プロストワインハンデル公式ブログ「クライナー・プラッツ Kleiner・Platz」

ドイツのリューデスハイムに所在するドイツワイン専門店です。在住者ならではの新鮮な情報と個性的なワインをご紹介します。

Federweißerってどんなもの?

2017年11月06日 09時55分52秒 | ワインについて

こんにちは。他のスタッフの話題にお祭り関連が多いので、なんとなく意地になってそれ以外のワインのことを書いてやろうとして、毎回、自分の首を絞めまくっている那岐です。

そうそうブログを書くタイミングに合わせてそんな話題が転がっているわけもなく、頭を悩ませていたところ、今回は何ともありがたいことにリクエストをいただきましたので諸手を挙げて話題に乗っからせて頂きます!もしこのブログを読んでくださっている皆さんで、何か疑問や質問があったらお気軽に質問やリクエスト、してみてください。対応の可否は別にして、リクエストはするだけタダですから!

さて、今回ご質問いただいのはズバリ、Federweißer(フェーダーヴァイサー)についてです!時期がちょこっと遅いように感じるかもしれませんが、実はまだ旬な話題なんです。その理由は下の文章で解説してますので、ぜひ読んで納得してくださいね。

1つ前のブログでもたいぞーさんが話題にしていますが、我々のお店があるリューデスハイムでは毎年、このFederweißerを主役にしたお祭りがあります。意味合いとしてはブドウの収穫を祝う、収穫祭のようなものです。でもこのFederweißer、具体的にどんなものかご存知でしょうか?

我々もそうなんですが、Federweißerのことを聞かれると大概は、「ワインになる前のものですよ」と回答をさせて頂いています。でもこれ、案外、ふわっとしていてよくよく考えると頭の中が”??”ってなりませんか?で、結局この人なにものなの?って。

このFederweißer、辞書的な定義で言うと、「ブドウを絞ったのちに発酵が完了し、フィルターをかけられる前までの間のもの」となります。ちなみにFederweißerは白という意味の"weißer"という単語が入っている通り、白ワイン用ブドウから絞られたジュースが原料になっているものを指し、赤ワイン用の黒ブドウ(どうでもいいんですが、なぜ赤ワイン用のブドウは”黒”ブドウというのでしょう・・・?)が原料となっているものは赤を意味する"rot"という単語が入った"Federroter"という名前で呼ばれるそうです。これは私も今回初めて知ったくらい、聞かない単語です。苦笑

で、Federweißerです。前述の辞書的な意味でいえば、ブドウを絞ったばかりのジュースも、ワイン一歩手前のアルコールがしっかり入ったものも、全部がFederweißerということになります。なので、Federweißerは「甘くて微発泡で(ほぼ)ノンアルコール」という認識は部分的には正しいものの、飲む時期によってはまったくの的外れ、ということになってしまいます。そう、日本の感覚でドイツで"アイスコーヒー"を注文したら、バニラアイスが浮かんだアイスフロートなコーヒーが出てきてしまったくらいに残念なことになります。そもそも絞られたジュースは放っておいたら通常、1週間から10日ほどで発酵が終わります。この期間のうち、甘くてほぼノンアルコールな期間はせいぜい最初の3日間くらい。その後は徐々に甘さがなくなり、アルコールが強くなっていきます。ちなみにこの発酵期間の完了を待たずに発酵を止める処置をしたものが甘口ワインや中辛口ワインとなります。なので、飲む時期によってはFederweißerはもう、立派な中辛口ワインや甘口ワインと状態的にはなにも変わらないことになります。

【ブドウを絞る、プレス機。これは一度に300L絞れる小型機版】

【絞りたてのジュース。これも"Federweißer"です】

収穫されたブドウは特別な事情が無い限りは、収穫したその日の内に、遅くとも翌日の朝には絞られます。なので、必然的に"甘くて微発泡で(ほぼ)ノンアルコール"というイメージ通りのFederweißerが飲めるのは収穫後の数日間のみなので、まさに期間限定の飲み物!となるわけです。まぁ、"ほぼ甘さはなくて微発泡(してる気がする)アルコールがっつり"というFederweißerであれば2か月くらいは飲めるんですけどね。

【発酵途中の"Federweißer"。発酵中の炭酸ガスの発生で液面が泡立っています】

今年収穫されたブドウは収穫が遅かったものでもそろそろ発酵が終わって熟成に入る時期になっています。今ならまだ場所によっては最後のFederweißerが飲めるかも!?まぁ、でもこの時期に飲むならもうしっかりしたワインを楽しみたいですよね。発酵の途中という性質上、Federweißerは当店では商品として扱えませんが(たまにスーパーで売れ残っている瓶詰されたFederweißerが発酵してしまったらしく泡を吹いてすごいことになっているのを見かけるのもこの季節の風物詩です。苦笑)、美味しいワインは売るほどあります。ぜひこちらから秋の夜長のお供を見つけてみて下さい。

それでは、今日はこれくらいで。那岐でした!


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