想い事 家族の記録

難病の父と生きる
鬱病
ふたり暮らし

なすがままに委ねていろ。

2013-09-25 20:24:55 | 日記

朝方。
天井から真っ黒な大きな手が落ちてきて、
眠っている私の腹に、
ドシーン…。

「ぎゃああああ」

と、わめいて目覚める。

進撃…の読みすぎでしょ。
金縛りになるわけでなし、
完全寝ぼけ、でした。

疲労感マックス。
それで、記憶まであやふやで、
父にご飯食べさせた記憶がなく、

気づいたら、父はケアに行っていた。
無人の介護部屋見て、
「あれ?」って感じ。
薬の副作用というか、もう頭自体がヤバイのではないかと想った。
父はどこ? そらはどこ?

そんな朝でした。


血を抜いた結果を聞きに行こうと想った。
明日、行ってきます。
乳酸濃度あたりに異常が出ているきがする。
どの道、何か異常があっても、治療している時間はないだろう。
頭もキンキン鳴ってうるさいけど、
脳波撮ったところで、
「心因性」と云われれば、
なすすべもない。


夜。
父の着替えにヘルパーさんが入って、
二人でよいしょよいしょと父の着替えをして、
目の前のことひとつひとつ潰してゆくしかあるまいと想った。
身体が動く限り、
男の足を持ち上げ、
食事させ、
薬飲ませて、
汚い口の中を覗き込み、
汚い排泄器官をガン見して異常を探す。
男の排泄器は、皮を剥きあげて温水で流す。
そうしないと病気になってしまう。
慣れているヘルパーさんは、
素手でやるから恐れ入った。
しかも手荒く、排泄器を生殖器に変えてしまうこともしばしばだ。
やられている本人もやるせなく、どうしようもないんだろうが、
初めて変形しだしたそれを見た時は、血の気が引いた。
私は不潔恐怖もあるんで、「ぎゃああああ!」と叫び、
きっと間もなく再発してしまうと恐れた。
それから、いつのまにか。
頭のなかで「数を数える」という行為が止まらなくなった。
いつも、なんか数えている。
特に「いち、に、さん、し、ご…」
を、永遠に唱え続けている。
苦痛が増してくると、数えるのが早くなる。
何回数えたら終わるんだと、頭のすみで考えても答えをさぐるわけではなく。
しかし、全て超越した。

今では、「それが何か?」と冷静でいられる。
心のなかで、「大人しくしていろ」とつぶやき、数を数える。

ざまーみろ、これが現実だ。
お前にできるか、バカめ。

それで、呼吸器つけて生きたいと望まれて、
「お願いだから生きて」なんて感情だけで云う。
なんにも知らない人間の茶番だと想う。
一緒に死んであげるという女もいたが、
今は「ボケてしまえばいいのに」という発言に変わった。
それこそ人間だと私は想う。

父がもし、生きたいと望んだら?
私ははっきり云うだろう。
地獄は続くと、はっきりと。

そうだね、希望を捨てたらいけないね。
治るかもしれないね、

なんて、死んでも云わない。

もう70年以上も生きて、
もう充分だろう。でも治ることを信じて疑わず、
生きたいと云うなら、
もう天寿を全うしろ。
私たちを解放しろ。
それでもゴリ押しで呼吸器つけて、
生きながらえたところで、
私は呼吸器を止めるかもしれないよ?

ごめんね。私は、娘も護らなくちゃいけないから、
それだけは云っておく。
4年も付き合っているのだから、勘弁してくれ。
そんなこと私にさせないで。

大体、そこまで私は、貴方のことを大切に想っていない。

自然の理に従え。
盲爆するな。
生への執着は捨てろ。
私は貴方を見て、
自分の死の覚悟まで決めてしまった。
どんな死にざまが、周りの人間に害を与えないか。
苦しめないか。
死ぬのも、死なれるのも、
どっちも苦しいんだ。


それに思い出して欲しい。
自分で臨んだ人生だったことを。













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