エルサレムは3つの宗教の聖地だ。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教。
少し前になるが、このエルサレムを取材したNHK特集は、質の高いドキュメンタリー番組だった。
嘆きの壁、岩のドーム、聖墳墓協会...3つの宗教が重層的に絡まった遺跡都市であるエルサレムを、現在のパレスチナ情勢も含めて実にわかりやすく解説した番組だった。
風海庵は柄にもなく、キリスト教系の一貫校で青少年時代を過ごした。洗礼は受けていないが、普通の人よりもキリスト教は、はるかに生活の中にあり、パレスチナ問題も意外に若いときから興味があった。取材のNHK記者が聖墳墓協会で絶句してしまったような、2000年以上、彼の地で多くの人が祈り続けている厳然とした事実を示す数々の遺跡が持つ圧倒的迫力。その一端はわかるような気がする。
キリスト教がユダヤ教から分かれたことは、小学校で聖書の時間の牧師のお話で知っていたし、聖書を読めばわかるのだが、イスラム教が同根だという事実を知ったのは、高校生のころだと思う。
キリスト教もイスラム教も、世界最古の一神教のひとつであるユダヤ教から生まれた宗教だ。マホメットは天使に導かれ、イエス・キリストやモーゼはイスラム教でも聖人である。
実は、この3つの宗教の神は同一である。
エホバもヤハウェもアッラーも同じなのである。一神教の神の別名である。
僕はこの事実を知ったとき、人間の持つ3つの感情と似ていると思った。
それは、愛情と悲しみと怒りである。
脳の活動では、愛情と怒りは非常に似ているという。その中間が悲しみだ。この三つの感情は、直線状にあるにもかかわらず、われわれは直線的表現をせず、違った呼び方をするのである。おそらくは、一つの感情の強弱であるのにもかかわらず...。
パレスチナ問題の複雑さと悲しみの深さを感じたドキュメンタリーだった。
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