ざっきばやしはなあるき  

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美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』

2016-06-12 21:38:36 | 映画[は]
『BANKSY Does New York』

 他人の家や塀や公共物に無断で絵や文字を書きなぐる迷惑千万な落書きストリートアート。先日も民家に「バカ」とか「アホ」とか落書きした千葉県の塗装工が捕まったばかり。文字はだめだけれど芸術はOK、なんてこともなく、基本的に違法な行為だ。そんな中からキース・へリングみたいなビッグネームも誕生してしまうから余計ややこしい。

 2013年10月1日、正体不明のイギリス人バンクシーがニューヨークに乗り込んで、1か月に渡り毎日1作品を街中に展開するというゲリラ戦法。この映画は、その狂乱の1か月を追ったドキュメンタリー。バンクシーはその作品をネットで公開するのだが、場所は明かさない。するとネットを見た市民が作品を探して街中を駆けずり回る。運よく探し出した人が「ここにあった!」と自慢げにそれをネットで公開、それを見た人々もそこに殺到する。バンクシーは事前に用意したステンシルを使ってチャチャッと仕上げて姿をくらます。作品は絵に限らず文字だけだったり立体物だったりインスタレーションだったりさまざま。それを追っかける市民だけはやたら楽しそう。

 タイミングを逃すとその落書きは当局の手によって消し去られてしまう。急がなくちゃ。ちなみにこの画像の作品は4時間後には消されたらしい。すべて消されるわけでもなく、描かれた物件の価値まで上がるので強化アクリルで保護したり、という倒錯した世界。

 消し去られなかったら安心かというとそうでもない。関係ないのに見物料金を徴収するせこい市民。描かれた壁を、シャッターを、作品そのものを、白昼堂々盗んでいって売り払う泥棒市民。これがまた高値で売れる。買うヤツも買うヤツだが。もはやモラルもコンプライアンスもない。盗んだバイクで走り出すようなものだ。盗まれるのを阻止しようとする市民、そこへ警官登場。ニューヨークはお祭り騒ぎ。

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