1、7月豪雨と日光川樋管の不具合の件
7月豪雨の時に日光川樋管の左側ゲートが半開き状態であった事がライブカメラ映像として全国に配信されました。
この件の顛末記はこのシリーズ「その33-1~3」に詳細が書かれてありますので、そちらをご確認願います。
2、栄川樋管が台風19号襲来の折に開いていた件
この件につきましてはこのシリーズ「その27-1~2とその28」に詳細が書かれてありますので、そちらをご確認願います。
但し、この件に関連して飯山エリアに降った雨水をどのようにして処理しているのかという重要な情報が今回、開示されました。(2020/6/18)
以下飯山市のHPからの引用です。
しかしながら残念な事は、今回このような事(台風19号による水害)がなければ、こうした重要な情報は飯山市からは進んで公開されるという事は無かったであろう、と思われる事であります。
3、重要な資料に何故か避難勧告を出す水位の値が書かれなくなった件
さて今回の19号台風での水害がある前までに飯山市が作り上げた水防に関する資料にはちゃんと「飯山市が避難勧告を出す千曲川の水位」が書かれてありました。
しかし今回の水害のあと、より正確には市長が市議会で今回の皿川水害発生に千曲川増水に対する避難勧告を何故出さなかったのか、について答弁した後で作られた重要な資料には、この大切な基準値、千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのかが書かれなくなりました。
HPより飯山市水防計画(R2 8月)
この資料は県に提出するものらしいのですが、この中には「千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのか」が書かれていません。そうして飯山市のこの資料に対する説明はこのようなものです。
それから長野市と河川事務所が一緒になって進めているマイ・タイムラインという市民の水防意識を高めるための活動、これについても飯山市はその動きを後追いしています。しかしながら市報8月号にて特集号とされたマイ・タイムラインの説明の中にも「千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのか」が書かれていません。
さてこれはいったいどうした事でしょうか?飯山市はこの重要な数値、「千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのか」を市民には知られたくはない様です。何故でしょうか?それはこの数値が市民に広く知られてしまうと「何故台風19号の時に避難勧告を市長は出さなかったのか?」という「とても重要な疑問」、「市長や飯山市にとってはとても嫌な疑問」を市民が持ってしまうからであります。
追記(10/21):その後飯山市は市報の10月号にて避難勧告の水位基準となる観測所を飯山から立ヶ花に変更する事、水位基準としては9.2mを用いる事を明示しました。但し、関係する文書まわりの変更はこれからであると思われます。
4、市議会での市長答弁について・その1
『3月6日の飯山市議会での市長答弁は、大いに疑問があります。
◎市長
「今回、非常に千曲川の水が上昇したということでありまして、千曲川本川の堤防が決壊するかどうか、越水するかどうか、これが最大の警戒の関心事ではあったわけなんですね。・・・
それから、もう1点は、上流地域で水が増えたときに、飯山市の中で堤防が決壊するのかどうかという、その見きわめが非常に大事なんですけれども、これについては、ある一定の水位が長野エリアまで、要は長野、立ヶ花まで3時間ぐらい時間がかかるんですが、そこでの水位が非常に大事なんですよね。それで、そこでの水位のときに飯山での水位が大体どのくらいになるのかということについては、河川事務所さんのほうからも、情報を教えていただきました。
その中では、大体、天端から1メートルぐらいまで上昇するんじゃないかというような、そういう河川事務所さんのほうの判断でございましたので、1メートルぐらいあれば越水ということは、これは免れそうだというのは、本当に深夜といいますか、2時ぐらいですか、そのくらいのころの情報だったというふうに思うわけでございますが、・・・』
以上、横丁大家さんブログ、「台風19号来襲5ヶ月前に改訂したばかりの「避難勧告等の判断・伝達マニアル」があった。」(2020-08-27)からの引用です。(アーカイブ)
ここで問題になるのは、市長は2時頃に河川事務所から「(公式な形で、)天端から1メートルぐらいまで上昇するんじゃないか」という情報を得て、それを基に「避難勧告を出さない」という判断をした、と回答している事です。
しかし実際の所は河川事務所は2時58分になってようやく立ヶ花でのピーク水位の値を予測でき、これを公式発表しています。ですから、市長が河川事務所の誰かさんから飯山でのピーク水位の予想値を聞いたとしても、それは2時58分以降でなくては不可能な事なのです。これが最初の疑問点。
2つ目の疑問点は、河川事務所公表の「千曲川氾濫発生情報」を見ればわかる事ですが、河川事務所が水位の予測をして公表している場所は「生田」「杭瀬下」「立ヶ花」の3つの水位観測所だけであって、飯山については公式には水位の予測はしてはいないのです。そうであれば「2時ごろに市長と話をしたとされる河川事務所の誰かさんの話は、もしそのような話があったとしてもそれは河川事務所の公式見解ではなく、個人的な誰かさんの非公式な予想、もっといえば与太話にしかすぎないものであって、その話をした内容についてはとうてい河川事務所が公式に責任を持てるようなものではない」という事です。
そうしますと、市長は河川事務所の誰かさんの「個人的で責任のとれない話の内容」を信じて、事前に決められていた基準やルールをすべて無視して「避難勧告を出さなかった」という事になります。そうして市長は「そのやり方が正しかった」と主張しているのであります。
こうして、この市議会での市長の答弁には2つの重大な誤りが指摘できます。
一つ目は「2時ごろに電話で聞いた」と答弁していますがこれは不可能であって、実際は3時15分に河川事務所からかかってきた電話で聞いた、と言うのが事実であろうと推測できる事。(注1)
もう一つは「河川事務所の誰かさんの責任がもてない個人的な予想情報」を信じて、事前に決められていた基準値、ルールを一切無視して「避難勧告をださない」と決めた事。(注2)
そうして「そのやり方が正しかった」と主張している事であります。(注3)
さて、一番目の事項についてはこれは「事実はどちらであるのか」が確認出来る事です。そうして事実が「2時ではなくて3時15分である」とするならば、市長は市議会に対して、あるいは市民に対して「発言内容の修正を行う」と言うのが筋というものであります。
二番目の事柄については、これは市長の持つべき本来の職務「市民の安全を第一として守る」という事に対するスタンス、あるいは見識でありますから、いずれは市民によってその判断が下される、という事になろうかと思われます。
注1:令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】の最終ページを参照願います。そこには下記の記述があります。
『3:15 千曲川河川事務所より「立ヶ花で12mを超える水位となり、越水が各所で発生している。これからピークが飯山へ向かう
ので、飯山市でも最高水位に備えるよう」連絡が入る。』
注2:事前に決められていた基準値、ルール
堤防天端まで3mとなった時点で「避難準備・高齢者避難開始の発令」
堤防天端まで2.6mとなった時点で「避難勧告発令」が事前に決められていた基準値、ルール。したがって「堤防天端まで1m近くになっても避難勧告を出さない」という事は「これらの基準、ルールをすべて無視している」という事になる。以上の事の詳細は・その19・飯山市は自分で決めたルールさえ守る事が出来ない組織であるを参照されたい。
注3:堤防天端まで堤防天端まで1m以上あれば決壊は免れる。避難勧告を出す必要がないと判断~飯山市長答弁(アーカイブ)
『それで、河川事務所さんからの情報では、堤防までいけませんよと、これは前回W議員のときも答弁したんですけれども、1メートルちょっとですかね、余裕がありますということであります。
したがって、これは夜中の中で1メートル以上あれば、これは決壊は免れますので、その辺についてはこれは避難勧告を出す必要がないということで判断をしました。
実際、飯山の本堤の堤防は、越水、決壊もなかったということでございます。』
避難勧告を出さなくて正解だった。なぜならば「飯山の本堤の堤防は、越水、決壊もなかった」から、という理屈であります。さて、個人的な見解を申し上げるならば「足立市長、あなたには市民の安全を守る、という事について市長たるの見識・資格がない」と言わせていただきます。
5、皿川樋門内側での堆積物について
7月豪雨と記録されている千曲川の増水は7月8日~9日にかけてのもので、ピークは8日の21時、7.24mでした。しかしその時には皿川樋門は閉める事はなく、但しその時の皿川ダムの水位は樋門を閉めるべきレベルの少し下にまで到達していました。
その水が引いた後で樋門のその場所に残ったのは「泥」でした。これは樋門が開いていた為に千曲川からの逆流がおこり、皿川の水位を押し上げたのですが、そのお土産という事が言えます。
ちなみに8日の飯山の降水量は朝方の雨降りで61.5ミリでこの雨は午後にはやみました。そして9日は0.5ミリでした。つまり、皿川上流からの雨水の流れ込みのピークは昼ごろまででおわり、それ以降の皿川ダム湖の水位上昇は千曲川からの逆流によってもたらされた、という事になります。そうして、その様にして流れ込んできた千曲川の泥水がその場所に泥を残していった、という事になります。
ちなみにこの泥の残留物は台風19号が去った後で樋門のその場所に見られた泥と同じものである様に見えます。
さてそれで、飯山地方には15日に局所的、短期的な土砂降りがあり、市内では浸水被害と土砂災害が発生しました。
7月15日の飯山雨量観測所の24時間降雨量は131mm~浸水や土砂崩落被害が多発しました~
特に18時、19時台の降り方は一時間に20ミリをこえるもので、これによって市内では排水路から雨水が吹き上がり、浸水被害をだしました。(上記リンク記事内容を参照願います。)
さて、この雨によって当然皿川上流から増水した水が流れ下る事になります。さてその皿川泥水が流れ去った後に残ったものは何だと思いますか?
泥、ではありませんでした。砂利が残ったのです。つまり「皿川は多量の雨が上流部に降ると砂利を下流に流し出す川」なのです。
さてそうすると台風19号が去った後で皿川樋門のその場所に大量に残されていた泥はどこから来たのでしょうか?
その答えは「千曲川から来た」という事になります。
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2021/8/27
6、8月大雨について
飯山市は、この大雨に対応するため、8月14日(土)8時に「警戒本部」を設置、17時45分に市内7ヶ所に避難所を開設し、「高齢者等避難発令(市内全域)」した他、防災無線や、「飯山市メール配信サービス」を通じて市民に警戒を呼びかけました。
飯山市が発した防災無線放送や、「飯山市メール配信サービス」は、15日21時26分までに33回となりました。
↓
・飯山市HP : https://archive.fo/uTMpt
台風19号であれだけの被害をだして、それなりに反省し対応を改めたはずの飯山市が出してきた情報は立ヶ花の水位と皿川樋門の外水位から換算した千曲川の水位だけでした。
そうしてこれは従来からやっているものと何ら変わる所がありません。いったい市役所は何を反省した、というのでしょうか??
後は何時に会議を開いた、という市民にとってはどうでもいい情報と、避難指示およびそれの解除情報が載っている、あいかわらずの「上から目線」で「秘密主義満載」のものでした。
それから「飯山市が発した防災無線放送や、「飯山市メール配信サービス」は、15日21時26分までに33回となりました。」については以下の記事を参照願います。
・「令和3年8月大雨」~「飯山市メール配信サービス」は「河川水位情報」を中心に33回配信~
2021-08-17 10:44:29 : https://ameblo.jp/mto193914/entry-12692661931.html
・「令和3年8月大雨」~「飯山市メール配信サービス」は「河川水位情報」を中心に33回配信~
2021-08-16 12:01:27
テーマ:8月の大雨 : https://ameblo.jp/mto193914/entry-12692490628.html
特に前回、堤防決壊で大きな被害を出した皿川については、その水位が危険水位を越えたにもかかわらず「何の情報発信もなし」でした。
「危険水位をこえた」のであれば「避難指示をだす」と言うのが常識・ルールでありますが飯山市は今回もまた前回同様に「何の断りもなくそのルールを無視した」のであります。
そうしてそれは前回・台風19号の時の飯山市長の態度「水が堤防を越えなかったのだからいいだろう」と言うもの、そのものであります。
その情報発信のやり方には少しの反省も、そうして又何の改善の跡も認める事はできません。何の進歩もないのであります。
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