▽血統徒然△

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インブリード神話の嘘

2004年11月02日 | 血統
インブリードとサラブレッドの競争能力には因果関係が無い

インブリードで名馬を作るという神話

一般に競馬ファンは(血統ファン?)はインブリードと競争能力はリンクしていると考えている。ゲームの影響もあるのかインブリードが競争能力に影響を与えていると信じている人は多い。生産者もかってトウショウボーイが「お助けボーイ」などといわれて神格化されたときには競って、奇跡の血量を再現すべく配合を考えたらしい。

しかし、「インブリードが競走馬の能力を底上げする」という考え方には全く根拠が無い。確かにインブリードの権化であるエルコンドルパサーのような馬が走ることもあるが、全ては結果論である。

インブリードがあろうがなかろうが走る馬は走る

刷り込みか思い込みか知らないが「この馬の能力は○○○の3x4に起因する」等の妄言を何の疑問も無く嘯く血統ファン(マニア?)は結構いる。競馬ブックの血統短評には毎週そういった字面が紙面を割いている。

それではインブリードがあると競争能力が高まるという事実があるのだろうか?インブリードがあったほうが名馬が生まれやすいのか?

近年の年度代表馬のインブリード

5代アウトブリード 
ミホノブルボン ビワハヤヒデ ナリタブライアン ジャングルポケット

5x5
テイエムオペラオー(Nasrullah) シンボリクリスエス(Royal Charger)

4x5
マヤノトップガン(Nasrullah) サクラローレル(Nasrullah) エアグルーヴ(Hyperion)

3x5
トウカイテイオー(Milesian)タイキシャトル(Hail to Reason) 

4x3
オグリキャップ(Nasrullah)

多重インブリード
エルコンドルパサー(Northern Dancer ・Native Dancer・Special)


少なくとも年度代表馬になるような名馬に特定のインブリードパターンがあるとは言えない。

インブリード論は結果論

以前どこかで「トウショウボーイの名馬たる所以はハイペリオンの奇跡の血量であり、そのハイペリオンの名馬たる所以はセントサイモンの奇跡の血量である」という論旨の文章を読んだことがある。一見論理的に見えるが、競争能力とインブリードの因果関係についてこの事実だけで何らかの真理をアウトプットしようとするのは論理の飛躍である。

ハイペリオンは第17代ダービー卿がセントサイモンの奇跡の血量へのこだわりから生まれたことは史実だが、ハイペリオンが生まれるまでに数え切れないほどの奇跡の血量を持った駄馬を生産して、やっとアタリが出たのがハイペリオンだったのである。(参考:名馬の生産

ハイペリオンが名馬である理由が奇跡の血量にあると短絡するのはおかしい。インブリードが名馬の生産の必須条件であるなんて事実はどこにもない。史実が教えてくれることは、ダービー卿が3x4に固執してハイペリオンというアタリが出たということだけである。

過去から現在に至るまで錬金術としての血統論は様々論じられてきたが、インブリードと競争能力の明確な因果関係を証明できた人間はいない。サンデーサイレンスの産駒は走るというのは事実だが、○○のインリードが走ると断言できるような資料はどこにも無い。あったら教えて欲しい。

インブリードと競争能力との間に法則が見つけられるとしたら、それはダビスタ等のゲームの中だけであろう。

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