学校からの帰り道。
多摩川の土手を歩きながら、厚く空を覆うどんよりとした雲を見つめていた。
かずにぃは返事を待ってくれると言った。
でも、いつまで??
「ハツコイの人なんでしょ。即オッケーじゃん。何迷ってんの?」
学校で相談をしているとスズが意外そうに言った。
「でも、おにぃちゃんだし」
「え?だって、他人じゃん」
「でも……」
「でもでも言ってるといつまで経ってもコイビトなんて出来ないよ。それにカズトさんって、K大の医学部でチョ~イケメンじゃん。迷うなんて信じらんないよ。私だったら、ソッコーオッケ~だよぉ」
スズの言葉を思い出しながら、多摩川の水面に目を落とした。
そう……。
きっと、ちょっと前までだったら私も喜んでいたと思う。
でも、どうして今はこんなに気持ちが揺れるんだろう。
土手の草むらに腰を下ろそうとして、屈む姿勢をとった瞬間、不意に背後から大きな声がした。
「スナフキン!やめろ!!」
え?スナフキン??って??
声のする方を振り向くと、とっても大きくて真っ白な犬が私に向かってジャンプしてきたところだった。
気付くと私は真っ白な部屋で、真っ白なパイプベッドの上に横たわっていた。
嗅いだ事のある匂いが部屋の中に充満していた。
……どこで嗅いだんだっけ?
起き上がろうとしたら、頭に激痛が走った。
「痛っ!」
頭を支えてみて初めて気付いた。
頭に包帯がしてある……。
あれ?えーと、私、どうしたんだっけ。
多摩川の土手を歩いてて、それから、考えてて、ええーっと、ええーーーっと、なんだっけ?
その時、扉を2回叩く音がした。
人気blogランキングへ
↑ブログランキングに参加しています。
押して頂けると励みになります。
多摩川の土手を歩きながら、厚く空を覆うどんよりとした雲を見つめていた。
かずにぃは返事を待ってくれると言った。
でも、いつまで??
「ハツコイの人なんでしょ。即オッケーじゃん。何迷ってんの?」
学校で相談をしているとスズが意外そうに言った。
「でも、おにぃちゃんだし」
「え?だって、他人じゃん」
「でも……」
「でもでも言ってるといつまで経ってもコイビトなんて出来ないよ。それにカズトさんって、K大の医学部でチョ~イケメンじゃん。迷うなんて信じらんないよ。私だったら、ソッコーオッケ~だよぉ」
スズの言葉を思い出しながら、多摩川の水面に目を落とした。
そう……。
きっと、ちょっと前までだったら私も喜んでいたと思う。
でも、どうして今はこんなに気持ちが揺れるんだろう。
土手の草むらに腰を下ろそうとして、屈む姿勢をとった瞬間、不意に背後から大きな声がした。
「スナフキン!やめろ!!」
え?スナフキン??って??
声のする方を振り向くと、とっても大きくて真っ白な犬が私に向かってジャンプしてきたところだった。
気付くと私は真っ白な部屋で、真っ白なパイプベッドの上に横たわっていた。
嗅いだ事のある匂いが部屋の中に充満していた。
……どこで嗅いだんだっけ?
起き上がろうとしたら、頭に激痛が走った。
「痛っ!」
頭を支えてみて初めて気付いた。
頭に包帯がしてある……。
あれ?えーと、私、どうしたんだっけ。
多摩川の土手を歩いてて、それから、考えてて、ええーっと、ええーーーっと、なんだっけ?
その時、扉を2回叩く音がした。
人気blogランキングへ
↑ブログランキングに参加しています。
押して頂けると励みになります。