英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

パリも素敵!

2009-02-22 | 日常

中川酔いどれ大臣のパフォーマンス。久々にツボにはまってしまいましたよ。2月がまだ終わらない内に09年度主演男優賞が決まっちゃったも同然か。いっそゲロでも会場でぶちまけていたら、100年に1度どころか世界史の逸話として人類の記憶に留めていただけたものを。でも、最終電車なんかに、けっこういますよね、ああいう人。私もショットバーを梯子して午前1時ごろの状態は同じようなものです。
さて、「グレート・ギャツビー」で有名なスコット・フィッツジェラルドも酒に弱く、醜態をさらすことが多かったようです。

ヘミングウェイ「移動祝祭日」

ヘミングウェイの遺作とも言っていいこの作品。1920年代、パリを活動の拠点としていた時代、最初の奥さんハドリーと暮らし意欲的に著作に打ち込んでいた時代の回想の物語です。もちろん30年前の思い出を書くわけですから、ヘミングウェイ自身に都合が悪い点は整理されての記述かと思いますが、パリに才能を集結させた多くの作家、画家たち、そしてパトロンたちとの交流が彼独特の好き嫌いの観点から描かれていきます。一番多くページを割いているフィッツジェラルドとの距離感のある友情の箇所は、多分発表当時物議を醸したはず。酒で豹変するフィッツジェラルドの情けない言動も面白いですが、妻ゼルダから一物が短小だと言われ自信をなくす彼を励ますために、二人してルーブル美術館の彫像を観察にいく場面もなかなかなところ。他に画家パスキンとのカフェでの出会いなどパリに息づく綺羅星の面々が詳細な訳注とともに明らかになります。
様々な文学作品を精力的に読破していった当時のヘミングウェイですが、「カラマーゾフの兄弟」だけは挫折したんですって。

巻頭のヘミングウェイの言葉です。
「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ。」
これだけでも読みたくなるでしょ?