こんにちは。サンパウロは冷え込んできました。
昨日の続きです。
原因については色々言われていますが、今のところ雨でブレーキが利かなかったことが主因とされています。
サンパウロは前々日の夜中から雨になっており、水曜日の午前中まで降り続きました。
こちらの雨は長続きしないのですが、今回は強弱の程度こそあれ降り続いていました。
でも雨だけだったら今までも降っていますし、今回に限ったことではありません。
ではなぜ?
1つ目はそもそもの滑走路の長さ、着陸の難しさの問題。
この空港の滑走路は短く、1,900mほどしかありません。
サンパウロ国際空港(グアルーリョス)が3,700m、リオデジャネイロで4,000m、日本で言えば羽田が2,500~3,000m、成田や関空で4,000mのものがあります。
まあだからこその中・小型機用空港なのですが、市の中心部に近く、空港の周りにも高い建物が建つようになりおまけに滑走路も短く着陸が難しい空港のようです。
2つ目は、滑走路自体の問題。
実はこの滑走路、酷使されていたため、保全工事が突貫で行われ、1ヶ月ほど前に完成(仮)したばかりでした。
(仮)とあるのは、使用可能だが路面の仕上げ工事が終わっていなかったことです。
その仕上げとは排水用グルービング、つまり水はけを良くするために路面に幅6Cm間隔で溝を切る工事でした。
忙しい空港なので、仕上げ工事をしないまま見切り運用開始。溝切り工事は夜間で路面が乾いた時にやる予定だったようです。
3つ目は操縦・機体の問題。
一部報道では滑走路にブレーキ痕が無かったとか。
ブレーキをかけなかった?ブレーキがかからなかった?
止まらないと判断したパイロットは再上昇を試みたとも言われています。
結果上がりきらずに墜落したとも・・・。
また左に曲がって落ちたため、右エンジンのブレーキが開かなかった?再発進しようとしたが左エンジンのブレーキが開かなかった?などなどの説もあります。
機体のボロさは・・・誰しも認めるところです(笑)。
4つ目は管制の問題。
これは事故とは直接関係ないと思いますが、ブラジルの航空管制はマヒ状態です。
管制官の人手不足、能力不足に加えて劣悪な勤務条件に対してスト(サボタージュ)を行っています。
航空管制はブラジル空軍の管轄下のようで、しばらく前にはサボタージュを行った管制官らをクビにしたりして事態の収拾を図っていますが、上手く行ってないようです。
そのため、ブラジル国内では発着の遅れが目立っています。昨年9月にもアマゾンで飛行機同士が接触して墜落しましたが、その教訓が全く生かされていないと。
海外の飛行機会社ではブラジル国内を飛ぶときは気をつけろと言われているとか。
そんなブラジルの航空事情を背景として、今回の事故は起こるべくして起きたという感じです。
実際今回の事故の前に、小さな事故が続けて起こりました。
同じコンゴーニャス空港で前日、雨の中着陸したプロペラ機がスリップして芝生に突っ込み、その数時間後にも飛行機が滑って滑走路から外れそうになったようです。着陸するパイロットには「滑るから気をつけろ」という指示もあったとか。
時に今はブラジルの学校は冬休みです。
子供の休みに併せて家族旅行に行く人も多く、現にこの飛行機にも乗っていたようです。
繁忙期でもあり、危ないとわかっていても運行を続けた航空各社とそれを容認した空港当局。
責任の所在は・・・、曖昧な気がします。亡くなった人は浮かばれませんね。
事故原因の解明には1年以上かかるみたいです。
ブラジルで飛行機は・・・できれば乗りたくありませんが、日本と違い広い国土を移動するには不可欠です。
乗りたくないけど仕方ない。それがブラジルの飛行機でしょう。