不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「Moonlight Serenade」

2005年03月28日 00時00分00秒 | Story

 ああ、やっぱり眠ってしまったんだね。

 二人の夜に迷い込んだ、仕事のメールが一通。
 「至急、返信下さい。」

 うっかりメールを開いてしまった自分の間抜けさを呪いながら、
 慌てて返信を送ったのだけれど、
 その隙に、キミは「眠りの魔王」に連れ去られてしまった。

 久しぶりの遠出。

 しかも、憧れのホテルだったから、キミはちょっとはしゃいでいたね。
 いつもよりもグラスを重ねていたしね。

 それに、よく喋って、よく笑っていた。
 最近、忙しくて、すれ違いが多く、用件もメールで済ましていたから、久しぶりのキミの声と笑い声が、心地よかったよ。

 沢山話して、沢山飲んで、沢山笑って。

 BARを出るときに、ちょっとふらついて、俺にもたれかかってきたのでビックリしたよ。
 人前では、いつもしっかりしているのにね。

「大丈夫?」
 って、尋ねると、ちょっととろんとした目でキミは
「大丈夫」
と、にっこり笑った。
 本当に、楽しかったんだね。 
 
 部屋に戻って、軽くキス。
 ふと振り返ると、パソコンのメールのランプが光っていた。
「すまん!」
 目で合図すると、キミはちょっとむくれて、
「早くね。」
って、耳元で囁いた。
  
 ベッドに倒れこむキミを横目に、慌ててパソコンに向かう俺。
 それから、モノの10分くらいしかたっていないのに。

 キミはベッドの上で寝息を立てている。
 口元に、幸せそうな笑みを浮かべて。

 窓の外は見事な満月。
 どうやらキミは、一足先に、あそこに行ってしまったようだね。

 OK。
 それでは、俺も、星の間に遊びに出かけたキミを追いかける事にしよう。

 そして、キミにもう一度、キスをする。

 【TB】Fly Me To The Moon ♪お玉つれづれ日記♪ 

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2 コメント

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至急、ベッドにお戻り下さい (お玉)
2005-03-29 07:44:25
かたかたとキーボードを打つ、かすかな音が

やわらかな照明のこの部屋での、唯一のBGMだった。



濃くて甘い霧が、少し開けた窓から侵入して

大人気なく火照った頬を、心地よく覆う。



珍しく酔って、ベッドに倒れ込んでしまったようだ。

不粋な睡魔に拉致されそうになりながら、

枕元のバックの中の携帯電話を探した。



「ねえ、熱い珈琲ほしくない?」



短い文を隣の部屋のデスクに送信して

私はもう一度、ワインの酔いに身をゆだねた。
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一杯の珈琲から (ぷよぱぱ)
2005-03-29 11:37:51
不意にマナーモードにしている携帯が震えだし、

隣のベッドルームからリクエストが届く。



「ねえ、熱い珈琲ほしくない?」



いい考えだね。

早速、ルームサービスに電話。

今日はホテルの様式にあわせてエスプレッソ。



やがて、ノックの音がして珈琲が運ばれる。

珈琲には、きちんとチョコが添えられている。



そのまま、ベッドルームに向かい、ドアをノック。

「お嬢様、珈琲が入りましたよ。」

・・・反応が無い。

「お嬢さん?」

 良く見ると、小刻みに肩が揺れている。

 ははん。



 そっとキミの後ろから近づいて、キミの耳元にささやく。

「眠ってしまわれたのでしょうか?お嬢さん?」

 耳元は、キミの弱点でもある。



「うふふふ、あはははは、やめて。おねがい、あはははは。」

 キミは堪え切れずに笑い出す。



 そのまま、ベッドの上でじゃれあう二人。

 不意に、キミが俺の頬に、軽いくちづけをする。

 俺はキミをそっと抱きしめて、キスを返そうとする。

 しかし、キミは、俺の唇にそっと指をあてて囁く。



「そ・の・ま・え・に。珈琲、頂きましょ?

 冷めちゃうと、美味しくないわ。」



 もっともだ。

 時間もまだ有るしね。



 そして熱い一杯の珈琲から、

 次の熱い物語が始まる。
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