守のはずの亭主がポッカリ出てきて現場を押さえる。
さぁ大事よ。間男は女に引きかけられたとは思わず、えい若嫁のしわいがじゃ遊びの気分でやったのが、亭主にカッチリと現場見付けられて段つんだ。
亭主は顔赤らめて本怒りで『おらの女房を惑わしていらん事した、もぅ許さん。もしこれで子でも出来てみい、おらぁ人の子を育てにゃいかん、そんなことは出来んけ女房はいなす。おんしはおらんくの家をこわしたねゃ本たい許さん、おんしんくの家も只ではすまんぞ、こじゃんと言ぃふらして家ぇをこわすぞ』とおどして段つける。その間あの嫁はんはしくしく泣いてごまかしよる、間男はホントにまいって頭を畳にこすりつけて『なんでもするけこらえてくれぇ』と恐れ入る。その問答がしばらく続き、やがてお金で内緒にして、他言せぬとして話がつく。
やがてお金を手に入れて夫婦はほくほくし、えぇことしての金儲けこんな美味しいこと忘れられず。
次はボンボン、若旦那と次々に色仕掛けで脅して金儲けて、小商売から小金貸しと中々のやりやのおばあさんで今の大家になったがじゃと」
A「たいしたやりやのおばあさんじゃのぅし」
B「お金儲けも色々あるが、えぇことして金儲けこんなえぇことはないが一つやって見たらどうぜよ」
A「私ゃ貧乏してもそんな器用なことはよぅせんけ」
B「お金がほしゅうても人に恥ずかしいことは誰もよぅせんぜょのぅし」
A「ほんとほんと」。
色は金なり、お金をお色気が食っちゃった。
注:後家ぇさんなら仕方がない時もあるが、間違ぅても人の嫁さんには手は付けられん。
三郎さんの昔話・・・作者紹介
三郎さんの昔話