私が小学校に入学した時はまだ木造校舎があった。
確か3階建てではなく2階建てだったような気がする。
教室のドアは滑りが悪く、なかなかピシャットしまらない。
木の節目が盛り上がっていたり、コーティングなどされていない長い廊下は、
雑巾がけが上手く進まない。
たまに、給食の牛乳を溢した所がピカピカしてたりする。
あの廊下は、100mはあった。
多分これは私の記憶違いなんだろうね。
でも、物凄く長い廊下の記憶しかない。
小学校1年生には、そう見えてしまったんだと思う。
あの木造校舎は、私達が2年生になる前に取り壊される事が決まっていた。
だから、私達より下の学年の子は木造校舎を知らない。
冬の隙間風の入る教室も、ベコベコ言う廊下も、誰かが掘った落書きも。
私はギリギリ間に合った。
たった1年だったけど、私の初めての学び舎は あの木造校舎だ。
この歳になって思う。
もう一度学びなおさなければならない事があると。
あの木造校舎がもし今もあったなら、
大人になった私達を、もう一度向かい入れてくれるような気がする。