フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

柔らかく笑うヒト

2005年07月25日 22時31分41秒 | 第2章 恋愛ラビリンス編~ハルナの章~
「はい?」

私が返事をすると同時にノックの主は部屋に入ってきた。

「ト、トオル君!!」

叫んでからあまりの痛みに頭を抱えた。

トオル君は持ってきたウーロン茶のペットボトルを台の上に置くと、「大丈夫?」と心配そうに声を掛けてきた。

ズキズキ痛む頭に手を当てながら、彼に尋ねた。

「ここはどこ?私、どうしてベッドの上にいるの?」

トオル君はすまなさそうな顔をしながら、ぺこりと頭を下げた。

「ここは病院です。僕が飼っている犬のスナフキンが君に飛び掛って、それで、君は頭から倒れてしまったんです。……すみません」

すると、突然、開け放たれた窓から突然ぬぅっと大きな白い顔が出てきた。

「こら!スナフキン!彼女に謝るんだ!」
トオル君が真っ白な犬の頭をコツンと叩くと、スナフキンは「キャウン」とひと泣きし、しょんぼりと項垂れた。


私はふかふかのベッドに体を沈め、スナフキンにおいでおいでをした。
スナフキンは病室に入ってくると私の手に体を擦り寄せ、「くぅ~ん」と鳴いた。

「……凄く大きな犬なのね」
「え?!ああ。スナフキンはグレート・ピレニーズって種類で体高が1m近くあるんだ。犬の中でも超大型犬の部類に入るかな」
「1m!大きい」

私はビックリしながら、スナフキンをまじまじと見つめた。
スナフキンは、私のベッドの横にある椅子に腰を下したトオル君の顔をぺろぺろと舐めまわしていた。

「脳波に異常は無いようだから、落ち着いたら送るよ。ええっと……。君、名前は?」
「ハルナ。園田春名」
「そっか。僕は藤枝徹。宜しく、ハルナちゃん」

トオル君は柔らかく微笑むと両手を差し出して、私の手をそっと包み込んでくれたんだ。



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