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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

朝鮮学校に教育保障を! 12.3全国集会

2011年12月12日 | 集会報告
12月3日(土)夜、蒲田の大田区民会館アプリコ・大ホールで「朝鮮学校に教育保障を! 12.3全国集会 もう待てない「高校無償化」」が開催された(主催「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会 共催:フォーラム平和・人権・環境 参加1400人)。会場は松竹蒲田撮影所の跡地にあるが、大田区は日本ではじめて朝鮮学校に補助金を出した自治体だそうだ。

高校授業料無償化・就学支援金支給制度は2010年4月に実現した。しかし2月に中井洽・拉致問題担当相(当時)の川端達夫文科大臣への要請をきっかけに、朝鮮学校だけがはずされた。その後ちょうど1年前の11月、北朝鮮の延坪(ヨンビョン)島砲撃により手続き凍結が決まったが、今年8月末にやっと凍結解除が発表された。それから3か月あまりたつのに事態はまったく動かない。他の外国人学校の生徒と同じように無償化を期待した1年生が、来年3月には卒業してしまう。無償化はもう待てない、ぜひ年内に、遅くともこの学年が在籍するうちに無償化を実現させようと支援者と高校生が蒲田に集まった。
この集会には、韓国からモンダンヨンピル共同代表の権海孝(クォン・ヘヒョ)さんとウリナラバンドのハン・ソニさん、パク・イルギュさんが参加した。モンダンヨンピルとは「ちびた鉛筆」という意味で、東日本大震災で被害を受けた朝鮮学校を支援しようと韓国で結成された会のことである。6月の豊島公会堂の集会には金明俊(キム・ミョンジュン)監督がスピーチした。ウリナラバンドは99年に結成され平和・人権・統一をテーマに活動する女性2人のユニットである。
そこで集会前半は3人のコンサートで、「ウリハッキョ」「赤とんぼ」「手」「リムジンガン」の4曲が披露された。参加した田中宏さん(元・一橋大学教授)は「ステージと会場の高校生が朝鮮語により直接コミュニケートし、玄界灘を越え双方で高校生を支え合う運動が重なった画期的な集会」と表現したが、まさにそのとおりの前半だった。

後半は、全国からの報告と決意表明で。東京朝鮮中高級学校高級部の生徒や保護者、弁護士、地域からは、福岡、大阪、愛知、神奈川、埼玉、東京の6人の方、合計10人の方のスピーチがあった。そのなかから5人の方のスピーチの一部を紹介する。

□東京朝鮮中高級学校高級部の保護者
大阪の橋下市長は週刊誌が「橋下の父は暴力団」という記事を掲載したとき「これを読んだら自分の子どもがどんな思いをするか考えたのか」と烈火のごとく怒った。しかし橋下はまったく同じことをテレビの前で公言している。朝鮮に行ったことも見たこともないのに一方的なマスコミ報道を信じて、「朝鮮は不法国家だ」「ナチスだ」と公言し、「カネがほしければ肖像画を下ろせ」と脅かす。
わたしは月1万2000円のカネがほしくてここに立っているわけではない。差別が許せないからだ。子どもは傷ついている。悲しみはやがて憎しみに変わる。差別からは何も生まれない
□福岡
福岡県朝鮮学校を支援する会は11月30日に大島九州男・民主党副幹事長と城井(きい)崇・文科政務官に面談した。「無償化の方針はいささかなりともぶれていない。ただ、菅前首相の凍結解除宣言の後、全国から反対のファックスやメールがたくさん届いているので、ていねいに公正に審査している」という回答をもらった。
□大阪
近所の北大阪朝鮮初中級学校の生徒たちは、本当に楽しそうに学校に通っている。そういう学校をつぶそうとする力をはねのけたい。橋下市長を押し返したい思いでこの場にいる。子どもたちが勉強しやすい環境をつくることは大人の責任だ。また日本の学校で日の丸君が代を押し付けられ、朝鮮のことを学ぶ機会のない子どものことも心配だ。日本の学校のこともこれからやっていきたい。
□埼玉
埼玉では2009年度は生徒数290人に対し897万円の補助金が支給されたが、10年度は凍結された。その理由は拉致被害者家族連絡会の飯塚代表が上田清司知事に支給打切りを要請したからだ。知事は即応し、さらに教育内容にも介入し「拉致を教えろ」と発言した。年度末には整理回収機構の債権問題を取り上げ、解決しなければ補助金は出さないと言い方を変えた。今年9月に和解が調停で成立し11月にふたたび要請書を提出すると今度は「仮差押えがはずれれば支出する」と、次々に難題をふきかけて引き延ばしを図っている。子どもの権利条約や国際規約にも反するし、勧告も出ている。
情報開示して調べると、補助金中止を求める声は5件だけ、一方支出を求める声は733件あった。知事が補助金支給を停止し続けることは許せない。

一方、神奈川の方の報告によれば、12月2日の県議会で黒岩祐治知事は補助金予算化を来年も継続すると発言した。
□日朝平和友好促進議員連絡会  芦沢一明・渋谷区議
この議員連絡会は超党派の会で、自民、公明、社民、共産、そして多くの無所属の議員が参加している。なぜなら各地域の朝鮮学校との関係からだ。各学校は長い歴史をもち地域社会にとけこみ、根を張った運営に心を砕いている。共存共生の地域社会がしっかり根付いている。
にもかかわらず、東京都や国はいま真逆のことをしている。高校無償化の問題と、都に24ある外国人学校のなかで10の朝鮮学校のみ、2年続けて補助金をはずした。予算では2300万円しっかり計上しているのに出さない。わたしたちの連絡会は、先日都議会の全会派に「補助金の早期再開と早く結論を出してほしい」という要請を提出した。みなさんも地元の都議に働きかけをしていただきたい。
なぜわたしたちはこれほど危機感を持っているのか。次のターゲットは区や市の補助金だからだ。現に「国は無償化の対象からはずし、都も補助金を止めているのになぜ区が出し続けるのか」と区議会で迫る議員がいる。子どもたちの教育環境をこれ以上壊してはならない。

●行動提起
決議文採択のあと、行動提起が発表された。
1 状況をみながらこの結集力を継続しつつ、無償化を勝ち取るまで闘いぬく。
2 東京をはじめ全国各地で裁判支援組織を準備していこう。
3 12月6日の大阪集会の成功を期し、東京から代表を派遣する。
4 自治体の補助金はずしに反対する署名を全国各地で展開しよう。
  先行する東京都への署名を一筆でも増やそう。
5 12月13日火曜に、東京と大阪の集会決議を文部科学省と内閣府につきつける。


最後に「高校無償化を即刻適用させるぞ!」のシュプレヒコールをあげ、「アチミチル(朝露)」を朝鮮語で合唱して、集会を終えた。メロディの美しい歌だった。

☆朝鮮学校の問題の集会だったが、何人もの方が大阪の橋下市長について言及した。大阪ではこれから府議会で教育条例が審議される。
つい先日「日の丸・君が代」強制反対ホットライン・大阪の「だれのための『教育基本条例』なんですか?」というパンフができあがった。「
今の政治に独裁は必要」「教育とは2万%強制」と主張する橋下市長の教育基本条例を批判し、高橋哲哉さんと池田浩士さんの講演が収録されている。
このサイトでみることができるので、ぜひお知り合いにも広めていただきたい。

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