現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

原美術館コレクション展

2005-06-29 | アート感想@関東
仕事帰りに原美術館(写真)へ行ってきた。水曜は閉館が20時なので、ライトアップされた幻想的な光景を期待して行ってみたけど、この時期は日が長すぎて19時になっても明るいまま。残念!

あなたの中のわたし―原美術館コレクション展

これまで原美術館で行われた企画展の中から、「あなた」と「わたし」の関係から生まれた作品を集めたコレクション展。

この展覧会の白眉は、ソフィ・カルが苦しみを克服する過程を記録した《限局性激痛》。彼女は、父の友人に10歳のときから憧れ続け、30歳でようやく彼をモノにしたものの、日本への留学が原因で失恋してしまう。その苦しみを克服するために他人に失恋の一部始終を話す一方、その相手にも最も苦しんだ経験を話してもらう。最初のうちは「耐え難い苦しみ」なんだけど、多くの人に話すにつれて、話が短く淡々としたものになっていき、最後には「よくあること」になって、ついに苦しみを克服してしまう。まるで克服の過程を追体験しているようで、最後まで夢中で読んでしまった。

森村泰昌のレンブラントの自画像に扮した作品も良かった。最近の森村作品は、現代風な解釈や遊びを盛り込んでいて、それはそれで魅力的なんだけど、今回観た作品はストレートに巨匠の作品に迫ろうとしていた。レンブラント自身、若い頃から晩年まで多くの自画像を描いているけど、森村というフィルターを通して観ることで、レンブラントの人生が浮き彫りになってくるようだった。

このほか、荒木経惟《センチメンタルな旅・冬の旅》の連作や、シンディ・シャーマン《アンタイトルド・フィルム・スティル》(2作品)も印象的だった。

あと、ミュージアムショップに「アート イン Tシャツ プロジェクト」の写真が展示してあった。数字の選び方に各人の個性が出てて面白い!

7月31日まで、月曜休館。