今はどうか知りませんが、かつて、読売新聞の売り上げは、巨人軍の活躍振り如何に大きく左右されると言われていましたね。でも、本来、新聞の売り上げは、その記事の構成・社説の内容などによって左右されるべきだと思います。プロ野球に参加することで、本業のあり方も大きな歪みを被るということになるでしょう。
楽天とライブドアは、IT業界と言うよりも、ネット社会の担い手と言うにふさわしいと思います。ですから、単にどれだけ儲かっているかなどの問題ばかりでなく、ネット社会の担い手としてふさわしいかが重要なポイントになるべきなのです。その構成する言論市場の管理運営に差別的対応は見られないか、荒らしなどの勢力支配を横溢させてはいないか、国際テロ組織との連動性を合理的に推論させるほどに異様に突出したネット技術を駆使する畜群多数を潜伏させていないか、こうしたことが最重要な考慮事項になると言わなければならないのです。
例えば、政治家の場合、公選法違反をすれば、公民権停止になる場合が多いでしょう。そのよって立つ基盤に於いて不正をしていれば、政治家としての活動に於いても不正をはたらくと合理的に推論できるからです。贈収賄や下ネタで辞職に追い込まれるのは、公正な政治過程を経ない不当な圧力などに左右されやすいと認定できるからです。
今報道されている限りで論点になっているのは、単に本業の儲けがどのくらいかということだけのようです。儲かってさえいればいいということならば、暴力団に経営を委ねることもあり得るということになってしまうでしょう。
ネット社会の構成者ということは、本来自由であるべき社会的コミュニケーション過程を内部化し、そこに構成された何らかの利便性に対応するものと称して利益を収受するものです。あたかも、コンピューターの普及に伴い、コンピューターに適応する言語表現が優勢化し、ひいては人間の思考力にも悪影響を及ぼしかねないのと同様に、ネット上に構成された社会的コミュニケーションが普及すれば、本来の思考力に何ほどにか歪みを産み出さずには置かない筈です。この脈絡からも、ネット社会の構成者には、一層高い倫理性・人権尊重感覚が要請されるのです。徒党を組んでの犯罪謀議・荒らしの共謀・言語による暴行の横溢、これらが見られるようでは、ネット社会の構成者としての適格性を根本的に欠いていると言わなければならないのです。
プロ野球参加という問題を契機に、地方自治体という公権力が介在することになった以上、こうした論点は極めて重要な問題になっていると思います。しかるに、この点を隠蔽するためにこそ、経営者のパーフォーマンスが、マスコミを通して、派手に宣伝されています。そうした演出作戦が展開されていること自体、極めて由々しき事態であると思います。
本道に立ち返った議論を望みたいものですね。