MUSICAな毎日

まったりとした日々を送るMUSICAな毎日をいろいろと。

東京タワー・・リリーさん~~(涙)

2006-08-06 22:15:56 | Weblog
この本のタイトルを知ったのは、藤井フミヤ氏がテレビで
「読んですぐ、田舎に行きました」的な発言を聞いたから。
それは、愛地球博の時だから・・もう一年近く前?!
うわぁ~~。すげぇ。

その言葉を聞いてすぐ、図書館に予約を入れた
(最近、本はなるべく買わない)
待ち人数は三ケタ。800人待ちだったか(笑)
そりゃ一年かかかるわな(爆)

やっと回ってきたので、読む読む。
基本は電車での移動中に読む。
前半は笑ったり突っ込んだり(笑)しながら
(本にもつっこむ大坂人)
軽妙に進む。
でも、昨日、ヤヴァイ場所に踏み込んでしまった。
これ以上車内で読むのはデンジャラスゾーンだった。
主人公の母は、癌。それももう手の施しようがないところまで進んでいた。
もちろん、ソッコーでページを閉じて家で読む事に決めた。

シャレにならへん。
自分のそのトキの姿がダブって見える。
文字がにじむわ、鼻ダラダラやわ最悪。
目もはれまくるし。

本の中のオカンは、自分のオカンと似ていた。

友人が来ると次々におやつや飲み物が出てくる。
食卓はいつでもたくさんのおかずが並び、
決して金持ちではないが、ご飯は豪華だった。
働きに行かない理由を聞くと
「働きに行くと、洋服代や外食代が嵩むから」と
やりくりでごちそうが出来るねん、と笑っていた母。

「動物は飼いたくないんやで~結局お母さんにおしつけるやろ」
うん、でも弟は飼ってしまう。最後は母が世話をする事になる。

無類の酒好きの父に、何度も泣かされた
・・この話は結婚してから聞いた。
今やから笑い話やと笑っているけど、まだ20代前半の母には辛かっただろう。

「私、昔はおとなしかったんやで」
にわかに信じられない台詞を聞いて、弟と二人で・・ひいた。
数軒隣りの家から聞こえる笑い声で、どこにいるかを知っていたからだ。
市場のクーポンの引き換えで隣り合った人と知り合い、
名前さえ知らないその人とあいさつしていた母。
徒歩1分のスーパーに行くと数時間帰って来ず、
「名古屋に行けるなぁ~」と突っ込むと、ケラケラ笑っていた。

病院でも友だちを作って、廊下中に笑い声を響かせる。
お見舞いにいっても、他の入院患者と一緒に笑い合っていた母。

苦しい抗がん剤治療に、自分から挑んだ母。
(告知の上、治療方法を自分で決めてもらった。
 私は抗がん剤治療には反対だったけれど、
 母が決めた事にあえて異論を唱えたりはしない事にしていた)
副作用の苦しさと戦い、白血球が減少しているために外泊の許可をもらえないこともあった。
髪の毛は容赦なく抜け落ちる、味蕾がやられるのか味がわからない。
・・それでも闘っていた母。

重なって重なって、涙が止まらなかった。

最後の旅行に行きなよ、ってすすめたものの
それが結局命取りになったのかなぁ・・って後悔。
ありがとうって言えなかった後悔。
もっともっと親孝行したかったのに・・・

激しい痛みをおさえるためにモルヒネの投与していたからか
幻想が見えたり、記憶がおかしくなったりした。
記憶の混濁なのか、私に「まあちゃんにそっくりや~、よう似てるなぁ」
悲しかった・・まあちゃん本人やのに・・

モルヒネさえ聞かない痛みを、どうしようもなく
ベッドに手足を打ち付けていた父の闘病も思い出した。
父にいたっては、お見舞いさえ満足に行けず
もっともっと後悔した。
理解のない連れ合いが、めんどくさかった。
子どもを見ていてくれれば、お見舞いにも行けたのだから。
子どもがいなけりゃ、とっくに別れてるぜ(怒)

葬式は互助会の積み立てを使った。
やりくり上手の母が積み立てていたのだ。
葬式では泣かなかった。
泣けないほどイッパイイッパイに追い込んで
自分に泣くスキを与えなかったのだ。

荼毘に付され、骨だけになった母。
入院中の大腿骨骨折時に(癌の骨転移による)
埋め込んだチタンが残っていた。
患っていた肺周辺は、骨がボロボロになり残っていなかった。

家に帰った時には、もう小さなツボになっていた。
悲しかった。

もうお見舞いに行く事もなくなり、手持ち無沙汰の午後、
空がよく晴れているだけで、どうしようもなく悲しかった。
桜の花吹雪が悲しかった。
雲が流れるのも虚しかった。
自分の周りだけ時間が淀んで、抜け出せないアリ地獄にはまったようだった。

先日父を送った友人が言った。
「親をキチンと見送って、初めて大人だね」
その通りかもしれない。
帰る家を失ったんだから大人にならざるを得ない。

・・親孝行なんて、じつは出来るもんじゃない。
出来ようが出来るまいが、後悔するんだから。
最後に一言「ありがとう」さえ言えればいいのだけど。

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