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22日、ウクライナ東部で砲撃を受けて黒い煙が立ち上る発電所(AP=共同)

爆発音が鳴り響き、破壊されたビルの残骸が散らばる街。懸念された事態が現実になった。

ウクライナ当局などによると、ベラルーシとの北部国境と、ロシアが実効支配する南部クリミア半島との境界の施設が攻撃を受け、地上部隊が侵入した。

ロシア国防省は11空港を含む74の地上施設を破壊したと発表。ウクライナ側によると、軍や民間の施設が巡航ミサイルなど30発以上で空爆された。4発の弾道ミサイルはベラルーシから発射された。政府や外務省、議会などのウェブサイトはサイバー攻撃を受けた。

ウクライナ高官はキエフ北郊の空港周辺でロシア軍のヘリコプターが攻撃するなど激しい戦闘が続いていると説明。南部オデッサ州への攻撃では計22人が死亡。1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発周辺でも戦闘が起きている。

ロシア軍は、ウクライナ南部のクリミア半島と接するヘルソン州内のゲニチェスクを掌握。地元当局者が明らかにした。 ロイター通信によると、ウクライナ当局者は兵士40人以上が死亡したと発表。市民にも死傷者が出ている。

ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指しており、プーチン氏はNATOが冷戦終結後も東方拡大を続けることに反発。24日の演説でも拡大を容認できないと主張し、ウクライナ東部ドンバス地域での軍事作戦を表明した。

ドンバスで親ロシア派武装勢力が実効支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立は21日に承認し、軍派遣を命令していた。プーチン氏は自衛目的で、ウクライナの占領は計画していないと強調したが「ロシアを攻撃した者は敗北と恐るべき結果を引き起こす」と強い言葉でけん制した。

ウクライナ政府は全土に戒厳令を発令。キエフ出身のアスリートが、危機に陥った母国の状況を切実に明かした。

東京五輪柔道女子48キロ級銅メダルのダリア・ビロディド(21)は24日、インスタグラムに「午前6時に銃声で目が覚めた。言葉がない」と投稿。「ロシアは私たちを爆撃し、戦争が始まった。こんなことが起きるとは思わなかった」などと心境を吐露した。

米欧からの数度にわたる警告を振り切ったロシアの強行突破で、対立の激化は必至な情勢だ。バイデン米大統領は声明で「プーチン氏は破滅的な人命の損失をもたらす戦争を選んだ。同盟・友好国と結束して断固対処する」と非難した。

米欧は、ロシアが2014年にクリミア半島を強制編入して以来、科してきた経済制裁をさらに強化する。両陣営に漂う緊迫感は増すばかりだ。