紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「死んでも治らない 大道寺圭の事件簿」若竹七海

2005年03月14日 | わ行の作家
やはり、若竹は短編がいい。テンポがいい。キレがいい。
そして何より、仕掛けもいい(にっこり)。

大道寺圭は、警察を辞めた後、自分が遭遇したマヌケな
犯罪者をネタにした著書「死んでも治らない」を発行してから、
全国各地で講演に呼ばれるのだけれども、またその行く先々で
“マヌケ”な犯罪に巻き込まれ…。

それが短編になっているのですが、「大道寺圭最後の事件」という
大きな一つの物語の途中にこの短編が挿入されるという、
ちょっと変わった体裁を取っているのですね。しかしこれも、
また若竹さんの“仕掛け”だったりするのがとても嬉しい。
読んでて、だんだんと大道寺のことを好きになっていくのですよ、
たんなる“おっさん”なんですけどね(笑)。
短編の中に、おなじみ葉崎の町も出てくるのですよ(^-^)。
登場人物も少しクロスオーバーしてるしね、そういうのを
見つけるだけで、なんだか嬉しくなりましてか。
そしてまた、続編を予感させるような終わり方もいい感じ。
出るといいなあ、続編。


「死んでも治らない 大道寺圭の事件簿」若竹七海(光文社文庫)

【帯より】
犯罪者の9割はまぬけである。
ブラックな笑い。ほろ苦い結末。
コージー・ハードボイルドの逸品!

【カバー裏より】
 元警察官・大道寺圭は、一冊の本を書いた。警官時代に出会ったおバカな犯罪者たちのエピソードを綴ったもので、題して「死んでも治らない」。それが呼び水になり、さらなるまぬけな犯罪者たちからつきまとわれて……。大道寺は数々の珍事件・怪事件に巻き込まれてゆく。ブラックな笑いとほろ苦い後味。深い余韻を残す、コージー・ハードボイルドの逸品!