不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「見知らぬ、天井」

2005年08月21日 23時53分58秒 | Life

 知っている人は、知っている「エヴァンゲリオン 第二話」のタイトルなのだが、この言葉は私自身の、とある「キーワード」だったので、初めて「エヴァ」を見たときには、ちょっと驚いた。

 いや、そんな深い意味ではない。
 私が、ふと「見知らぬ天井」という単語を思いつくのは、「知らないところに泊っている」時だ。

 以前の記事にも書いたけれど、昔の「天井」って、節目やら年輪やらで、それぞれの家や部屋毎に独特の表情があった。
「天井」は、人が誰しも仰向けに眠るとき、目にする所である。
 今のような「無表情」な天井はいざ知らず、昔の個性的な天井は、不思議と憶えてしまっている物である。
 私の友人などは、そこに浮かび上がる「者共」に、それぞれ愛称をつけていた位だ。

 それ故、寝ようとして見上げた天井が、いつもと違うと、
「ああ、違うところに来たのだ。」
という事をまざまざと実感する一瞬だった。

 最初に、そう言う感覚を持ったのは、小学校の低学年の夏休み、一人で母方の祖父母の家に泊ったときだった。
 夜まではしゃぎまくり、風呂を出て寝間着に着替えるとそのまま、ぐっすり眠ってしまったのだが、ふと、夜中に目覚めて、天井を見上げて思ったのが、
「ああ、うちじゃないんだ。」
という感覚だった。

 もちろん、そう思ったとたん、そのまま泣き出して祖父母を困らせたのだが。

 具体的に、「見知らぬ天井」という言葉を思ったのは、小学6年の折、大けがをして入院したときだった。
 大部屋に入院していたので、人が起きている間は結構賑やかだったのだが、家にいるより早い消灯で、皆寝静まったとき。
 病院の雰囲気と相まって、その木造の病棟の天井の模様が、嫌にまがまがしく思えた物だ。
 そして、そのとき思った言葉が、
「・・・見知らぬ天井だなぁ」
だったのだ。
 その夜は、ベッドで声を殺して泣いた。
 もう、泣いたことを知られるのは、恥ずかしい年だったからだ。

 ある意味、めげているときに感じる感覚なのかもしれない。
 
 ただ、この感覚は、最初に書いたとおり、個性的天井が有った方が強く思う物であって、幸いにしてなのか、残念ながらなのか解らないけれど、高校で家を引っ越して、天井が合板になり画一的な木目になると、そう思う機会もどんどん減っていった。

 最後に、その言葉を思い起こしたのは、入社時の寮が恐ろしく古くて、天井が懐かしい木製だった時である。
 ああ、もう、社会人なんだなぁ、と「見知らぬ天井」を見上げながら、一人思いにふけった物である。 
 いや、今時は泣いてないよ。泣いてないってば!

 昨日、ちょっと親戚宅に泊ることになり、そこが古い木造の天井だったので、ふと思い出した話でした。

 ちなみに、「モンスター」繋がりで扉絵をつけたが、残念ながらこういうカラフルは「モンスター」は、天井には登場しにくいので、あしからず。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
思ったこと (介護人たま)
2005-08-22 10:22:57
「見知らぬ、天井」と聞いて、

なんとなく、わたしが思ったことは…



大地が揺らいでも人々は動揺するけれど

もし天が揺らいだとしても(いつもと異なっているということ)

やはり人は、動揺するのだ、ということでした。



いや、書いてしまうと当たり前でつまらないけれど。

空が未来もそこにある可能性だって、本当は怪しいし。



追伸:

ベッドで声を殺して泣いた少年ぷよぱぱさんを想像して、

思わずうるうるしてしまいました。かわいいーーー!
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お言葉に甘えて (chika)
2005-08-23 20:07:27
 chikaです。この前は、ややスパム気味のTBでしたのに早速の「プププのプゥ」にレスありがとうございました。

 お誘いに甘えまして「見知らぬ天井」で、少しばかりコメントを、、

 『親戚のお家で天井を見上げて、病院で天井を見上げて、旅先で天井を見上げて、』共通する体験ですね。

 chikaの場合、印象に残っているのは高校時代、与論島に行った時に泊めて貰った民宿の離れの天井です。

 この時、初めて、その模様が判らない程、薄暗い天井を見ました。

 主達が住む母屋からサンシンの音色が聞こえていて、熱帯特有のドロンとした暑さや、草植物の匂い、柱を走るゲッコーの気配だとかが入り交じって、幻視領域からも吊り出されてしまったような気分でいました。

 今思えば1泊目の緊張感もあったのでしょうね。



 同じような気分を味わったのはバリ島ですね。海辺のリゾートではバリでもちょっと無理かも知れませんが山間部では、天井というのか、世界の天蓋と言ったら良いのでしょうか、、夜見上げると、何か、微妙なものを感じる事が出来ます。

 でも自分の中でそういった「見知らぬ天井」を「感じる力」がいつまで残っているのか難しいところですが、、、。
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実際に・・・ (ぷよぱぱ)
2005-08-24 02:54:59
★介護人たまさん

 希に不思議な色の空に出会うことがあります。

 真っ赤な空や、墨絵のような黒雲を見たことがありあすが、確かに変わった空に出会うとドキドキして、しまいますよね。



>ベッドで声を殺して泣いた少年ぷよぱぱさんを想像して、思わずうるうるしてしまいました。かわいいーーー!



 いや、小6だから。

 か、かわいーってあーた。
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いらっしゃいまし (ぷよぱぱ)
2005-08-24 02:59:26
★chikaさん

 いえいえ、楽しいお話のTB,ありがとうございました。^^

 あの天井の薄暗い感じ、何とも言えませんよね。

 灯りが暗いことに加えて、田舎の家や海外の家は天井が高いので、なおさら薄暗くなるんですよね。

 その暗がりにって、何かを想像させるには十分な空間だったなぁ、なんてchikaさんのコメントを見て思いましたよ。

 今の「低い」天井では、「感じる」べき何かが潜む余地すらないですからねぇ。



これからも、よろしくお願いします。
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