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「重要土地調査規制法案を廃案に!」官邸前・緊急集会

2021年06月15日 | 集会報告

6月16日の通常国会会期末間際に、自公政権が重要土地調査規制法案をゴリ押しで成立させようとしている。この法案には、米軍基地がたくさんあり島ぐるみで米軍基地・自衛隊基地反対闘争を続ける沖縄の人びとは大反対だ。それを衆議院ではわずか12時間の審議で5月28日委員会通過、6月1日本会議で成立させてしまった。参議院では8日に審議入りした。
沖縄のみならず東京でも反対者が多く6月8日夕方18時半、官邸前で重要土地調査規制法案を参議院で廃案に!」緊急抗議集会が開かれた(呼びかけ団体:「重要土地調査規制法案」反対緊急声明事務局フォーラム平和・人権・環境安保破棄中央実行委員会たんぽぽ舎沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック 参加200人)。
はじめに呼びかけ団体のひとつ、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックから「この法案は、平和運動、基地反対運動、辺野古新基地座り込み闘争をつぶす、沖縄つぶしの悪法だ」と強いアピールがあった。また沖縄の山城博治さんから音声メッセージが届いた。「この法案が成立すれば、沖縄の平和運動、反基地運動が弾圧されることは間違いない。怒りでいっぱいだ。基地の周り1㎞は出ていけということだ。いうことを聞かねば容赦なくしょっ引く、そういう法案だ。ふざけるな!」とスピーカーを通し、山城節が炸裂した。

沖縄の3人の議員からスピーチがあったが、福島瑞穂さんのスピーチがこの法案の問題点をわかりやすく解説していたのでそれを先に紹介する。

福島瑞穂議員(参・社会民主党)
この法案には立法事実がない。 
昨年2月25日、政府は「外国資本が基地の周りの土地を買い占めて基地機能を阻害するという事実はない」と衆院予算委員会で言明した。内外無差別原則やいろんな条約から、日本政府は外国資本が土地を買い占めることを禁止できないそんな法案ではない
では何なのか。自衛隊基地、米軍基地、原発、重要なインフラを内閣が勝手に政令で注視区域や特別注視区域として、決めることができる。空港などの半径1㎞以内に住む人、所有者、賃借人、利害関係者などみんな調査の対象になり、事情聴取を求めることができる
「ピンポーン」、自衛隊の人が来て「話を聞かせてください。隣の人はどんな人ですか」といわれるかもしれない。まさに地域のなかの「密告」地域のなかの「住民監視」だ。基地や原発などを住民が監視したり、何か害が及ばないか見張っていると、なぜ周りの住民に監視されるのか。宮古島で住宅のなかに火薬庫・弾薬庫をつくる、たまたまそばに住んでいる人が監視の対象になるかもしれない。おかしい。なぜそういう施設の近くにいると監視の対象なのか
「機能を阻害する明白な恐れ」があったら、内閣総理大臣は勧告・中止命令ができる。しかし「機能を阻害する」とか「明白な恐れ」とは何なのか。まだ起きていないことなのに、それがあると認定されれば中止命令、それに背けば2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられる。そこに住めないとなると、政府は土地の買取努力義務がある。戦後、憲法9条があるから自衛隊のために軍事上の土地収用はできなかった。しかしこの法案により、基地や原発の周りで。土地を寄こせということが実際に起きてしまうのではないか。中止命令に背いて懲役刑になるか、土地を手放すか、そんなことが起こる。これはひどい
自衛隊には情報保全隊があり、いろんな運動を監視していることが大問題になった。この法律ができれば正々堂々と「あなたを調査します」「近所の人のこと言ってください」「利害関係者のことを教えてください」、それが可能になる。これはまさに治安維持法だ。こんなとんでもない悪法を許してはいけない。廃案にすべく大きな声を上げていこう。大間原発の隣のあさこハウス、原発の周りの団結小屋がいつ取り上げられてしまうか、心配している。
住民は主権者なのに、なぜ監視され弾圧されるのかこんなのはおかしい! こんな法案は廃案しかない!

沖縄の3議員のスピーチのなかから、印象に残ったフレーズを少し紹介する。
赤嶺政賢議員(衆・共産) 
衆議院での論戦を振り返ると、無茶苦茶な議論だった。小此木八郎内閣府特命担当大臣は「全国で外国資本が土地を買い漁っている。不安が広がっている。たとえば対馬、千歳。全国の多くの自治体から意見書が上がっている」と説明した。しかし調べると、対馬や千歳で意見書は上がっていなかったし、市当局から不安の声が政府に届いているのか問うと答えられなかった。1800の自治体で意見書が上がったのは18だけだ。毎年辺野古新基地建設反対の意見書が全国の自治体から上がっているが、これこそ国民の声ではないか」「なぜ基地の近くに住むわれわれ被害者が加害者に監視されなければいけないのか。監視されるべきは米軍基地だ」
高良鉄美議員(参・沖縄の風)
わからないことがたくさんある。(第1条目的の「国境離島等の機能を阻害する行為」の)「離島機能」とは何か。いかにも、離島は国の犠牲になって仕方がないといっているようなものだ。立法事実がないので、なぜつくろうとするのかもわからない。沖縄でも、基地の周りに土地をもっている人がいるかどうか調べたが、そういう人はいなかった。民法上の土地なのになぜ防衛問題が出てくるのか。アメリカは土地が広く基地も広いので、こんな法律はない。しかし日本では、この法案が成立すれば人も土地も大きな影響を受ける。絶対通してはいけない!
伊波洋一議員(参・沖縄の風)
この法案に立法事実はないがアメリカ戦略はある。台湾有事が前提の戦時立法だと思う。沖縄の有人国境離島、約50が指定される。狙われているのは飛行場だ。もし有事になればアメリカは第二列島線まで退く。島々からミサイルを東シナ海の中国軍の艦船に発射する。すでに沖縄の伊江島などで訓練を始めている。低空飛行でレーダーに引っかからぬよう飛んできて、ミサイル発射装置を降ろして数分で飛び去る。トランプ以来「日本国内にミサイル発射基地を1000か所置け」」とアメリカが要求している。そういう状況での重要土地調査規制法案であり、アメリカ軍が使う土地が重要なのだ。 
したがって沖縄に限らず国境離島が重要になる。日本全体を戦争に巻き込もうとしている。アメリカが部隊を派遣するのに使いやすい派遣場所は沖縄だけでなく日本各地にあり、三沢でも訓練をしている。
そういうことが6月3日のわたしの質疑の答弁で明らかになった。
国家主権を放棄し、国民はないがしろにされている。こういう法案を通させてはいけない。
呼びかけ各団体のアピールや声明文読み上げのあと、ふたたび「重要土地規制法案は廃案!廃案!廃案!」のシュプレヒコールで集会を締めた。
もちろんこの法律の対象は沖縄の離島や米軍基地、原発施設だけではない。第2条の「重要施設」に国民生活に関連を有する「生活関連施設」も入っており「政令で定める」とあるので、駅、銀行、スーパー、郵便局なども政府が入れようとすれば政令で指定できる。この法案のキーワード、「重要施設」「注視区域及び特別注視区域」「重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為」などが厳密でなく、ほとんどすべて政府が好きなように政令を出して実施できる。そこでナチス政権下の「全権委任法(1933)にもたとえられる
集会全体はこのサイトで動画をみることができる。また緊急アクションの呼びかけはこのサイトで見られる。
6月4日宮城秋乃さん(チョウ類研究者)が家宅捜索を受けた。宮城さんは昨年12月の多田謡子賞受賞の際、ビデオ・メッセージで報告してくれた。まだ法は成立していないが、その先取りのような強制捜査である。

6月9日の改憲手続法改正案採決反対集会で、主催者あいさつする菱山南帆子さん戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会 右は福島瑞穂議員)
☆その翌日昼、参議院会館前での改憲手続法(国民投票法)改正案採決強行するな!審議をつくせ!自民党改憲4項目案反対!」行動にも参加した。
柚木道義(立憲民主・衆)、福島瑞穂(社民・参)、吉良よし子(共産・参)、高良鉄美(沖縄の風・参)の各議員と大江京子弁護士がスピーチをした。
「公選法改正に合わせるというが、4年に1度ある首長選や議員選挙と憲法改正が同列に扱われるのはおかしい」、6月2日の参議院憲法審査会で、与党推薦の参考人・上田健介近畿大教授が改憲手続法審議は「熟議にはなっていないのではないか」とまで発言したこと、最低投票率も定めない欠陥法であること、付則は守られるとは限らない、などの指摘があった。
しかし立憲民主の「協力」もあり、10日に参議院憲法審査会を通過、11日昼本会議で成立してしまった。菅首相はイギリスのコーンウォールのホテルに宿泊さなか、11日昼本会議で成立してしまった。立憲民主のこの行動には、「国民民主をつなぎ留める方策」「重要なのは改憲勢力を2/3以下にすること」という解説もある。ではこれまで3年間・8国会、止めてきたのはいったいなんだったのか、と言いたい。悔しい! 無念だ。
総選挙間近だが、菅政権は新型コロナ対策や2020オリパラ強行で人気がガタ落ちだ。一方で立憲民主の支持率は6%前後に過ぎず上がったわけではない。その陰には、こういう行動をしているのを有権者がじっとみている事情もあると思う。

●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。


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