文化逍遥。

良質な文化の紹介。

フェルナンデス倒産

2024年07月16日 | ギター
 驚きであり、残念なことだが、国産ギターメーカーの「フェルナンデス」が倒産した。製造はOEMで国内のメーカーなどに委託し、主に初心者から中級者向けの、使い勝手の良いギターやベースなどを企画販売していた。奇抜なデザインも多く、ファンも多かったようだ。特に1990年発売の「ZO-3(象さん)」というアンプ内蔵の小型ギターは、ある意味、画期的なものだった。というのも、わたしは1980年代、出張で各地のビジネスホテルを泊まり歩くことが多く、夜にホテルの部屋で練習出来るようなギターが欲しかった。なので、その当時「ZO-3」が出ていれば買い求めていたと思う。


シンプルなタイプの「ZO-3」。すでにサウンドハウスでは、販売を終了している。欲しい人は、今のうちに楽器店の在庫分を探して買っておいた方が良いかもしれない。

 経営の悪化には、材の高騰がひとつの要因というが、若い世代があまりギターを使うような音楽に興味を持たなくなってきたとも言われる。パソコンで入力すれば作曲から演奏まで出来るので、それも時代の流れかもしれない。

 一方で、ビンテージ・ギターやカスタムショップ製の楽器は高騰している。ESPのカスタムショップなどでは、円安の影響で海外からの注文が多く、オーダーしても納品まで2年かかるという。セッションなどでは、盗難や破損の心配があるので良質な楽器を使うのを止めて、安価な楽器や、店の備え付けの楽器を使う人も多い。ミュージシャンにとって、環境は悪化しているように感じる。

 
 以下は、ウィキペディアより「フェルナンデス」の記事の一部を引用。
『1999年1月期には年間売上高40億円に達していたものの、その後中古市場の台頭や競争激化によって業績が悪化。巻き返しを目指すも、2022年1月期は売上高が1億6608万円まで落ち込み、2414万円の最終赤字を計上した。さらに直接の資本関係は無いものの、西日本地区の代理店として関係が深かった大阪フェルナンデスも、2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う音楽活動規制が元で製品需要が減少したことで債務超過に陥り、2023年に大阪地方裁判所に自己破産を申請、同年4月に破産開始決定を受けていた。こうした事から当社の信用も低下、事業継続も困難となり、2024年7月11日までに事業を停止、弁護士に破産手続きを一任した旨を本社に掲示した。負債総額は2024年1月期決算時点で4億3389万円にのぼる。』

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ギターヘッド装着用タイに結束バンド

2024年07月09日 | ギター
 昨(2023)年、腰を痛めたりして、ギターを弾いていても、疲れが腰に出るようになった。そこでストラップを使い、色々と演奏する姿勢を変えて、腰に負担がかからない方法を模索している。

 所有しているほとんどギターのネックヒールにはストラップを付けるためのピンを打ってあるのだが、今はそれを使わずにストラップをギターのヘッドに付けて、高めの椅子に腰かけ、なるべく背筋を伸ばして練習するようにしている。今のところ、これが腰には楽で、疲れを感じたら、こまめに立ち上がったりしている。まあ、加齢のなせるところなのだが、若い頃は畳の部屋で胡坐(あぐら)を組んでギターの練習を長時間したりしていた。今思えば、背骨にかかる負担が大きく、そのツケがたまっていたようにも思える。若い人たちには、楽器に限らずパソコンやスマホなどを操作する時などにも、腰椎・頸椎への負担を考えて日頃から生活してもらいたい。

 さて、ストラップをギターのヘッドに固定する際には紐で巻き付けて縛るのが一般的だが、これは解(ほど)けたりする心配や、結び目が邪魔になったりする。また、マーチンやダダーリオなどでは専用のアイテムも発売されているが、結構高いし、どうもしっくりこない。
 そこで、安くて強度があり、簡単に着脱出来るようなアイテムを探してきた。再利用できる「結束バンド・リピートタイプ」というもの。ネット通販で、10本入り151円、送料230円を含めると381円。なので、1本あたり38円くらい。劣化してきたら早めに換えられる価格だ。


 幅8ミリ程で、長さは25センチのタイプ。耐荷重は約22キログラムあるというので、十分だ。使っているうちに丸まってきた。


 先端部のツメを押すと、固定が解除になり、繰り返し使える。


 わたしは、こんな感じでギターのヘッドにつけている。この位置が、演奏時に最も邪魔にならず、安定する感じ。傷がついたりしないか気になるところだが、ビニールの様な材質なので、今のところは大丈夫そうだ。わたしは、元々あまり傷は気にならないが、細かな傷等を気にする人にはお勧めしない。

 裏側。少し余っているが、気にならない程度だ。ギターのヘッドが小さい場合は、少しカットしても良いだろう。

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2023年アメリカ映画『ホールドオーバーズ』

2024年07月02日 | 映画
 6/26(水)千葉劇場にて。『Holdovers(ホールドオーバーズ)』とは、辞書によれば「残留者」の意で、アメリカでは「落第して留年した者」の意味もあるらしい。ここは、古風な言葉だが「居残り」とでもいったところ。監督アレクサンダー・ペイン。出演、先生役にポール・ジアマッティ、料理長役にダバイン・ジョイ・ランドルフ、生徒役にドミニク・セッサ。

 半世紀ほど前の、マサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。クリスマス休暇で、ほとんどの学生や学校関係者が帰郷してゆく。が、3人の人物がクリスマスから年末年始を学校の中で過ごさねばならなくなっていた。親の都合によって帰る場が無くなった生徒、彼を監督・保護する教師、そして、食事の世話をする料理長。3人は、それぞれ心に深い傷を負い、トラウマに苦しんでいたのだが・・・。

 「グリ-フケア(深い悲しみからの回復)をテーマにした文学的な作品」と思った。登場する人物は多くなく、セリフの多くがこの3人の人物によって語られる。特に、先生役のポール・ジアマッティという俳優さんのいぶし銀の様な演技が心に残った。佳作といえる。
 


 以下は、千葉劇場のホームページより転載
『「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
物語の舞台は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。この高校で古代史の非常勤教師を務めるポール・ハナムはみんなからの嫌われ者。そして一人息子を亡くした料理長のメアリー・ラム、優秀だがトラブルメーカーのアンガス・タリー。それぞれ異なる事情を抱える3人が、クリスマスと年末を共に過ごすことに…。誰もいない学校のなか、ちょっとした冒険や災難を通じて、3人の間には小さな繋がりが生まれていく。第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した。(2023年製作/133分/アメリカ)』



映画とは関係ないけど、おまけで、梅雨時に咲く千葉公園の蓮。6/26(水)午前に撮影。

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漢詩とブルースの詩、その類似性

2024年06月25日 | 音楽
 かねてより漢詩と古いタイプのブルースの詩には類似性がある、と感じていた。わたしは、比較文化学の研究者ではないので具体的な論証が出来るわけではない。が、異なる文化に共通点を見出せれば、相互理解の一助になることもあるだろう。「突飛なこじ付け」と思われるかもしれないが、無理を承知の上で書いておきたい。

 漢詩と言うと、学校で教わったように、難関試験「科挙」に合格した文人エリートたちがたしなんだ教養のひとつで、それを型にはまった読み下し文にして理解しようとする人も多いかもしれない。が、その中には庶民生活を歌ったものも多く、漢字の知識さえあれば大まかな意味と脚韻の面白さを味わうことが出来る作品も多い。元々、漢詩も「楽府題(がふだい)」といって、歌の歌詞が源といわれる。白楽天(白居易)は、作った詩を自ら庶民の前で歌って聞かせ、意味が通じなければ書き直した、という言い伝えもあるらしい。日本の和歌なども、百人一首大会などでは節をつけて読み上げられている。基本、「詩」は「歌」なのだ。

たとえば「詩仙」と言われる李白の詩に、『山中対酌』というものがある。七言絶句、あるいは研究者によっては七言古詩。脚韻に注目。

両人対酌山花 一杯一杯復一
我酔欲眠君且去 明朝有意抱琴

(読み下し文の一例)
『両人対酌して山花開く 一杯一杯復(ま)た一杯
我酔いて眠らんと欲す 君且(しばら)く去れ 明朝意有らば琴を抱いて来たれ』

読み下し文では分かりづらいが、原文の太字にしたところが韻を踏んでいる。「平仄(ひょうそく)」というイントネーションのこともあるが、ここは日本語で、開(かいkai)、杯(はいhai)、来(らいrai)、と音で読めば音感がつかめる。ざっくばらんに、意訳してみると・・・

『裏山の花が咲いて昔馴染みと酒を酌み交わしている まあまあ一杯 と飲み続けていて切りがない
酔っちゃて眠くなった 君悪いが一旦帰ってくれないか 明日も来るなら琴を持って来て聞かせてくれや』


さて、ここでブルースの詩。ウィリアム・ハリスという人が1928年頃に録音した『kansas City Blues(カンザスシティーブルース)』からの抜き出し・・こちらも脚韻に注目。

I wish I was a catfish in the deep blue sea 青く深い海に住むナマズになりてえなあ
I'd have all these women just fishin' after me 泳ぎ回る娘たちを釣り上げてやるのに・・
(refrain) Then I'd move Kansascity・・・(彼女がカンザスに行っちまったから) 俺も行こうかカンザスへ・・

I wish I was jeybird flyin' in the air 空を飛ぶカケスになりてえもんだ
Build my nest some of these her brown hair あの娘の金髪の頭に俺の巣を作ってやる
(refrain) Then I'd move Kansascity・・・(彼女がカンザスに行っちまったから) 俺も行こうかカンザスへ・・

 下線部が脚韻を踏んでいるところ。この様な古い英詩の形式に沿った詩はモダンブルースではほとんど見かけないが、古いブルースでは珍しくない。『kansas City Blues』では、特に下段の flyin' in the airとしている部分に注目したい。「in the sky」とするのが普通だろうが、そこをあえて in the airとして脚韻を踏んでいる。そこに、わたしは漢詩と共通するものを感じる。中国語も英語も語順が意味を決める言語ということで、言語学的に脚韻を踏みやすいという共通した特徴もあるようだ。

 漢詩とブルース。脚韻の踏み方だけではなく、4連の漢詩「絶句」を8小節ブルース、8連の「律詩」を12あるいは16小節ブルース、と、スタンザ(詩の連)の形式に共通性を見い出すこともできる。

 と、まあ、こういうことは演奏してみないと実感できないところ。逆に言えば、学校で読み方や意味を教わっても、作者の気持ちや情趣までは伝わって来ない。学校で得る知識に価値がない、ということではない。その知識を身に沁み込ませるためには、自ら一歩踏み出して、作品と向き合う必要がある、ということだ。

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御宿海岸2024/6/13

2024年06月18日 | 旅行記
 6月13日(金)、古い友人が誘ってくれたので、車に便乗して千葉県の外房、御宿(おんじゅく)海岸などへ行ってきた。



 白い砂浜は、童謡『月の沙漠』ゆかりの地といわれ、写真には写っていないが、右奥に月の沙漠記念像などがある。もう少しして海水浴のシーズンになると、かなりな賑わいになるだろう。道路の混雑状況によるが、ここまで千葉市の我が家から、所要時間は1時間半から2時間といったところ。


 丘の上にある「メキシコ記念公園」より、勝浦方向を撮影。下に見えているのは、岩和田(いわだ)漁港。

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2023年フランス・ベルギー合作映画『バティモン5 望まれざる者』

2024年06月11日 | 映画
 6/5(水)、千葉劇場にて。監督ラジ・リ。出演アンタ・ディアウ、アレクシス・マネンティ。

 パリでは、今年2024年夏にオリンピックが開催される。報道によると、それがために一部の地区で住民が強制退去させられた、と聞く。2023年製作の、この作品はオリンピックとは直接的な関係はないかもしれない。が、行政が警察を動員して住民を強制退去される設定になっていて、その点ではオリンピック開催という行政の都合による住民の強制退去と同じ、と言える。端的に言えば、現代フランス社会の歪みを描いた作品、と言えるだろう。映画の舞台となっているのは、日本の高度成長期に建てられた公団住宅によく似た10階建て程の団地。老朽化が進み、エレベーターなどは故障して長く動かず、通路の照明なども切れ、落書きだらけで住民の心の荒廃も感じられる。しかし、そこでは、確かに人々が生活しているのだった。
 映画の最後、住む家を失った黒人青年が市長の家に乗り込み破壊と放火を試み、帰宅した市長に「住む場を奪われた者の気持ちを味合わせてやる・・」と、泣きながら叫ぶシーンがある。それは、かつて植民地として国を奪われた者の言葉の様にも聞こえた。観ていて、つらいシーンも多かったが、見る価値のある作品、と感じた。



以下は、千葉劇場のホームページより引用
『パリ郊外で移民家族が多く暮らす地区を一掃しようとする行政と住民たちの衝突を緊迫感たっぷりに描き、大都会パリの知られざる暗部を浮き彫りにした社会派ドラマ。パリ郊外に立ち並ぶいくつもの団地には労働者階級の移民家族たちが多く暮らしているが、このエリアの一画=バティモン5では再開発のために老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められている。そんな中、前任者の急逝で臨時市長となったピエールは、自身の信念のもと、バティモン5の復興と治安を改善する政策の強行を決意。だがその横暴なやり方に住民たちは猛反発、やがて、これまで移民たちに寄り添い、ケアスタッフとして長年働いていたアビーたちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけについに衝突。やがて激しい抗争へと発展していく。(2023年製作/105分/G/フランス・ベルギー合作)』

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ダイナミックマイク、LEWITT「MTP440DM」

2024年06月04日 | 楽器・エッセイ
 昨年、シュアーのヴォーカル用ダイナミックマイク「ベータ58」が故障して、ベーリンガーの安めのヴォーカル・マイクを買って使っていた。が、やはりシュアーの奥行きのある音質には届かず、ベータ57のグリルを換えてヴォーカル用に使うことにして、楽器用のダイナミックマイクをサウンドハウスで適当なものを物色して購入した。入手したのは、オーストリアのメーカーLEWITTの「MTP440DM」。シュアーのベータ57にしようか迷ったが、他のメーカーを試してみたくなり、こちらに決めた。11000円ほど。


LEWITTの「MTP440DM」。クリヤーな音質で、またアンプからの音圧にも耐えられるので、エレキギターの録音にも適している。付属のホルダーも使いやすい。


全体にこんな感じで録音している。


こちらは、シュアーのベータ57の先端部グリルをヴォーカル用に換えたもの。グリルは、ベータ58のものを捨てずにとってあったので、それを転用。35年くらい使っている。現在、BETA58用グリルボールだけでも5000円程する。捨てずにとっておいて良かった。

 ヴォーカル用と楽器用、その違いはマイク本体にあるというよりも、先端についているグリルがポップガードになっているかいないか、だ。ポップガードというのは、「パピプペポ」などの発音時に口から出る風圧に、対応するためのスクリーン。これがあるとないでは、かなり違う。楽器用マイクをヴォーカルで使う場合は、別にポップガードなどを使えばよい。あるいは、その方が音質的には良いかもしれないが、セッティングなどに手間とお金がかかる。目的にあったものを選んで使うことで、シンプルで持続性のある活動が出来る。

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ポタリング中に職務質問

2024年05月28日 | 日記・エッセイ・コラム
 主に自転車で、目的地もなくゆっくりと街並みを眺めながら走り、軽い運動と散策をすることをポタリング(pottering)と言っている。長距離をひたすら走り続けるサイクリングと異なり、街並みの変化を見ながらのんびりと走るのは楽しいものだ。が、辺りをキョロキョロ見回しつつ、目的地もなく自転車に乗って走っているのは、警邏(けいら)中のお巡りさんからは「不審者」に見えるらしく、先日、呼び止められて職務質問された。これで2回目だ。

 そりゃあねえ、信号無視したとか、スマホを見ながら自転車に乗っていたとか、交通違反の事案に相当するなら仕方もない。そういうことも無いのに、真っ昼間にですよ、オートバイで追尾することもないだろ。「生まれ育った街の変化などを見ながら自転車に乗っていただけで、職質はないだろ」と喉元まで出た。しかし「なさぬ堪忍、するが堪忍」。そこをグッと堪えて、「どうぞ、(防犯登録番号を)確認してください」と言うと、相手も態度を改めた。警察や税務調査員などは人を疑うのが仕事で、彼等はある種異常な心理状態の中にいて、人は皆「不審者」に見えるらしい。

 余談だが、若い頃、仕事で税務署に定期的に行っていたことがある。その時に、税務署側で担当していたのは新入職員の若い人だった。彼は当初、穏やかな顔つきで冗談なども言っていたが、訪問するたびに目つきが鋭くなり、冗談も通じなくなっていった。心のゆとりを、失っていったように感じられた。おそらく、芸術の豊かさなども理解できず、退職後も精神的にゆとりがある生活を送ることは難しいだろう。悲しいことだが、その様な人がいなければ、この社会は維持できないのが現実なのだろう。


関係ないけど、下の写真は千葉公園のアヤメ。5/25(土)午後スマホで撮影。


奥は紫陽花。






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アナログリバーブ再評価

2024年05月21日 | 楽器・エッセイ
 今年に入り、けっこう身辺整理が進み、楽器などもヤフオクに出して販売したりしている。その中で録音機材も、コンプレッサーやデジタルリバーブなどを整理した。リバーブに関してはデジタルとアナログの両方を持っていたが、どちらを残すか、かなり迷った末に、結局アリアのアナログリバーブAR-525を残しミキシングなどに使うことにした。

 アナログリバーブは、本体の中にスプリング(バネ)が入っているだけの単純な構造で、ちょっと振動を加えただけで「ボワ~ン」と共鳴してしまい、ハウリングを起こしやすい。が、音質は暖かく、音圧とレベルをうまく調整すれば、デジタルではシュミレート出来ない良い音になる。35年ほど前に買ったのだが、その時にはすでに製造は終了していたように記憶している。少しガリが出るツマミもあるが、ヒューズも交換し、まだまだこれからも現役で使えそうだ。

 写真の様に、トラックダウン出来るようにセッティングし改めて音出ししてみると、その良さを再認識した。デジタルのようにクリヤーな音質ではなく、また、様々な残響パターンを設定できるわけではないが、わたしのようにアコースティックな音を重視する者には貴重な機材だ。ついつい、リバーブのレベルを上げて強くかけたくなるが、そこを我慢して控えめに使うのがコツ。


中央がアリアのAR-525。背面にもジャック接続できるようになっており、正面パネル側の接続が優先になる。なので、裏側は録音機器に接続しておいても、表側のジャックを使えばエレキギターのアンプ代わりに使える。上は真空管ミキサーで、サミットオーディオのTMX-420。熱を逃がすためのファンが横に付いており、その音が結構うるさいのが少し難点。意外と知られていないが、真空管の寿命は長く長期間の使用に耐える。アナログリバーブと共に、アナログミキサーも死ぬまで使いたい。

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瑞庵ブルースセッション2024/5/12

2024年05月14日 | ライブ
 5/12(日)夜、千葉駅西口からほど近いライブハウス「瑞庵」で行われたブルースセッションに参加してきた。千葉ではもう一軒「バハマ」でもブルースセッションが行われているが、開催は不定期。が、こちら「瑞庵」では毎月第2日曜に定期的に開催されている。

 ジャズのプレーヤーが多く利用する店で、ブルースセッションでもジャズを基礎に持つプレーヤーが多く参加している。わたしの方は、相変わらず古いタイプのブルースをひたすら演奏している。この日、初めてご一緒したドラムスの方がいた。「どんな曲ですか」と訊かれたので、「ロバート・ジョンソンです」と言ったが、首を傾げられた。知らなかったようだ。正直言って愕然としたが、気を取り直して「こんな感じです・・」とリフを弾いたら「あぁ」と頷いて、それなりのドラミング。ジャズのプレーヤーというのは、器用なもんですなあ。多様なパターンを日頃から練習して身に着けているわけだ。わたしには、とても出来そうにない。ただ、どうしても広く浅くなるので、深いところで通じ合えるような演奏にはならないけどね。まあ、セッションでの楽しみと勉強、さらに経験を積む、という意味は大きい。


 瑞庵のステージ。狭い店だが、楽器・機材等は揃っており、音響も良い。貸し出してくれるギターやベースもあり、手ぶらでの参加も可能。かなりの機材は、寄贈されたもののようだ。セッションをやるようになって知ったことだが、ライブハウスの店長あるいはオーナーが、ちゃんとした仕事をする店には当然客も演奏者も集まり寄贈も多い。長く演奏活動をするプレーヤーなどは、楽器や機材を買い替えたりグレードアップしたりするので、経済的に余裕のある人は不要になった楽器などを、そういった店に寄贈するようだ。わたしの知っているあるライブハウスでは寄贈品が多く、一部を売却して店の存続のための費用にした。どんな仕事も、真剣に取り組まないとだめだね。当たり前だけど。

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2023年アメリカ・イタリア合作映画『プリシラ』

2024年05月07日 | 映画
 4/30(火)千葉劇場にて。監督はソフィア・コッポラ、出演ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ。
 
 悲しい映画だった。音楽的才能がありながらも、必要以上に周囲に持ち上げられ、自分を見失う中で薬物に頼るようになってゆくエルビス・プレスリー。その妻プリシラは、彼を支えようとするが・・そうしようとすればするほど心は離れてゆく。主演のケイリー・スピーニーは、14歳の少女期から母になるまでの女性を演じ切り秀逸。

 閑話休題ー50年程も前の話。高校2年生のころ、隣の席の女子が某アイドル演歌歌手の熱狂的なファンだった。今で言う「追っかけ」だが、ある時、あまりにうるさいので「(そのひとだって)オシッコもウンチもする人間だろ」と言うと「え~、しないよ」と言われて啞然とした。生身の人間として大切にされているのではなく、作り上げられた偶像として崇拝されている。こんな「追っかけ」の前では、トイレに行くこともできない。おそらく、周囲のスタッフたちも、そんなファンの心理を利用して利益を上げるためにタレントを利用するのだろう。本来は、才能があり芸の力で生きていける人達が、自分の知らないところで金儲けの種にされている・・たまったもんじゃないだろう。多くのタレントたちが、そのギャップに苦しみ、アルコールや薬物に依存するようになって、命を縮めてゆく。エルビス・プレスリーもそんな一人だったような気がする。彼も薬が無ければ眠れず、薬物の乱用と過食に苦しみ、42歳で亡くなったのだった。



以下は、千葉劇場のホームページより引用。

『エルビス・プレスリーの元妻プリシラが1985年に発表した回想録「私のエルヴィス」をもとに、世界的スターと恋に落ちた少女の波乱の日々を描いたドラマ。14歳の少女プリシラはスーパースターのエルビス・プレスリーと出会い、恋に落ちる。やがて彼女は両親の反対を押し切って、大邸宅でエルビスと一緒に暮らし始める。これまで経験したことのない華やかで魅惑的な世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼のそばでともに過ごし彼の色に染まることが全てだったが……。(2023年製作/113分/PG12/アメリカ・イタリア合作/DCP)』

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美浜大橋2024.4.28

2024年04月30日 | 日記・エッセイ・コラム
 4/28(日)午前、自転車でゆっくりと千葉市北部を流れる花見川河口にかかる美浜大橋へ行ってきた。気温は25度ほどでちょっと暑いが、湿度は低めで、サイクリングにはまあまあの気候。春は花粉や黄砂で外での運動にも注意が必要で、最近の夏は危険な気温になることも多い。なので、1年の中で、サイクリングに適した気候の日は少なくなっている。


 橋の上から東京方向を撮影。少し靄(もや)がかかっていて、この日は視界が悪かった。普段なら、写真中央あたりに肉眼で見えるスカイツリーも確認できない。右端に千葉マリンスタジアムや幕張メッセがある。


 こちらは、東京湾の南方向。ゴールデンウイーク中とあって、人工海浜でくつろぐ家族連れも多かった。この後、花見川サイクリングコースを少しさかのぼり帰途に就いた。景色を見ながらゆっくり走って、往復で2時間弱、といったところ。

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ディマジオのPAF

2024年04月23日 | ギター
 少し専門的なギターの話。

 セッションに参加し、他のギタリストの演奏を聞いていて、いつも思うことがある。それは、本来ならもっとまろやかな音がするはずのギターが、エッジの効いたロック向けの音になっている、ということだ。例えばレスポールは、ジャズギタリストのレスポールが考案した、本来は癖のないストレートな音のするギターだ。そんなレスポールも、1970年代にロックのギタリストが大音量で歪ませるような使い方をし、人気を博して以降、完全に当初の音とは別物になっている。それはそれで新たな境地を切り開いたとも言え、必ずしも悪いことではないのだろう。が、本来の音質が失われることは、やはり残念でもある。メロウな音、と言うか、豊かさを感じる音質のギターを使い、聴く人の心に届く演奏をしたい・・と、言うわけで、手持ちのフルアコのピックアップを交換してみることにした。



 3月の千葉バハマでの写真。元々、安く手に入れたメーカー不明のジャズギターで、ピックアップもあまり質の高いものは付いていなかった。安物のサウンドも昔のブルースマンのようで良いのだが、癖が強くコントロールしにくい欠点はある。


 換装したのはディマジオのピックアップで、フロントがDP103、リアがDP223。コロナ前だと1個1万円程だったが、今は5割ほど値上がりしている。カバーは家にあったので、自分でつけて節約。それでも、両方で3万円程の出費。
 ディマジオというと今では歪系のディストーションのイメージが強いが、これは昔のギブソンのPAFに近い温かみのある音質で、出力も抑え気味。セイモア・ダンカンでも、定番といわれるSH-1では、やはりエッジの効いたロック系の音質に聞こえる。ダンカンでオールドパフに近いのはSH-55あたりか、あるいはJAZZの異名があるSH-2という感じ。SH-2は値段も手ごろで、所有しているギターの1本に付けていて、コントロールしやすいピックアップと感じる。
 ついでに言うと、本家ギブソンのピックアップ57クラシックあたりでも、悪くはないが、やはり現代の音楽に合わせてあるように感じる。


 ついでに、古くなっていたポットやジャックを新しいものに交換。音抜けが良くなった。フルアコの宿命でフィードバックしやすく、すなわちハウリングを起こしやすい。が、ブルースセッションでは、全体に音が大きくなりすぎる傾向があり、店の方から注意される事もあるというので、抑制のために丁度良いのではないか。

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2024年葉桜

2024年04月16日 | 日記・エッセイ・コラム
 今年は桜の開花が遅く、4月の中旬になり葉桜となっている。個人的には、満開を過ぎて「葉桜」になった頃が好きだ。葉の新緑と花の桜色のコントラストが美しい。



 写真は、自宅近く。奥に見えるのは、中央が千葉県体育館で、その右丸いドームが競輪場。4/14(日)夕方にスマホで撮影。




 上の2枚は、4/15(月)午前の撮影。

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2023年日本映画『パーフェクトデイズ』

2024年04月09日 | 映画
 4/6(土)千葉劇場にて。監督はヴィム・ヴェンダース。この作品は、渋谷区内17か所の公共トイレを刷新する日本財団のプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のアピールを、当初の目的として制作されたらしい。東京の下町にある古びたモルタルアパートに暮らす、寡黙な初老の清掃員平山を、役所広司が好演している。

 老子の教えに「知足」というものがある。この場合の「足」は満足の「足」で、「足(た)るを知る」という意味だが、それは、利益追求型の社会の中で、別の場所・空間に生きるということにもなる。さすがは、ヴィム・ヴェンダースと思わせる映像で、変哲もない主人公の平山の日常が、足るを知る中で豊かな生活を送っているように映し出される。そこに隠された社会の問題や差別は棚上げされるが、そこはこの際目を瞑っておこう。

 ストーリーの無い映像作品で、カメラは、ひたすら街の風景や多様な人々の姿を追ってゆく。そこに退屈を感じる人は、ひどい映画、と思うかもしれない。が、わたしは観ていて飽きることは無く、映画館でゆっくりと鑑賞するに値する作品、と感じた。



 余談だが、歌手の石川さゆりが主人公の通うスナックの女将を演じており、客の一人を演じたあがた森魚が弾くギターで歌う「朝日のあたる家」の浅川マキバージョンは良かった。あがた森魚本人が、実際にギターを弾いているかは、わからない。が、スタジオミュージシャンが弾いているようには聞こえなかったので、おそらく本人がギターを弾いていたように感じた。わたしは、石川さゆりの表現力は、もっと高く評価されてもいいと思っている。

以下は千葉劇場のホームページより引用。
『「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースが、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ。トイレの清掃員として働く平山は、淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。第76回カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞受賞。(2023年製作/124分/G/日本/DCP)』

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