5月25日(月)ドタバタのなかで政府は、最後まで残っていた首都圏と北海道の1都1道3県の緊急事態宣言を解除し、東京都では小池知事が休業要請解除の修正ロードマップを26日から実施した。それで劇的に変わったか、あるいは元の平穏なときに戻りつつあるかというと、そうは感じられない。かつて1-2割に縮小していた人出は、3-4割に回復した気がする。これを「3-4割にまで」とみるか、「まだ3-4割」と評価するかは人による。銀座でも中小店舗は開店が相次ぎ、大型店のユニクロはオープンした。しかし5月26日から再開するはずの図書館は、ひょっとすると都立中央図書館は開館したかもしれないが、区立や日比谷図書文化館、国会図書館などそろって閉まったままだ(5月末時点)。区立はまずこの間たまった予約本の貸出を開始し、6月半ばから再開を準備するが、閲覧席はクローズドのままで雑誌・新聞の最新号閲覧再開は未定とのことだった。博物館もステップ1だが、館ごとに様子見しつつ再開するようでいま現在オープンしているところはまだ少ない。
スポーツジムは6月1日のステップ2移行で2カ月ぶりに再スタートした。早速午後行くと、客は意外にも少なかった。客のほうが、感染を恐れているのかもしれない。
今回の新型コロナ(COVID-19)はこれで終息というわけではない。100年前のスペイン・インフルエンザは1918年10月から1921年3月まで3波にわたり足かけ3年かかった。100年後のいまではこれほど長くかからないにしてもいつまで続くかわからない。逆にいえばまだ渦中ということだ。
5月27日夕方、解除後の神田駅近く
●全体状況は、いまもわからない
いまは10人程度の新たな感染者の増減で一喜一憂する状況になっている。6月1日現在、東京都の累計感染者数は5200人程度ということになっている。しかしこれまで都全体の感染者数の趨勢を把握する努力をまったくしてこなかったのだから、こんなデータはなんとでもなる。4月半ば、慶応病院のPCR検査で、東京の市中感染は5%とか、新宿と立川の抗体検査で一般市民の陽性率4.8%、厚労省・日赤の500人抗体検査で陽性率0.6%というニュースもあった。仮に0.6%としても、都の人口は1398万人なので8万3880人ということになる。ケタが違うのだ。
厚労省もやっと重い腰を上げ、6月から3都府県で1万人、うち東京は豊島、板橋、練馬で3000人規模の抗体検査をするという。ただし無作為抽出といっても同意者のみなので、どのくらいの統計上の歪みを備えているかはわからない。推測の根拠を示してほしいものだ。さらにいえば厚労省主体だから、今後データの隠ぺいや改ざんがまた起きるかもしれない。
また「いつ第二波がくるかもしれない」ともいわれる。それもそうだが、そもそも大前提から違っているので、予測も対策も取りようがないだろう。
●「ステイホーム」で、産業の地殻変動・新陳代謝
小池知事の「ステイホーム」の号令一下、社会は大きく変化した。「フェイス・トゥ・フェイス」が基本だった業種は壊滅的な被害を被った。
たとえば5月末に、2カ月ぶりに知人と神田の居酒屋に立ち寄った。カウンターに座ったが、客と店員の間には厚手の透明ビニールがかかっていて、下の隙間から料理を出し入れするようになっていた。カウンター約20席のうち、座れるのは10席で人の間隔をとってあった。店もやれるだけの感染対策をしていた。ただ70席もある店なのに、17-19時の2時間に来店した客はわたしたちを含め7-8人だった。店内のスタッフは2人、バックヤードに調理する人が数人いるはずなので、これでは業務運営はとても成り立たない。
よく知られているように、居酒屋・飲食店のほか、ホテル・旅館・交通など観光、ライブハウスなどのイベント関連なども壊滅的業績で、前年比売上90%減のところも珍しくない。休業を要請されたデパートなど商業施設、スポーツジム、映画館、遊園地も痛手は大きい。
居酒屋・飲食店は小規模というより零細商店も多いので、倒産以上に、「これを機会に廃業」という店が、6月、7月と相次ぐのではなかろうか。
コロナのたぬき・小池都知事の顔をテレビでみると「疫病神」そのものの顔にみえてくる。
レンタル中商品が増えたDVDショップの棚
逆に、新型コロナのために活況を呈している業種もある。たとえば生協などの宅配がそうだ。前年比130-150%に増えているそうだ。人間が食べる量自体はそれほど変化していないだろうから、いままで昼食を給食で食べていた生徒や勤務先近くの食堂で食べていた勤め人がその分自宅で食べるようになった。同様にウーバーイーツ、ヤマト・佐川などの宅配業、アマゾン、レンタルビデオなど巣ごもり需要対応業界も増収だろう。一方で、スーパーは週末バーゲンをする必要がなくなり、新聞折り込みチラシが消えた。
いやおうなく在宅勤務が強いられたことからもいろんな影響が生じた。
日常使っているデスクトップパソコンのディスプレイにはカメラが付いていないのでZOOM導入のため量販店に買いに行った。するとウェブカメラはもう1か月ほど前から品切れになっているといわれた。在宅勤務の激増のせいだろう。幸いドン・キホーテで1990円の商品在庫があったので間に合ったのだが・・。
年末から3月の3カ月で、株価の値下がりよりREITの値下がりのほうが大きかった。証券会社の人から「都心の一等地に高い賃料のオフィスを構えなくてもよいと考える新興企業が増えたので、需給バランスが崩れたことによる値下がり」という説を聞いた。そういうこともあるかもしれない。
一時的なブームにとどまらず、デパートやショップでの対面販売からネット通販へ、新聞折り込みからネット広告へ、フェイス・トゥ・フェイスからネット経由ビジネスやイベントというデジタル化の流れは定着しそうだ。今後2-3年で産業の地殻変動、新陳代謝が生じることはまず間違いない。
●家庭のあり方の変容
身近にみかける風景として、平日昼間公園で幼児の面倒をみる若い父親が増えた。いままでの土日より数が多い。たぶんふだんの土日は自分の趣味や冠婚葬祭、人とのつきあいで外出する男性が一定数いたからだと思う。夫婦でウォーキングしたり、買い物にいく人が増えている。家族のあり方が変わると思われる。社会現象として何が起こるのかはまだわからないが、たとえば少子高齢化や東京一極集中の流れも少し変わるのではないだろうか。
新型コロナで、格差がいっそう広がったという人もいる。反貧困ネットワークの緊急ささえあい基金で、まずネットカフェ宿泊者や野宿者、在日外国人、シングルマザーなどの生活が行き詰り、3カ月以内の短期派遣者やシングルマザー、そして貧困家庭の子どもたちが生活困難に陥る傾向にあるという。新型コロナ以前も同じだったが日本のセイフティネットの弱さが露見している。
別の問題として、マイナンバーカードの半強制的取得やスマホのGPS機能を利用し、監視社会化、管理社会化がいっそう進むという見方もある。「自粛警察」といういやな言葉が流行するようになった。
●社会生活もライフラインのひとつ
人間が生きていくには、もちろん身体の健康、そして経済の健康つまり安定した収入と物価の安定が必要だ。しかしそれだけではない。社会生活の維持もライフラインのひとつだ。
なにしろ「不要不急の外出は控えて。ステイホーム」「接触機会80%減」の連呼だったので、人と会う機会そのものが奪われた。わたしの場合スイミングやジム、合唱サークルでの知人との交流は2-3カ月にわたり途絶した。退職後の4年でコツコツ築き上げてきたものを根こそぎぶち壊された気になる。他人とのつながりは思った以上に大きな重みをもつ。気がつくと2-3日他人と話をしていないということもある。
年金生活者、高齢者は普通の人以上に新型コロナへの感染を恐れるし、一方で他人に「不要不急の外出」といわれかねない。だいたい「あなた自身が、不要不急の存在だ」と知事に指弾されているような気にもなる。ご自分はさぞお忙しいのだろうが、小池都知事の言葉は、津久井やまゆり園事件の犯人の言葉に重なって聞こえるように思える。
年金生活者、高齢者は、普通の人以上に、人と会えない痛手は大きい。今後、その歪みがあらわになるだろう。
いわゆるポスト・コロナ時代の「新しい生活様式」「新しい日常」とはなにか、社会や産業構造はどう変わるのか、まだわからないが、その中からきっと新たな影の部分や問題点も生じてきそうだ。こういうときこそ、注意深くウォッチする必要がある。
☆6月18日告示、7月5日投票で都知事選が実施される。「密です。密です。」で大ブレイクした現職のことだから、今回もまた派手なパフォーマンスを繰り広げるかもしれない。通常、選挙事務所内は「三密」だし、街宣も典型的な「密集、密接」集会だ。たとえばオンラインに専念し、街宣が非常に効果的なときのみ実行するとか・・・。何しろ「自分ファースト」の人だから何をするか、予想がつかない。
●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。
スポーツジムは6月1日のステップ2移行で2カ月ぶりに再スタートした。早速午後行くと、客は意外にも少なかった。客のほうが、感染を恐れているのかもしれない。
今回の新型コロナ(COVID-19)はこれで終息というわけではない。100年前のスペイン・インフルエンザは1918年10月から1921年3月まで3波にわたり足かけ3年かかった。100年後のいまではこれほど長くかからないにしてもいつまで続くかわからない。逆にいえばまだ渦中ということだ。
5月27日夕方、解除後の神田駅近く
●全体状況は、いまもわからない
いまは10人程度の新たな感染者の増減で一喜一憂する状況になっている。6月1日現在、東京都の累計感染者数は5200人程度ということになっている。しかしこれまで都全体の感染者数の趨勢を把握する努力をまったくしてこなかったのだから、こんなデータはなんとでもなる。4月半ば、慶応病院のPCR検査で、東京の市中感染は5%とか、新宿と立川の抗体検査で一般市民の陽性率4.8%、厚労省・日赤の500人抗体検査で陽性率0.6%というニュースもあった。仮に0.6%としても、都の人口は1398万人なので8万3880人ということになる。ケタが違うのだ。
厚労省もやっと重い腰を上げ、6月から3都府県で1万人、うち東京は豊島、板橋、練馬で3000人規模の抗体検査をするという。ただし無作為抽出といっても同意者のみなので、どのくらいの統計上の歪みを備えているかはわからない。推測の根拠を示してほしいものだ。さらにいえば厚労省主体だから、今後データの隠ぺいや改ざんがまた起きるかもしれない。
また「いつ第二波がくるかもしれない」ともいわれる。それもそうだが、そもそも大前提から違っているので、予測も対策も取りようがないだろう。
●「ステイホーム」で、産業の地殻変動・新陳代謝
小池知事の「ステイホーム」の号令一下、社会は大きく変化した。「フェイス・トゥ・フェイス」が基本だった業種は壊滅的な被害を被った。
たとえば5月末に、2カ月ぶりに知人と神田の居酒屋に立ち寄った。カウンターに座ったが、客と店員の間には厚手の透明ビニールがかかっていて、下の隙間から料理を出し入れするようになっていた。カウンター約20席のうち、座れるのは10席で人の間隔をとってあった。店もやれるだけの感染対策をしていた。ただ70席もある店なのに、17-19時の2時間に来店した客はわたしたちを含め7-8人だった。店内のスタッフは2人、バックヤードに調理する人が数人いるはずなので、これでは業務運営はとても成り立たない。
よく知られているように、居酒屋・飲食店のほか、ホテル・旅館・交通など観光、ライブハウスなどのイベント関連なども壊滅的業績で、前年比売上90%減のところも珍しくない。休業を要請されたデパートなど商業施設、スポーツジム、映画館、遊園地も痛手は大きい。
居酒屋・飲食店は小規模というより零細商店も多いので、倒産以上に、「これを機会に廃業」という店が、6月、7月と相次ぐのではなかろうか。
コロナのたぬき・小池都知事の顔をテレビでみると「疫病神」そのものの顔にみえてくる。
レンタル中商品が増えたDVDショップの棚
逆に、新型コロナのために活況を呈している業種もある。たとえば生協などの宅配がそうだ。前年比130-150%に増えているそうだ。人間が食べる量自体はそれほど変化していないだろうから、いままで昼食を給食で食べていた生徒や勤務先近くの食堂で食べていた勤め人がその分自宅で食べるようになった。同様にウーバーイーツ、ヤマト・佐川などの宅配業、アマゾン、レンタルビデオなど巣ごもり需要対応業界も増収だろう。一方で、スーパーは週末バーゲンをする必要がなくなり、新聞折り込みチラシが消えた。
いやおうなく在宅勤務が強いられたことからもいろんな影響が生じた。
日常使っているデスクトップパソコンのディスプレイにはカメラが付いていないのでZOOM導入のため量販店に買いに行った。するとウェブカメラはもう1か月ほど前から品切れになっているといわれた。在宅勤務の激増のせいだろう。幸いドン・キホーテで1990円の商品在庫があったので間に合ったのだが・・。
年末から3月の3カ月で、株価の値下がりよりREITの値下がりのほうが大きかった。証券会社の人から「都心の一等地に高い賃料のオフィスを構えなくてもよいと考える新興企業が増えたので、需給バランスが崩れたことによる値下がり」という説を聞いた。そういうこともあるかもしれない。
一時的なブームにとどまらず、デパートやショップでの対面販売からネット通販へ、新聞折り込みからネット広告へ、フェイス・トゥ・フェイスからネット経由ビジネスやイベントというデジタル化の流れは定着しそうだ。今後2-3年で産業の地殻変動、新陳代謝が生じることはまず間違いない。
●家庭のあり方の変容
身近にみかける風景として、平日昼間公園で幼児の面倒をみる若い父親が増えた。いままでの土日より数が多い。たぶんふだんの土日は自分の趣味や冠婚葬祭、人とのつきあいで外出する男性が一定数いたからだと思う。夫婦でウォーキングしたり、買い物にいく人が増えている。家族のあり方が変わると思われる。社会現象として何が起こるのかはまだわからないが、たとえば少子高齢化や東京一極集中の流れも少し変わるのではないだろうか。
新型コロナで、格差がいっそう広がったという人もいる。反貧困ネットワークの緊急ささえあい基金で、まずネットカフェ宿泊者や野宿者、在日外国人、シングルマザーなどの生活が行き詰り、3カ月以内の短期派遣者やシングルマザー、そして貧困家庭の子どもたちが生活困難に陥る傾向にあるという。新型コロナ以前も同じだったが日本のセイフティネットの弱さが露見している。
別の問題として、マイナンバーカードの半強制的取得やスマホのGPS機能を利用し、監視社会化、管理社会化がいっそう進むという見方もある。「自粛警察」といういやな言葉が流行するようになった。
●社会生活もライフラインのひとつ
人間が生きていくには、もちろん身体の健康、そして経済の健康つまり安定した収入と物価の安定が必要だ。しかしそれだけではない。社会生活の維持もライフラインのひとつだ。
なにしろ「不要不急の外出は控えて。ステイホーム」「接触機会80%減」の連呼だったので、人と会う機会そのものが奪われた。わたしの場合スイミングやジム、合唱サークルでの知人との交流は2-3カ月にわたり途絶した。退職後の4年でコツコツ築き上げてきたものを根こそぎぶち壊された気になる。他人とのつながりは思った以上に大きな重みをもつ。気がつくと2-3日他人と話をしていないということもある。
年金生活者、高齢者は普通の人以上に新型コロナへの感染を恐れるし、一方で他人に「不要不急の外出」といわれかねない。だいたい「あなた自身が、不要不急の存在だ」と知事に指弾されているような気にもなる。ご自分はさぞお忙しいのだろうが、小池都知事の言葉は、津久井やまゆり園事件の犯人の言葉に重なって聞こえるように思える。
年金生活者、高齢者は、普通の人以上に、人と会えない痛手は大きい。今後、その歪みがあらわになるだろう。
いわゆるポスト・コロナ時代の「新しい生活様式」「新しい日常」とはなにか、社会や産業構造はどう変わるのか、まだわからないが、その中からきっと新たな影の部分や問題点も生じてきそうだ。こういうときこそ、注意深くウォッチする必要がある。
☆6月18日告示、7月5日投票で都知事選が実施される。「密です。密です。」で大ブレイクした現職のことだから、今回もまた派手なパフォーマンスを繰り広げるかもしれない。通常、選挙事務所内は「三密」だし、街宣も典型的な「密集、密接」集会だ。たとえばオンラインに専念し、街宣が非常に効果的なときのみ実行するとか・・・。何しろ「自分ファースト」の人だから何をするか、予想がつかない。
●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。