「夢を見てたよ」
かずにぃが私の頬を手で撫でながら言った。
「夢?」
「そう。小さい時のお前の。そしたら、急に大きくなってここにいるんだもん。ビックリしたよ」
それから、少し目を細めて、しみじみと笑った。
「ホント、大きくなったよな……」
あ。今の顔、いつものかずにぃだ。
私は安心して、かずにぃの横に腰を下ろすと、彼の大きな掌に顔を埋めてほっとした。
こういう目のかずにぃの方が好きだな。
すると突然、かずにぃは私の髪に手を通し、上まで引っ張った。
「あ。そうそう。そう言えば、ずっと聞こうと思ってたんだ。どうして髪、切ったんだ?キレイな長い髪だったのに」
私はギクッとした。
私が髪を切ったのは、かずにぃのせいだ。
だけど、喉まで出掛かったその言葉をぐっと押し込んだ。
「き、気分転換?!」
「へぇ~。そうなの。ふ~ん……」
かずにぃは私の髪を弄って遊んでいたけど、やがて、髪から手を離すと私の頭を軽く叩いた。
「家まで送るよ」
「いいよ。かずにぃ。疲れてるでしょ。まだ、早いし、電車で帰れるよ」
「遠慮すんなよ。夕飯時だから一緒に食べにいこう。オフクロが迷惑掛けたみたいだから、何かおごるよ」
かずにぃはベッドから立ち上がり、素早く机の上にある腕時計と鍵を掴んだ。
「わーい。じゃ、ゴチになります♪」
やっぱりいつも通りのかずにぃだ。
この間の気まずさが全て吹き飛んだ気がした。
きっと、あの時のかずにぃはちょっと疲れていたのかも。
だからいつもと違ったんだ。
「あれ?ハルナ、化粧してる?」
かずにぃは驚いた様子で私の顔を覗き込んだ。
「うん。お昼に友達とルージュ買ったんだ。それを塗っただけなんだけど。そだ。ほら、香水も買ったんだよ~。ジャ~ン♪」
私は買ったばかりの香水をちょっぴり手首につけ、首筋にもチョンチョンとつけてみた。
かずにぃは、私の手につけた香水の香りに鼻を近づけた。
「へぇ~。いい匂いだな」
「ちょっと、大人っぽいかな……」
「いや、そんなこと、ないさ。ふ~ん、もう大人なんだな~」
「うん。そっだよ」
「…………」
私ははしゃぎながらドアノブに手を掛け、扉を開けようとした。
その手にかずにぃの手が重なった。
「……やっぱり、まだ、帰したくない」
「え?」
私が振り向くと、かずにぃが重ねた手に力を込めて扉を押し戻した。
扉はバターーンと音を立てて再び閉められた。
「かずにぃ?」
重ねられた右手はすっぽりとかずにぃの手の中に収まっていて、びくとも動かなかった。
「抱きたい……」
突然の言葉に慌てて扉を開けようとドアノブに掛けている手に力を込めた。
けれど、かずにぃはそれを制し、私をきつく抱きしめると、思いのたけをぶつけて来るような激しいキスをした。
「かずにぃ……だめ……」
動揺する私の背後で、
カチッ
と、鍵が閉まる音がした。
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かずにぃが私の頬を手で撫でながら言った。
「夢?」
「そう。小さい時のお前の。そしたら、急に大きくなってここにいるんだもん。ビックリしたよ」
それから、少し目を細めて、しみじみと笑った。
「ホント、大きくなったよな……」
あ。今の顔、いつものかずにぃだ。
私は安心して、かずにぃの横に腰を下ろすと、彼の大きな掌に顔を埋めてほっとした。
こういう目のかずにぃの方が好きだな。
すると突然、かずにぃは私の髪に手を通し、上まで引っ張った。
「あ。そうそう。そう言えば、ずっと聞こうと思ってたんだ。どうして髪、切ったんだ?キレイな長い髪だったのに」
私はギクッとした。
私が髪を切ったのは、かずにぃのせいだ。
だけど、喉まで出掛かったその言葉をぐっと押し込んだ。
「き、気分転換?!」
「へぇ~。そうなの。ふ~ん……」
かずにぃは私の髪を弄って遊んでいたけど、やがて、髪から手を離すと私の頭を軽く叩いた。
「家まで送るよ」
「いいよ。かずにぃ。疲れてるでしょ。まだ、早いし、電車で帰れるよ」
「遠慮すんなよ。夕飯時だから一緒に食べにいこう。オフクロが迷惑掛けたみたいだから、何かおごるよ」
かずにぃはベッドから立ち上がり、素早く机の上にある腕時計と鍵を掴んだ。
「わーい。じゃ、ゴチになります♪」
やっぱりいつも通りのかずにぃだ。
この間の気まずさが全て吹き飛んだ気がした。
きっと、あの時のかずにぃはちょっと疲れていたのかも。
だからいつもと違ったんだ。
「あれ?ハルナ、化粧してる?」
かずにぃは驚いた様子で私の顔を覗き込んだ。
「うん。お昼に友達とルージュ買ったんだ。それを塗っただけなんだけど。そだ。ほら、香水も買ったんだよ~。ジャ~ン♪」
私は買ったばかりの香水をちょっぴり手首につけ、首筋にもチョンチョンとつけてみた。
かずにぃは、私の手につけた香水の香りに鼻を近づけた。
「へぇ~。いい匂いだな」
「ちょっと、大人っぽいかな……」
「いや、そんなこと、ないさ。ふ~ん、もう大人なんだな~」
「うん。そっだよ」
「…………」
私ははしゃぎながらドアノブに手を掛け、扉を開けようとした。
その手にかずにぃの手が重なった。
「……やっぱり、まだ、帰したくない」
「え?」
私が振り向くと、かずにぃが重ねた手に力を込めて扉を押し戻した。
扉はバターーンと音を立てて再び閉められた。
「かずにぃ?」
重ねられた右手はすっぽりとかずにぃの手の中に収まっていて、びくとも動かなかった。
「抱きたい……」
突然の言葉に慌てて扉を開けようとドアノブに掛けている手に力を込めた。
けれど、かずにぃはそれを制し、私をきつく抱きしめると、思いのたけをぶつけて来るような激しいキスをした。
「かずにぃ……だめ……」
動揺する私の背後で、
カチッ
と、鍵が閉まる音がした。
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