続・エヌ氏の私設法学部社会学科

無理、矛盾、不条理、不公平、牽強付会、我田引水、頽廃、犯罪、戦争。
世間とは斯くも住み難き処なりや?

科学が安全でも、用いる人間が危険ならば、即ち危険と結論するしかない

2011-07-18 | 人文科学講座
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 自慢するわけではありませんが・・・と前置きする場合、たいていは自慢話と相場は決まっていますが・・・

 私は、就職等のことを考えて文科系を選択しましたが、元々、理科や数学が得意で、今でも人文科学のみならず、理科系の科学にも大変興味があり、また興味の対象も物理から化学・生物は言うに及ばず、宇宙や地球のことまで多岐に亘り、ハヤカワ文庫アイザック・アシモフの科学エッセイ十数巻(おそらく普通の文科系の方は、手に取ることすらしないでしょう)も読破するなど、科学理論・理屈は、文科系としては一端だと思っています。
 もっともエッセイ中、数学ばかりはお手上げでしたが。

 また、原子力の理論や原子爆弾の基本的な原理などは、小学生の頃、図書館の本を読んで、まあ小学生なりですが、既に理解していました。
 さらに、九州に住んでいるからにはと、玄海原発も見学し、原子力発電所の堅牢な造りを、この目で確認してきました。

 ですから、原発がいかに安全に造られているか、少なくともそう努力されていることを、私は十分理解しており、
「原子力は、安全なエネルギー源だ」
と断言できます。

 しかし、私は文科系を選択し、法学部へ進み、殺人罪や詐欺罪などの犯罪、浮気や隠し子など自らの不徳が招いた人間関係のいやらしさ、犯罪とは言えないまでも卑劣で反社会的な行為、また教養課程として社会学や心理学を通じて、人間というものの奥底も学んでしまいました。

 そこで得た知識を敷衍すると今度は、
「人間とは愚かで、卑怯で、危険極まりない存在だ」
と断言せざるを得ません。

 科学という一点に絞って考えれば、原発推進派が言う、「原子力は安全です」とか「技術は日々進歩しています」という言葉に、間違いはありません。
 確かに、核燃料からエネルギーを取り出す工程に、抜けはないように思われます。

 しかし、実際に造られた、原子力発電所となるとどうでしょう?

 言うまでもなく、発電所は人間が設計し、人間が施工し、人間が運転・点検・修理を行っています。
 どんなに完璧な理論に基づいて施行されたものでも、実行する人間次第で、璧は完全でなくなってしまう可能性があります。
 いや、歴史上、完璧であったものなど一つもない、と言い切ってしまっても差し支えないでしょう。

 設計にミスがあったらどうでしょう。施工に手抜きがあったら、運転・点検・修理に抜けがあったら、そもそも建設の前提条件に誤りがあったら。
 さらに、原子炉はよくできていても、周辺機器がいい加減な造りだったら。

 ・・・全てが灰塵に帰すのは、実例のとおりです。

 九州電力では、会社ぐるみでの、「やらせメール」による世論操作が発覚しました。
 玄海原発を抱える佐賀県知事は、九州電力から献金を受けていました。
 さらに玄海町長の親族企業は、原発関連で15億円もの仕事をもらっていました。

 こうした例を見れば、公平・公正な判断が阻害されていることは間違いなく、特定の利益享受者の都合によって物事が決められていることに、疑う余地はありません。

 いくら立派で、珠の欠けたるところがない科学技術であっても、こうした連中の手に渡ってしまえば、珠はたちまち汚れ、欠け、いいように食い物にされるのが関の山です。
 こうした例が、掲題の、「科学が安全でも、用いる人間が危険ならば、即ち危険と結論するしかない」というわけです。

 誠に残念ながら、長足の科学進歩に比べ、人間自身の意識は旧態依然としていて、全く追いついていません。
 であれば、人間は、せっかく進歩した科学技術といえども、使うことを躊躇うべきです。
 いや、躊躇わず、使うことを諦めるべきです。

 では、どこまで人間の意識が進歩したら使ってもいいのか。
 至って簡単です。
「あたりまえのことが、あたりまえにできる」
 人間が、たったそれだけのことをできるようになれば、必要十分です。

 逆に言えば、そんなことさえできないのが今の人間であるのに、そのくせ原発に関しては、人間の分際で不遜にも、絶対安全だという「安全神話」などでっち上げて誤魔化し続けてきており、これでは神の怒りを買うのも、当然といえば当然の結末でした。

 原子爆弾は兵器で、原子力発電所は産業です。
 両者には決定的ない違いがあるように思われますが、原理は一緒です。
 したがって、それらがもたらす被害は、程度の差こそあれ、何ら変わりはありません。

 私が尊敬してやまないSF作家のジュール・ベルヌは、たった一撃で、艦船を跡形もなく破壊してしまう恐るべき兵器を、そう、今で言う原子力のように、強力なエネルギーを放出する兵器を、作品中に「発明」しました。
 その作品の邦題は奇しくも
「悪魔の発明」

です。

 今、原子力という諸刃の剣を手にしているのは、果たして・・・

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