紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「堕天使殺人事件」新世紀「謎」倶楽部

2004年11月08日 | その他
実は初めて手にとります、新世紀「謎」倶楽部。
しんせいき「みすてりー」くらぶ、と読むんですね。
二階堂黎人、柴田よしき、北森鴻、篠田真由美、村瀬継弥、
歌野晶午、西澤保彦、小森健太朗、谺健二、愛川晶、芦辺拓。
人気のミステリー作家11人が勢ぞろいしました。前の人が何を
書いたかは、手元にもらうまでまったく分からないのだそうです。
前半の人はネタふりし放題だし、後半の人も、伏線を一つ
くらい拾っておけば、まだ謎を組み込むことだって可能だし、
いちばん大変なのは、最後を受け持つ人なんでしょうね。
なんてことを考えながら読んでました。それがまた面白いこと(笑)。
でも、巻末に、それぞれの方の“予測”が添えられているんですね。
その予測は原稿と一緒に回されたわけではないと思うのですが、
だいたい最初から最後まで一貫して共通している部分があるんですよ。
さすが“人気ミステリー作家”といわれるだけのことはあるなと、
この方々が売れるのが分かった気がしました。

ストーリーは大変です(笑)。
北海道は小樽を舞台に繰り広げられる猟奇殺人。
小樽運河で発見されたのは、6人のパーツを合わせて女性1人分の
死体を作り上げられたもの。しかも死体はウェディングドレスを
着せられていた。一方、地方の新聞社に恐ろしいビデオテープが
送り付けられる。犯人の名前は“堕天使”-。

最初の二階堂さん、これでもか! というくらい
ネタを盛り込んでます(そんな風に見えます/笑)。
こういうのって、性格が表れるんじゃないでしょうか。
自分のシリーズキャラを登場させる方もいるんですが、
ちょっと残念だったのは、そのキャラを次の方も動かさないと
いけなかったりすることですね。違う人が他人のキャラを動かした
ところで、それを知っている読者からすると、ものすごい違和感が
あるんですよねえ。思い入れが強かったりすると余計に(笑)。
までも、そういうところは目をつぶるとして、
全体的にとても面白く読みました。単純にストーリーだけを
楽しむのではなく、この人はどういう風にふられたネタを
消化していくのだろうと、そっちの方が読んでて楽しかったり。
このシリーズ、確かもう1作出てるんですよね。
「前夜祭」かな。…文庫にはなっていないようですねえ。
これは人数を減らして6人のリレー。ストーリー重視にしたのかな(笑)。

堕天使殺人事件(角川文庫)
新世紀「謎」倶楽部〔著〕

出版社 角川書店
発売日 2002.05
価格  ¥ 900(¥ 857)
ISBN  404349503X

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