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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

「自衛権」にこだわるイスラエルとアメリカ。大日本帝国の中国侵略、ブッシュ米大統領のイラク戦争、プーチン露大統領のウクライナ侵略。「自衛の戦争」ほどいい加減で危険な大義名分はない。だから憲法9条なのだ

2023年10月27日 | 日本国憲法の先進性

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 国連安全保障理事会は2023年10月25日、パレスチナ自治区ガザ支援のため戦闘の一時停止を求める米国作成の決議案を採決しましたが、ロシアと中国が拒否権を行使し、否決されました。

 日米英仏など10カ国が賛成しましたがアラブ首長国連邦(UAE)も反対し、ブラジルとモザンビークは棄権しました。

 その後、ロシアが対案として提出した即時停戦を求める決議案も採択に必要な9カ国の賛成を得られず否決されました。

 賛成は中ロなど4カ国にとどまり、米英は反対し、日仏など9カ国が棄権しました。

 両決議案がいずれも否決され、安保理はまたしても危機的な状況を前に一致した対応をとれない事態に陥っています。

イスラエルとハマスの大規模戦闘に一時停止を求める国連安保理決議案にアメリカが拒否権発動!「世界の人々があなたたちをイスラエルの共犯者だとみなしており、その憎しみを目の当たりにする」(イラン大統領)

 

 

 米国の決議案は、ハマスによる「凶悪なテロ」を非難し、あらゆる国にテロに対する自衛権があると明記しています。

 そして、国際法に基づく民間人の保護の順守を双方に強く求め、ガザで活動する「テロ組織」への武器供給や経済的な支援を止めるよう関係国に呼びかける内容でした。

 アメリカと持ちつ持たれつの関係のイスラエルに配慮しすぎて余計なものをくっつけすぎ!

 戦闘の中断ではなく停戦を求めないのも、イスラエルの空爆と地上侵攻に含みを持たせるためです。

 この決議案に拒否権を行使した中国の張軍国連大使は米国の決議案を

「著しくバランスを欠き、善悪を混同している」

「停戦と戦闘終結を求める世界の強い要請が反映されていない」

と説明しましたが、確かにアメリカの決議案は酷い代物でした。

 

バイデン米大統領がハマスとロシアを同列の脅威として「近隣の民主主義国家を完全に破壊しようとしている」。違う!ウクライナを侵略しているロシアと同列に論じられるべきはアメリカが支援するイスラエルだ。

 

 

 それにしても、イスラエルはいまだに自分の攻撃は自衛権の行使と言っています。

 10月25日に

パレスチナ市民を5700人、子どもだけで2300人殺しているイスラエル政府の国連大使が「ハマスの攻撃は理由もなく起こったものではない」と発言したグテーレス事務総長に即時辞任を要求する非道さ。

という記事を書いたのですが、わずか二日間でガザの死者は7000人を超え、子どもの死者は3000人を超えました。

 つまり毎日毎日イスラエルは子ども300人以上を含む700人のパレスチナ市民を殺していることになります。

 もうハマスによるイスラエル市民の犠牲者はほとんど増えない状態なのに、ハマスが無差別殺戮したイスラエル市民の5倍以上のパレスチナ市民をイスラエル軍は殺しています。

 イスラエル国にはもちろん自衛権がありますが、こんな著しく均衡を失した無差別大量殺人が、自衛権の行使の範囲内のわけがありません。

 一方的にイスラエルを支援していることを世界中からの非難されて耐え切れなくなったアメリカのバイデン大統領はとうとう

「パレスチナ側の数字は信用していない」

と言い出しましたが、こんなデータを捻じ曲げて自己の主張を正当化するようなことをしだしたら、ますますアメリカ政府は国際的な信用をなくすだけです。

 

 

 かつて、アメリカ政府が国際的な信用を落とした戦争に2003年3月20日に始まったイラク戦争がありました。

 当時のブッシュ大統領はイラクのフセイン大統領が独裁者である上に化学兵器や核兵器のような大量破壊兵器を具備しているとして戦争に踏み切りました。

 ご存じのように結果としてイラクには大量破壊兵器など一つもなかったのですが、それは常に軍事衛星でイラクを監視していた米軍にはわかっていたはずのことです。

 そして、あのとき、ブッシュ大統領はイラク戦争を「正義の戦争」と呼び、また「自衛のための戦争」だとさえ言ったのです。

 アメリカから遠く離れたイラクによしんば大量破壊兵器があったとして、なぜイラクに戦争を仕掛けることが自衛?

 その説明としてブッシュ大統領は9・11テロでアメリカが攻撃されたことまでもちだし、また同じことやられるかもしれないなどとミスリードしたのですが、それって2001年のことですよ?

 イラク戦争から1年半も前のテロに対する報復をまだ「自衛戦争」と呼ぶ。しかも9・11テロをしたとされるアルカイーダとイラクには何の関係もないのに。

 いかに自衛権の行使だの自衛戦争だのと言うのがいい加減なお題目かを示したのが、アメリカのイラク戦争でした。

 だから、アメリカが「攻撃」されたときの「自衛」戦争に加担する集団的自衛権の行使を認めた安倍政権の安保法制が非常に危険なのです。

イラク戦争開戦から10年 戦争は、破壊は、報復は、誰も幸せにしなかった

9・11テロから20年。900兆円のお金を無駄にして30万人以上の無辜の市民を殺し、数百万人の難民を生み出した「対テロ戦争20年」の教訓。「戦争で得られるものは何もない」という真実。

 

 

 

 集団的自衛権と言えば、ウクライナに侵略しているロシア政府のプーチン大統領も、ウクライナ政府から攻撃されたわけでもないのにウクライナ戦争がロシア国の自衛権の行使だと言っているのをご存じですか?

 有名な「NATOの東方拡大がロシアの存立を脅かす」という例のいい加減な侵略戦争正当化理論だけではないのです。

 ロシアは、今回のウクライナに対する侵略について、国連憲章第 51 条の自衛権、すなわち「集団的自衛権」にもとづく正当な行為で国際法上において適法であると主張しています。

 そして侵略戦争開始3日前の2022年2月21日に、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部ドンバス地域の一部を実効支配する親ロシア派「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認する大統領令に署名し、直後に待機していた二つの「共和国」トップ 2 名と、両地域とロシアの友好相互援助条約に調印しました。

 そして同日にプーチン大統領から出されたビデオメッセージでは、

「現代のウクライナは、ボルシェビキ、共産主義ロシアによってつくられたもので、歴史的には、自らロシア人と呼び、正教会のキリスト教徒だった」

と言い出し、ドンバス地域、ウクライナのドネツク州やルハンスク州において、ウクライナ政府による親ロシア派をはじめとする民間人400 万人に対する恐怖とジェノサイド(集団殺害)の現状があるとしました(もちろん未だに立証されていませんが)。

 そのうえで、8 年間のウクライナ政府による虐待やジェノサイドからドネツクやルハンスクの親ロシア派の人々を守るため、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」との友好相互援助条約により、国連憲章第 51 条の「集団的自衛」を行使するのが今回の「特別軍事作戦」だというのです。

 プーチン大統領も国連憲章に違反する侵略はまずいとわかっているのでこういう正当化をしているわけです(それをどこからともなく流れてくるYouTubeで信じ込んでいるのが親露派陰謀論者)。

【ああ無能】三浦瑠麗氏「ロシアを説得すべきは中国。道徳に鑑みてウクライナを見捨てるべきではない」(呆) 橋下徹氏「ウクライナは太平洋戦争の日本になってしまう」←アジア太平洋戦争の日本は今の侵略ロシア!

 

 

 しかし、もちろんこのプーチン政権の主張は国際司法裁判所(ICJ)に一蹴されています。

 ICJは2022年3月16日、ロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置を出しました。

 この仮保全命令の申し立ては、ロシアの侵攻が始まった直後の2月26日にウクライナがICJに提起していたものです。

 ロシア政府は、上記のように親ロシア派が支配するウクライナ東部でジェノサイドが起きていることを軍事侵攻の理由にしていますが、国際司法裁判所はロシアの言い分を明確に否定し、ジェノサイドの有無はロシアとウクライナ両国が批准するジェノサイド条約に則って同裁判所に付託せよとの命令を出したのです。

 ICJがプーチン大統領の集団的自衛権の行使という言い分を否定するウクライナ側の主張を認めたのは重要です。

 ちなみに、ロシアと中国出身の裁判官は軍事作戦の中止に関する命令に反対した一方で、両国が紛争を悪化・拡大させるような行動を控えるべきだとの点では裁判官は全員一致で賛成しました。

 この命令の中でICJは

「ウクライナで起きている広範な人道上の悲劇を深刻に受け止めており、人命が失われ人々が苦しみ続けている状況を深く憂慮している。

 ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」

としてウクライナの主張を認め、ロシアに対する即時停戦を命じました。 

 この命令には法的拘束力があるので、これにいまだに従わないロシア政府はその点でも違法行為を続けていることになります。

国際司法裁判所がロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置命令(法的拘束力あり)。「ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」

 

 

 もちろん、ロシアに侵略戦争を仕掛けられているウクライナ国のように、その戦闘行為が明らかに自衛権の行使だと認められる例はあります。

 しかし、イラク戦争でのアメリカ政府やウクライナ戦争でのロシア政府のように、侵略する側、それも大国の側が自分の侵略を「自衛権の行使」だとか「自衛戦争」だとか強弁して正当化する例は、歴史上枚挙にいとまがありません。

 その典型的な例が大日本帝国による中国侵略やアジア太平洋戦争です。

 日本はソ連が攻めてくるから満蒙(日本がでっち上げた満州国とモンゴルのこと)が日本の生命線であると言い張って中国侵略を正当化。

 日本の関東軍が中国を侵略し始めたきっかけになった柳条湖事件(南満州鉄道の爆破事件、1931年9月18日)は実は、関東軍が開戦の口実が欲しくて自作自演で鉄道を爆破したのですが、この時も関東軍はこれは中国の仕業だと言い張りました。

 そして、関東軍は「自衛行動」だとして奉天など近隣の中国軍兵営を急襲・占拠し、翌1932年2月までに中国東北部の主要都市を制圧しました。

 これが世にいう満州事変で、3月1日、関東軍は日本の傀儡国家である「満州国」をでっちあげ、映画「ラストエンペラー」で有名な旧清朝の廃帝である溥儀を執政(後に「皇帝」)に担ぎ上げたんですね。

 ちなみに、ロシアのプーチン大統領は開戦当初にウクライナの首都キーウまで攻め込んでゼレンスキー政権を打倒して傀儡政権を作ろうとしました。

 今もロシア政府はゼレンスキー政権を打倒することを戦争の目的だと公言していますが、これって旧日本軍がやったこととそっくりじゃないですか。

 

 

 さらに大日本帝国は同年9月15日の声明で、満州事変について

「国防上国民的生存上帝国(日本)と不可分」「重大権益」を守る「自衛権の発動」

だと正当化し、

「我が国防の安危、国民生存の繋(つなが)る所」

だとして「満州国」を承認したのです。

 さらに、大日本帝国は、1937年7月7日の北京近郊での日中両軍の武力衝突した盧溝橋事件を機に大軍を中国に派兵し、その後、北京、天津などを含む華北から上海、南京まで侵略をしつづけ、のちに日中15年戦争と呼ばれる全面戦争に突入しました。

 その中で出された盧溝橋事件後の同年7月27日の日本政府の声明でも、旧日本軍の軍事行動を「居留民(邦人)保護」の「自衛行動」だと正当化してるんですね。

これだけ他国に攻め込んで、自分の国土の何十倍も占領しておいて、全部「自衛のため」と言い張った大日本帝国。

ロシア軍によるウクライナ侵攻を憲法9条改悪や緊急事態条項創設など改憲の口実にさせるな。むしろ米軍やNATOの軍事的圧力ではプーチン大統領の蛮行を止められなかったことを重視すべきだ。

 

 

 この大日本帝国の侵略戦争を正当化する大義名分やでっちあげって、いま、プーチン大統領がロシア系住民を救うための集団的自衛権の行使だとして侵略戦争を開始し、その後ウクライナ南東部の4州を併合したのとまったく同じやり口です。

 プーチンは日本に学んだんじゃないですか?

 そして、大日本帝国の侵略と植民地支配により欧米諸国から包囲され昭和天皇が1941年12月8日に出した、日本軍によるハワイ真珠湾攻撃の当日に発せられた太平洋戦争開戦の「詔書」には

「帝国の存立亦(また)正に危殆(きたい)に瀕せり…帝国は今や自存自衛の為蹶然(けつぜん)起(た)って一切の障礙(しょうがい)を破碎(はさい)するの外(ほか)なきなり」

 アメリカに戦争を仕掛けるのは、大日本帝国の自存自衛のためで他に選択肢はないというわけです。

プーチン大統領がウクライナ侵攻を「自衛」の軍事作戦だと正当化。大日本帝国が「自衛」戦争だとして中国を侵略したのとそっくりだ。すべての侵略戦争は「自衛」目的で始まる。だから憲法9条が必要なのだ。

 

 

 このように自衛権の行使が侵略戦争開始のいい加減で危険な口実になることを、身を持って体験した日本は日本国憲法第9条で敢えて自衛権を放棄し、戦力も持たないことにしたわけです。

 日本国憲法第9条

①日本国民は、正義と 秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇 又は武力の行使は、国際紛争 を解決する手段としては、永 久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達するため、 陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。

 大日本帝国、アメリカ合衆国、ロシア連邦、イスラエル国というように「自衛権の行使」がいかに都合よく使われてきているかを見てみると、日本国憲法9条の先進性は素晴らしいですね。

 また自衛権の行使だと言って日本から中国に戦争を仕掛けるような芽は絶対に摘み取らないといけないのです。

 

 

 

 

私は国連安保理常任理事国の拒否権制度は、超大国間の対立が「熱戦」にならないように、まだ必要悪としてなければならないと思っています。

しかしこの拒否権制度のために国連が機能マヒ状態になっている今、イスラエル・パレスチナ戦争を停めるのには、当事者意識が旺盛なアラブ諸国や東南アジア諸国の活躍に期待するしかなさそうです。

せっかく憲法9条を持っている日本の岸田政権には、仲介の労を取ろうなどという気概も能力もないのですもの。

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国連安保理、ガザ決議案をまた否決 米案に中国、ロシアが拒否権

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘をめぐる決議案を採決にかけた国連の安全保障理事会=米ニューヨークで2023年10月25日、ロイター

 国連安全保障理事会は25日、パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍との戦闘をめぐり、人道目的の戦闘の「中断」などを求める米国提出の決議案を否決した。15理事国のうち日本を含む10カ国が賛成したが、ロシアと中国は「停戦」を求めていないとして、拒否権を行使した。18日にはブラジル提出の別の決議案に米国が拒否権を行使しており、ガザ地区の人道危機に対し、常任理事国の特権が壁になって再び一致した対応をとれなかった。

 米国の決議案は、ハマスによる「凶悪なテロ」を非難し、イスラエルに配慮する形で、あらゆる国にテロに対する自衛権があると明記。国際法に基づく民間人の保護の順守を双方に強く求め、ガザで活動する「テロ組織」への武器供給や経済的な支援を止めるよう関係国に呼びかける内容だった。中露のほかアラブ首長国連邦(UAE)が反対し、ブラジルとモザンビークが棄権した。

 中国の張軍国連大使は米国の決議案を「著しくバランスを欠き、善悪を混同している」と批判し、拒否権行使の理由について「停戦と戦闘終結を求める世界の強い要請が反映されていない」と説明した。ロシアのネベンジャ国連大使は「米国は、イスラエルによるガザへの地上侵攻に影響を与えることを望んでいない」と対米批判を展開した。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は中露の拒否権行使に「深く失望している」と述べた。

 安保理はロシアが新たに提出した「即時停戦」を求める決議案も採決にかけた。賛成は中国、UAEなど4カ国で、採択に必要な9カ国以上に届かず否決された。米英の2カ国は反対し、日本など9カ国は棄権した。

 これにより、ハマスとイスラエルの軍事衝突が始まった今月7日以降、安保理では関連する四つの決議案が否決されたことになる。ブラジルが提出した戦闘の「中断」を求める決議案には12カ国が賛成したが、米国は「イスラエルの自衛権が明記されていない」として拒否権を行使していた。常任理事国の対立による安保理の行き詰まりを打開するため、マルタは非常任理事国10カ国で近く新たな決議案を提出する方針を明らかにした。

 国連総会(193カ国)は26日から緊急特別会合を開き、ガザの人道問題などについて協議する。パレスチナを支持するアラブ諸国は、即時停戦とイスラエルによるガザ北部からの住民の退避勧告の撤回などを求める決議案を提示している。総会決議に拘束力はないが、イスラエルや支援する米国に対する政治的圧力を強める狙いがある。【ニューヨーク八田浩輔】

 
 
 

「戦闘中断」求めた米の安保理決議案、中露が拒否権行使…中国大使「世界の声反映していない」

 【ニューヨーク=金子靖志】国連安全保障理事会は25日、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの交戦が続くパレスチナ自治区ガザを支援するため、戦闘の中断を求めた米国の決議案を採決し、ロシアと中国の拒否権行使によって否決された。「停戦」を求めたロシアの決議案も必要な賛成数が得られず否決され、安保理として一致した対応を取れなかった。

25日、米国の決議案の採決を行う国連安保理の会合=金子靖志撮影
25日、米国の決議案の採決を行う国連安保理の会合=金子靖志撮影

 米国の決議案には日本や英仏など10か国が賛成したが、中露に加えアラブ首長国連邦(UAE)が反対した。ブラジルとモザンビークは棄権した。中国の張軍国連大使は拒否権行使の理由について「決議案には停戦と戦闘終結を求める世界の声を反映していない」と主張し、イスラエルが計画する大規模な地上侵攻を止められないと説明した。

 米国は18日に戦闘中断を求めた類似の決議案に拒否権を行使して否決させていた。人道危機が深刻化するガザへの国際社会の関心が高まったことなどから、外交姿勢を転換させた。

 

 

 
イスラエル・ハマス衝突
2023年10月27日 6:46
国連総会は27日、イスラエル・ハマスの停戦決議案を採決する=国連提供

【ニューヨーク=佐藤璃子】国連総会は26日、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突を巡る緊急特別会合を開いた。会合冒頭ではイスラエルとパレスチナが互いに非難を繰り広げた。

27日にはアラブ諸国が起草した、即時停戦や人道回廊の設置、人質解放などを求める決議案を採決する見通しだ。

7日のハマスによる攻撃で衝突が始まって以来、同議題で初の総会の会合となった。会合に先立ち、アラブ連盟を代表してヨルダンがパレスチナ自治区ガザなどでの停戦決議案を出した。イスラエル、ハマス両者への直接的な非難は盛り込んでいない。

総会の決議は多数決で採択される。法的拘束力はなく、国際社会の意思を示すことが主眼だ。今回、開催を要請したのはアラブ諸国とロシア、バングラデシュなどアジア諸国だ。

背景の一つには安全保障理事会の機能不全がある。安保理の決議は法的拘束力がある。同様の決議案が何度も提案されたものの、米国やロシアといった常任理事国が拒否権を行使するなど、採択に至っていない。

もう一つがイスラエルと、同国への支援姿勢を鮮明にする米国への反発の広がりだ。イスラエル軍の空爆でガザの市民の犠牲が増え続けている。

空爆停止を求める国際社会の声は強まり、25日には国連のグテレス事務総長がガザの人道危機を巡り「(イスラエル軍の攻撃は)明白な国際人道法違反だ」と述べた。米国も人道的観点から戦闘の一時停止の検討を求めている。

26日には各国代表の演説が始まった。最初はパレスチナのマンスール国連大使で、時折声を詰まらせながら多くのガザ市民が犠牲になっている現状を訴え「これは戦争ではなく民間人に対する攻撃であり、犯罪だ」と主張した。「虐殺を止め、人道支援を届けるためにこの決議案に投票してほしい」と語気を強めた。

一方、イスラエルのエルダン国連大使は「これはパレスチナ人との戦争ではなく、ハマスとの戦争だ」と強調した。アラブ諸国が提案した決議案にハマスを批判する文言が含まれていないことに対し「恥辱だ」と非難した。

停戦決議案を提出したヨルダンのサファディ外相は終始イスラエルを激しく非難し、「安保理が責任を果たさないため、代わりに我々が決議案を提出する。イスラエルがこの決議案を無視することは誰もが知っているが、それでも投票して欲しい」と呼びかけた。

フランシス国連総会議長は「ハマスの攻撃は残忍であり、容認できない。同様にイスラエル軍による罪のないパレスチナ自治区ガザ住民への攻撃も深く憂慮する。自衛権は無差別な報復を合法的に許可するものではない」と双方を非難した。人道支援の重要性も強調した。

 

 

国連総会でガザ特別会合 アラブ諸国が「即時停戦」呼びかけ

国連総会の緊急特別会合で演説するパレスチナのマンスール国連大使=ニューヨークで2023年10月26日、ロイター

 国連総会(193カ国)は26日、パレスチナ自治区ガザ情勢について緊急特別会合を開いた。安全保障理事会が大国による拒否権の応酬で暗礁に乗り上げる中、会合は2日間にわたって続き、イスラエル軍やイスラム組織ハマスに「即時停戦」を求める決議案を27日に採決にかける。

 ガザ情勢をめぐる緊急特別会合の開催は、2018年以来5年ぶり。この日は13カ国・地域の代表が演説した。

 パレスチナ自治政府のマンスール国連大使は「ガザではこの2週間で3000人の子どもたちがイスラエルに殺された」と訴え、「イスラエル市民の殺害に対する答えは、パレスチナ市民の殺害ではない。復讐(ふくしゅう)は行き詰まっている」と指摘。「どうか命を救ってください」と繰り返し、決議案への賛同を訴えた。総会の決議に法的拘束力はないが、193カ国の総意を示す政治的な重みをもつ。

 決議案はアラブ諸国を代表してヨルダンが提示した。ガザ市民への人道支援の速やかな実施を求めている。ハマスやイスラエルを名指しした非難は含まれていないが、双方に民間人に対する攻撃を禁じた国際人道法の順守を要求した。

 ヨルダンのサファディ外相は「怒りで暴力の無益さに盲目であってはならない。同胞の痛みに冷淡になってはならない。我々は人種、国籍、宗教に関係なく、すべての民間人の殺害を非難する」と強調。「イスラエルは総会のいかなる決議も無視することは周知の上だ」とけん制し、参加国に「平和のために団結しよう」と呼びかけた。

 一方、イスラエルのエルダン国連大使は壇上でタブレット端末を取り出し、自国に侵入したハマスの戦闘員がタイ出身の農業従事者を殺害する場面とする映像を示し、「私たちが今目撃した悪を表現する言葉はない」と言及。「これはパレスチナ人との戦争ではない」とした上で、「がんを治す解決策はただ一つ、すべてのがん細胞を摘出することだ」と主張し、イスラエルが掲げる「ハマス一掃」の正当性を説いた。【ニューヨーク八田浩輔】

 
 
 
 

バイデン大統領 ガザ地区の死者について「パレスチナ側の数字は信用していない」 イスラム組織ハマスへの軍事作戦の必要性を改めて強調
TBSテレビ
2023年10月26日(木) 10:06

アメリカのバイデン大統領は、イスラエルによるイスラム組織ハマスへの軍事作戦の必要性を改めて強調するとともに、パレスチナ側が発表しているガザ地区の犠牲者の数について、「信用していない」と述べました。

アメリカ バイデン大統領
「(ハマスの襲撃前日の)10月6日の状況には戻れない。つまり、ハマスがイスラエルを恐怖に陥れたり、パレスチナ市民を人間の盾にしたりしないようしなくてはならない」

バイデン氏は25日、イスラエルによる軍事作戦の必要性を改めて強調しました。一方で、「ヨルダン川西岸で過激派の入植者がパレスチナ人を攻撃していることを警戒している」とするなど、イスラエル側の動きも牽制しています。

また、ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルに対して、市民の保護の重要性を改めて指摘する一方で、パレスチナの保健当局が「6000人以上が死亡した」と発表していることについて、「パレスチナ側の数字は信用していない」と述べました。

 
 

ガザ地区保健当局 死者数疑問視のバイデン大統領に反発

 

一方、ガザ地区の保健当局は26日、イスラエル軍による空爆などで死亡が確認されたとする人のうち6747人の名前や年齢、性別などをまとめた資料を公表しました。

これはアメリカのバイデン大統領が死者の数を疑問視した発言を受けたもので、ガザの保健当局はSNSに「われわれの市民は無視できる存在ではない」と投稿するなど強く反発しています。

またヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区のジェニンなどの都市でも、イスラエルの治安部隊との衝突が続いていて、26から27日にかけては少なくとも4人が死亡しました。

 
 

春秋

2015年4月10日 3:30 日本経済新聞


「満蒙は日本の生命線」とは昭和6年にのちの外相、松岡洋右が初めて唱え、世に広まったスローガンである。満州(中国東北部)と内モンゴルは戦略的にも経済的にも、日本の存亡がかかった地域だという意味だ。これと並べてじつは、もうひとつ生命線論があった。

▼「南洋は海の生命線」。そんなタイトルの本が出たり映画がつくられたりしている。しかしさほど知れ渡らなかったのは、やがて太平洋が戦場になるとは一般の想像が及ばなかったためだろう。サイパン、トラック、パラオ……。日本の委任統治下にあった群島には、矛盾をはらみつつも穏やかな歳月が流れていたという。

▼太平洋戦争はまさに太平洋の、こうした美しい島々をめぐる攻防であった。海と島はにわかに戦場となり、おびただしい数の人々が落命した。玉砕というむごい死が無数にあった。きのうペリリュー島で天皇、皇后両陛下は慰霊碑に白菊を供え、十数秒間も拝礼された。去来した思いは果てしなく痛切であったに違いない。

▼満蒙を生命線と呼んだ日本だが、最後には海の生命線が運命を決める。島々の陥落はそのまま本土空襲につながったからだ。満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、日本のあり方を考えていくことが極めて大切だ――。ことしの年頭の、天皇陛下の所感である。2本の生命線にまつろう悲劇に、どう目を凝らそう。

 

 

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9 コメント

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Unknown (秋風亭遊穂)
2023-10-27 21:17:11
 明海大学の小谷哲男教授によれば、5カ国共同声明等で述べている「自衛権」は国連憲章によるものではないという。国連憲章では必要性と均衡性が求められるが、これだとイスラエルは反撃できない。だから”right to defend itself against terrorism(テロリズムからの自衛権)”とされたという(10/23 報道1930)。
 現在、2国家共存というのが国際社会で確認されている事項。1967年の国連安保理決議242の原則に立ち返り、ハマスらの勢力にはイスラエル国家の承認を明言させ、イスラエルに対しては違法入植地の返還をさせることになるが、軍事力にものを言わせるイスラエルは和平を望んではいない(それは軍事力を過信する大きな間違いだが)。それが今年6月の米国の苦言「2国家解決の実現をより困難にし、和平の障害となるこのような一方的な行為(違法入植)に米国は反対する」も意に介さず違法入植を進めることに見られる。昨年発足した史上最悪の極右政権の影響もあるだろう。また、イスラエルロビーに脅される米国政府は強い措置が執れない。それがトランプのような露骨なパレスチナ切り捨て政策にも現れていたし、バイデンの「自衛権」支持にも見られる。もはやイスラエルロビーに対抗できるのは、パレスチナの平和を願う民衆の良心だけだろう。米国は目覚めなければならないのだが。
返信する
詳しい解説ありがとうございます (raymiyatake)
2023-10-27 21:50:15
六カ国は”right to defend itself against terrorism(テロリズムからの自衛権)”が国連憲章の自衛権とはまた違うと認めているのでしょうか。
それとも小谷先生の解釈なのでしょうか。

イスラエル国の存在も認めず、イスラエルの市街地に乗り込んで市民を殺して回ったハマスの犯罪を許してはならないのが前提ですが、イスラエルの違法入植や軍事支配がスルーされ過ぎていたことも事実。

バイデンでもトランプでもとにかくイスラエルだけは支援するアメリカ合衆国の問題もこの際はっきりさせて、アメリカに従属している日本も変えていかないといけないと思っています。
そうでないと辺野古の問題も解決できないです。
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Unknown (秋風亭遊穂)
2023-10-28 10:01:20
 小谷先生は、反撃について国連憲章による制約回避のため、”right to defend itself against terrorism(テロリズムからの自衛権)を別途用いたと解説しているので、6カ国は知っていたと思います。理由は、市街戦の戦闘について「建物を破壊してから」が想定されているので、避難できない多数の民間人が犠牲になるのも6カ国は理解しているのでしょう。だから「テロリズムからの自衛権」が必要だったかと。
 なお、テロリズムは武力で排除できないというのは多くの有識者も述べていますが、それでもイスラエルの「自衛権」を支持する論調があるのは嘆かわしい。

 自衛権の歪曲は、ご指摘のとおりロシアも激烈に行っています。ウクライナ全面侵攻直前の言い分が、核兵器を持っている、ロシア系住民が虐殺されている等のでっち上げでした。4州併合まで行き着いても反米拗らせ論者は「ウクライナとNATOがロシアを挑発した」という妄言を繰り返しており、救いようがありません。

 なお、小谷先生の解説は、なぜ日本が声明に加わらなかったのか、という問いから派生したもので、「テロリズムからの自衛権」による民間人の犠牲が原因だからではないかと推察していました。ただ、松野官房長官の公式発言では「6か国は誘拐・行方不明者などの犠牲者が発生しているとされる国々だ」から、というもので、国際政治学者の高橋和夫先生も、ものの言い方に問題ありと苦言を呈しておりました。民間人の犠牲を伴う「テロリズムからの自衛権」を批判するのではなく、自国に火の粉がかからなければ何もしないという姿勢が露呈しました。もっとも、ISの時は人質を救済しませんでしたが。
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固有名詞を入れ替えると (時々拝見)
2023-10-28 11:18:39
満州は日本の生命線→ウクライナの州はロシアの生命線→ヨルダン川西岸はイスラエルの生命線
満蒙開拓団→ヨルダン川西岸入植者
ユダヤ人自治地区(ナチスによるゲットーの言い換え)→ガザパレスティナ人自治地区
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枕詞 (ゴメンテイター)
2023-10-28 12:05:19
「ハマスの・・・・許されないが」。イスラエルの蛮行を非難するとき、枕詞のように使われるこのフレーズ。

国連のグテレス事務総長も同じでした。安全保障理事会で、このフレーズに続けて「何もなく突然起きたわけではないと認識することも重要だ。パレスチナの人々は56年間、息苦しい占領下に置かれてきた」と述べました。

このことを引用した今朝の毎日新聞のコラム「土記」がすごい。

グレテス事務総長に辞任を迫ったイスラエルを指して「テロ非難やホロコーストを持ち出せば全てが正当化され、異論を許さないような主張には、国際世論にも同調しがたい空気が広がっている。」と言い、最後には思想家ハンナ・アーレントが書いたナチスの元親衛隊中佐アイヒマンの裁判傍聴記を挙げ「600万人もの大虐殺はなぜ可能だったか。ユダヤ人の移住を主張するシオニストやユダヤ人社会の長老たちがナチスに協力したのが一因だ。その事実を彼女は逃げずに書いた。」と記しています。

ガザはかつてのアウシュビッツのガス室のようです。どこにも逃げられな状態で、狭いか広いかの違いと、ガスとミサイルの違いだけ。
大量殺戮を狙うイスラエルが、ナチスに見えてしまいます。
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国際法では (raymiyatake)
2023-10-28 15:29:10
自衛権とは国連憲章にも記述のある自衛権だけであって、テロリズムに対する自衛権なんていう学説は聞いたことがありません。
ネオコン学者が創造したのかもしれませんが。

『「ハマスの・・・・許されないが」。イスラエルの蛮行を非難するとき、枕詞のように使われるこのフレーズ。』
と反米拗らせ論者や親露派がウクライナ戦争について申し訳程度に書く
『ロシアの侵攻は許されないが』
は意味合いが違うと思うんです。

ウクライナ戦争での主役で主犯はロシア政府ですからこれを枕詞にするのは責任逃れですが、イスラエル・パレスチナ戦争では文字通りハマスはもはや脇役で、イスラエルが主役ですから。

反米拗らせ論者はロシアが侵略しているウクライナ戦争でアメリカの悪口を書くのは力技なので、みんなイスラエル戦争の方に流れて行ってしまい、まだウクライナ戦争のことを書いているのは一握りの元祖親露派陰謀論者だけになってしまいました。
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現状は、ホロコーストの到来です。 (舶匝)
2023-10-28 22:49:56
ガザ地区にとっても、イスラエル国民にとっても。
このあたりの恐怖感は、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教の信徒以外には伝わりにくいのでしょうけど……現状は、『「自衛権」にこだわる』程度のことではありません。
現状は、民族の存亡を決する「ハルマゲドン」です。当事者たちにとっては。

イスラエル側の恐怖心を如何に崩すか。

これが、今の地獄から引き戻す「蜘蛛の糸」です。

自衛権云々は所詮、恐怖心の逃げ場。当事者にとって。

自衛権周りや国際法周りに目を向けても、イスラエル側の恐怖心を、消すことはできません。

そもそも戦時では、法が羽のように軽くなります(平時でも、国際法学者・位田隆一が指摘したように、(国際)法は盤石ではないですけど)。

法学の知見が通じない状況に、無力感は感じています。
が、パワーゲームを通じて、平穏を取り戻せる好機はきっとある、とも感じています(国連総会の決議はその兆候である、と思いたいです)。

(ガザ地区側の恐怖心は、水の権益をイスラエル企業からPLOに移すだけでも、ある程度、緩和できるでしょうけど……)
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9,11以降の流れをご確認を (舶匝)
2023-10-28 23:06:55
『しかし、自衛権とは国連憲章にも記述のある自衛権だけであって、テロリズムに対する自衛権なんていう学説は聞いたことがありません。』は、学修不足感。

「米国の解釈によれば、非国家主体によるテロは国連憲章第 51 条に定める「武力攻撃」を構成し、これに対して被害国である米国は自衛権を発動することは可能である。」
「テロに対する自衛権の援用は、単に非国家主体がしかける加害行為が大規模である故に正規軍による侵略に相当しうる(=「武力攻撃」への該当性の判断)というのみならず、個別のテロ犯罪について本来取締りの役割が期待される国家に代わって、被害国が何らかの措置を講ずる権限を承認する(=例外的な域外執行措置の合法化)機能を果たしている」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/briefing/pdf/2004/200404.pdf

この道理が通らないと、「民間軍事会社が民間企業からの依頼を受けて、ある国に武力攻撃を加えた」状況(近い例はハワイ王国消滅の過程)では、どの政府も自衛権行使をできない、という不都合が起きます。

「国際刑事法上のテロの規制や、安保理の実施する強制措置は必ずしも個別国家による自衛権援用の選択肢を排除していない。同種の事件が今後起きた場合に自衛権の発動を許さず、被害国単独の判断による軍事的措置を阻止しようとするならば、何らかの代替的手段が用意されなければならないであろう。」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/briefing/pdf/2004/200404.pdf
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それはアメリカの勝手な理屈です (raymiyatake)
2023-10-29 00:48:26
1 『現状は、民族の存亡を決する「ハルマゲドン」です。当事者たちにとっては。』

これは明らかな嘘です。
アメリカ国内のユダヤ人やイスラエル国内のユダヤ人でさえ、イスラエル政府の空爆や地上侵攻に反対するデモをしている現状からは、ユダヤ人が自分たちにまたホロコーストが降りかかる恐怖にさいなまれているとか、アルマゲドンと感じている、などという話自体、イスラエルの戦争犯罪を糊塗するでっち上げに過ぎないことは明らかです。

2 国際法の議論について
9・11後のアフガニスタンへの攻撃についてそれが自衛権の発動だという議論がリベラル派の国際法学者によっても唱えられたことは、拙ブログでも取り上げたことがあります。
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/6752cb34487d8cdc656ce8286decd39d

しかし貴兄が引用しているこの日本の防衛研究所初の小論文でさえ
『しかし、個別国家による武力の使用及び威嚇は、原則として国連憲章の下で禁止されている(第2条4項)ことを想起すれば、このような自衛権の拡大解釈が今後定着していくか、決断を下すには慎重な検討が必要である。』
となっているように、自衛権の拡大解釈はアメリカ政府のご都合主義であるとして国際法学会では顧みられていないのが現状です。

ちゃんとした学者の論文をお読みになるといいでしょう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokusaianzenhosho/30/1-2/30_68/_pdf
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