現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

横浜トリエンナーレ、1回目(後編)

2005-10-04 | アート感想@関東
前編の続き。

【ナカニワ】

68 マーリア・ヴィルッカラ 《だからどうした-縞馬がアートフェスティバルへ行く》:3号上屋と4号上屋を結ぶワイヤーの上を、模型の動物たちが綱渡りをしている作品。これはカワイイ!

【4号上屋 4A】

32 KOSUGE 1-16+アトリエ・ワン+ヨココム 《アスレチッククラブ4号プロジェクト》:プレイヤーが子どもの背丈ぐらいある巨大サッカーゲーム。ちょっとだけプレイしたけど、思ったより体を動かす必要があって少し汗ばんだ。

【4号上屋 4B】

59 高嶺格 《鹿児島エスペラント》:巨大な箱庭を映像と音楽で演出したインスタレーション。以前水戸で観た《ビッグ・ブロウ・ジョブ》と同じ形式の作品だけど、こちらは癒し系。延々と流れる「はるかな友に」が心地よかった。この作品が4号上屋で一番のオススメ!なお、出入口は工事用の階段なので、手すりを使うと安全。

67 ヴォルフガング・ヴィンター&ベルトルト・ホルベルト 《スウィンガークラブ ヨコハマ》:椅子の部分がキレイに光るちょっと大きめのブランコ。ブランコに乗るなんて本当に久しぶりだけど、童心に帰って楽しめた。

07 ミゲル・カルデロン 《考える人》:これは笑えた。商品名に注目!

【4号上屋 4C】

11 COUMA 《extra practice》:卓球台が何台かあって、観客は自由にプレイすることができる。卓球台の下も面白い。

13 キュレーターマン 《キュレーターマン》:アート国際展を題材にしたモノポリーのようなボードゲーム。金・土・日のみ開催。優勝者は、タイ行きの航空券がもらえるらしい。内装がキッチュで、それを観ているだけでも楽しかった。でもプレイしてみたい!

ところで、19 ショーン・グラッドウェルの作品って、どこにあったの?良い評判を聞いていたんだけど、見当たらなくて残念。

【センタン】

65 ナリ・ワード 《グッド・シチズン》:リサイクル牛乳パックで作った実物大のサメ。パックのウラを表にしているので真っ白!サメの体内の展示も良かった。

4時間近くも会場内をウロウロして疲れたので、復路は無料バスを利用。往路とは反対側の倉庫街を走り、あっという間に到着。平日は15分間隔、休日は8分間隔で運行。

続いて、山下公園内に設置されたジャン・ジェの《游龍》(写真)を観に行ったけど、工事用バリケードで囲われていたのが残念だった。隣のレストハウスではマリア・ローゼンの幻のプロジェクトの資料を展示。

最後に中華街へ。以前、下見した西野達郎のホテル《ヴィラ會方亭》の内部は、非常に素敵な空間だった。でも、会期末まで予約でいっぱい……。ロングマーチの中華街での作品は、アンケートを行っている段階で、まだヴィジュアル的なものにはなっていないとのこと。

12月18日まで、会期中無休。

※ 見落とした作品や、味わい尽くしていない作品があると思うので、ほかにオススメの作品があったら是非教えて下さい。

2回目!

横浜トリエンナーレ、1回目(前編)

2005-10-04 | アート感想@関東
横浜トリエンナーレ2005に行ってきた。

少なくとも1回は再訪するつもりなので、迷わずフリーパスを購入。2回で元が取れるので、かなりおトク。フリーパスを買った直後、チケット係のセリフにちょっとびっくり。それはティノ・セーガルによるコミュニケーションのためのアートとのこと。

会場までの無料バスもあったけど、往路は徒歩で行くことにした。プロムナードを彩る紅白の三角旗、ダニエル・ビュランの《海辺の16,150の光彩》をくぐっていると、だんだん期待が高まってくる。

あと、入り口付近には、ボートピープル・アソシエーションの《L.O.B. II-13号計画》が係留されていた。これは艀(はしけ)を改造した船のようなスペース。中に入ると、そこには素敵な空間が広がっていたけど、揺れがひどくて早々に退散。

10分ほど歩いて3号上屋前に到着。構造がむき出しの倉庫内に、主に工事用の仮設材で作られた展示が並ぶ光景は圧巻。雑然として騒々しい空間は、美術館の展覧会とは全く逆の雰囲気だった。

以下、特に印象に残った作品を紹介。

【3号上屋 3A】

25 池水慶一 《コンニチハヨコハマソウコデス》:工事用の金属パイプとベニヤで作られた巨大な階段状の作品。約7メートルの高さまで上ることができ、展示室を一望することができる。相変わらず高いところが大好きな私……。

58 高松次郎 《工事現場の塀の影》:1971年に工事現場の塀に描かれ、1日で撤去されてしまった幻の作品を再制作したもの。現代美術の古典とも言える作品だけど、あえてこのような作品を出展したことに意義があるのかも。

【3号上屋 3B】

56 ソイ・プロジェクト 《メロ・グリーン》:小部屋がドアでつながって、迷路のようになった作品。ドアには可愛らしいイラストがあり、ほほえましいストーリーが展開される。見上げると満天の星空!

52 さわひらき 《trail》:洗面台の中や窓の縁を、ラクダなどの影が歩いていく映像作品。ゆったりとした幻想的な光景に、時間がたつのを忘れてしまいそうだった。

【3号上屋 3C】

40 奈良美智+graf 《Yokohama seaside tenement house》:過去の展覧会の記録、アトリエを模した小部屋、海を望む物見台、コンテナののぞき穴(上下で別の光景!)、韓国でのワークショップの成果、そして大型ペインティングと盛りだくさんの内容。奈良ファンは必見!3号上屋で一番のオススメ。

【ハトバ】

67 ヴォルフガング・ヴィンター&ベルトルト・ホルベルト 《カスランハウス 720.9-横浜展望台》:ビールケースの壁でできた展望台。黄色いビールケース越しに眺めた横浜港は、青みがかって美しかった。

※ 見落とした作品や、味わい尽くしていない作品があると思うので、ほかにオススメの作品があったら是非教えて下さい。

後編に続く。

KIRIN ART PROJECT 2005

2005-10-03 | アート感想@関東
月島に行ってきた。

KIRIN ART PROJECT 2005タマダプロジェクトアートスペース

ゲスト作家と、公募で選ばれた4組の作家が同一テーマで作品を作り上げる展覧会。公募で選ばれた作家は、それぞれ第一線で活躍するキュレーターのサポートを受けて制作を行うというのがミソ。

ヤノベケンジがサポートしたのは、淀川のゴミなどを使って作品を作る淀川テクニック。旧作のほか今回の新作として、淀川のゴミを発泡スチロールトレイに梱包し、これを壁一面に配置した《ゴミ淀川産》。ゴミ・屋外というイメージと、手堅くまとめた作品とのギャップが面白かった。

椹木野衣がサポートしたのは、スタンダードな油彩画を描く大森隆義。非常にマトモな人物&風景画で、こういう絵を観るのは本当に久しぶり(苦笑)。それにしても、あの椹木野衣がこのような作家を選んだのが衝撃的だった。

後藤繁雄がサポートしたのは、顔面フィギュアのアニメーションを制作するカワイオカムラ。ちょっとクセのある映像で、ハマる人はハマりそうだけど……、私とはツボがちょっと違うみたい。

そして残念だったのは、五十嵐太郎がサポートした建築家石上純也による《テーブル》。花瓶や食器などが載ったテーブルを良くみると、天板と脚が信じられないほど薄くてビックリ!このベニヤみたいな天板は、実は厚さ4ミリの鉄板で、もともと丸まっていたものとのこと。それを構造計算の結果、見事にバランスさせて……のはずだったけど、調整中のため天板が台で支えてあった。これでは台無し!

ゲストの束芋の作品は、360度スクリーンの映像作品《ギョニる》。ギャラリー小柳で観た手のひらの複合体がワサワサしてて、グロテスクな「事件」も起こる。でも、これまでの作品ほど気持ち悪くなく、むしろ美しいとさえ感じた。単に私の感覚がマヒしてきただけなのかもしれないけど。

全体として、去年観た「ハイ・エナジーフィールド」よりずっと大人しい印象だった。まあ、去年のはそれまでの集大成だから比較する方が悪いんだけど。

10月23日まで、会期中無休。

その後、KPOキリンプラザ大阪に巡回(10/29~12/11)。