大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

ぽぽろはNPO大阪障害者センターの子育て・教育支援部門です。
大阪市鶴見区今津北にあります。

「周辺参加」について考えた親子療育教室

2009年09月27日 | 児童デイサービス
今回は少し文章が長くなりました。「周辺参加」という捉え方や「ぽぽろらしさ」について考えてみたいと思います。 

 第3,第4土曜日は親子療育教室です。第3が「なかよしあそび」第4が「つながりあそび」、そして、来月から第2土曜日に「みたて・つもりあそび」を入れることにしました。
 私が担当することになりました。昨日、コーディネーターと相談して決断しましたので誰も知りません。(あ~、また口が…キーボードを叩く手が動いちゃった。こうして自分の仕事を増やしていくのです。)
 11月からは毎土曜に午後3時からは児童デイサービスⅠ型(就学前が中心)として「親子療育教室」を継続する予定です。

 さて、これは一昨日の「ドレミファ」教室。


 これは昨日の「つながりあそび」教室です。療育は写真を撮る余裕がなくて写真が少なくて申し訳ないです。


 昨日は見学の子ども(Aくん)に学び、お母さんからもなるほどという本音を聞かせていただきました。
 Aくんはスャ塔WのサイコロをRくんと取り合いになり、大泣きして突っかかっていきました。スタッフのKaさんに言わせれば「これだけ自己主張ができるんだ、できたんだからスゴイ!」ということのようです。その後もう一つサイコロを探して差し出すと、「喧嘩」の緊張から開放されてフッと力が抜けたようです。気持ちの切り替えは早いようです。
 しかしながら、彼は集団遊びには入らないで、一人だけすべり台の上からただひたすらカラーボールを転がしては拾い、また転がすという遊びをし続けたのでした。彼の目にはもう全く集団遊びなど目に入っていないかのようです。
 私は土曜の療育には入っていないのですが、喧嘩がなかなか終わらなかったので気になってのぞいたのがきっかけで、Aくんに付き合うことにしました。転がすカラーボールは決まって赤色のみ。ひたすら赤いボールを拾っては投げ返してあげ、また彼が転がす。ひたすら彼にお付き合いです。
 次には彼や私の服の下(お腹)に隠したボールを引っぱり出してはまた転がす。やりとり遊びが成立したところで、ボールをわざと集団遊びの方へ転がして彼に拾いに行かせるようにすると、取りに行きます。集団遊びでは他の子らは薄いせんべいを舐めて穴を開けてのぞいたりしてあそんでいました。彼はおせんべいには目もくれません。すべり台のところへ引き返した彼におせんべいをもらって渡すと舌先でちょっと舐めただけで過敏があるのか突き返しました。せんべいは私がいただき。(これと全く逆のことをしている児童デイさんがあるそうです。その子の一番嫌いな食べ物を聞いて、次からいきなりそれを用意して食べさせる「訓練」?をして成果を見せるのだそうです。その子の心には何が蓄積されていくのだろうか…?)
 次の集団遊びはストローを使ってストローの袋を吹いて飛ばし、バイキンマン(絵)にぶつけたり、箱に貼り付けたカレーパンマンのくり抜いた口の中に吹き矢のようにして飛ばす遊びです。私はカラーボールをカレーパンマンの箱のそばに転がしてみました。拾いに行く彼の目の前でサッとボールを拾ってカレーパンマンの口の中に押し込み、彼にも別のボールを渡しました。すると、彼も口の中にねじ込もうとするではないですか。
 勿論、この遊びの隠されたねらいは吹く機能を高めることによる発声練習ですが、吹き矢のように飛ばして入れるのは理解面でも機能的にも難しいでしょう。彼の興味はカレーパンマンの穴(口)です。ここに入れる遊びなら一緒にできるだろうとおもって誘ったわけです。これを契機にしばらくみんなの中で入れる物は違うけど一生懸命カラーボールを入れておりました。

 この頃よく「周辺参加」ということばを使わせてもらいます。一見、集団遊びには全く関係ないように一人で遊んでいるように見えても、彼の中ではみんなの遊びがとても気になっていたのではないか?取り合いの喧嘩もするくらいだから、友だちは気になる存在なのでしょう。「並行遊び」のように見えて、心の中は気になって仕方がない葛藤を抱えている…そんな姿なのでしょうか?

 あとでお母さんとそんなことを確認したわけです。ぽぽろでは子どもの興味や関心にあるときはトコトン付き合いながら共感や信頼をつくり、子どもたちの心の葛藤を大切にしながら、みんなと一緒に自分でできるようにはたらきかけていることを。トラブルが起こったときも危険でない限りすぐに反応しないで見守り、乱暴であってもできるだけその子の思いやねがいを受け止め、前向きな力や関係に高めていくように関わっていること。集団遊びも無理矢理大人が引き込んだり、叱って参加させることなどはしないようにしていること。など「ぽぽろらしさ」を説明しました。

 そしたら、そのお母さんは療育センターではどうしても何とか子どもの輪の中に引き入れようと我が子の気持ちを無視してやってしまったり、喧嘩したりすると周りの親の目が気になってすぐに割って入ったりしてしまいます。とお母さんの葛藤を上手に表現されました。その点、ぽぽろは柔軟でアットホームな感じがしますとのことでした。

 中にはもっとビシバシ訓練したり個別指導することを期待したり、「ぽぽろらしさ」を「甘い」「放任」と見る方もいらっしゃるようです。思春期~青年期~成人期の子どもたちの発達の姿からも学び、幼児期にこそ大切にしたいことを一緒に考えたいですね。

 子どもたちは相当なストレスをためてぽぽろにやってきます。Tくんは空欄になっているカレンダーの予定のない日に自分から「ぽぽろ」と勝手に書いて、行きたいことをアピールしているそうです。療育教室ですが、学童保育のような「第三の世界(場)」「なごみのとき」がこの子どもたちにも必要だなと強く感じました。


 そのぽぽろの療育の話です。親子療育教室の内容は活動領域と単元のテーマで特徴を持たせていますが、どちらかといえば担当スタッフの得意分野が反映しているようにも思えます。
 例えば私の場合には学童保育と同じで、身体全体を使ったダイナミックな遊びが得意ですから、学童でもやっている「ねずみばぁさん」にペープサートを取り入れたりして幼児向けにアレンジしてやっています。幼児さんの方が素直です。ねずみばあさんに追いかけられて大まじめに走ったり止まったり、ゆっくり歩いたり、バックしたりと楽しんでいます。
 メインは「遊園地ごっこ」ですが、学童保育でやるときは次々とあそびが展開しますが、幼児さんのときはじっくりゆっくり一つか二つの取り組みをしています。中でも一番人気は「観覧車」です。最初は一人ずつ大人の肩車であそびます。次は学童でもしていますが板(広いのや狭いの)を使って道を渡り、高い机の上(観覧車のてっぺん)からマットへジャンプします。準備やお片づけも一緒にやります。
 お友だちにあこがれたり、対抗心を燃やしたり、自信が揺らいでふざけたり、待てなくてぶつかり合ったり等…遊びの中で受け止め、一人ひとり、一つひとつの局面でできるだけ丁寧に関わりたいと思っています。
 そして、「できるかなぁ~、やってみようかなぁー…」「できたぁー!」「見てみて!」「もう一回する!」という葛藤や共感をキャッチし、その表現やねがいを育むことこそ大切にしていることです。(勿論、問われれば「「ねずみばあさん」のねらいには、変化のある追いかけっこを通して身体と気持ちをコントロールする力を育むことがあります」とは言いますし、その通りなのですが…)
 「あー楽しかったなぁ。また行きたいなぁ。」と思って帰ってくれたら最高ですし、大成功です。





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