私は、階段下の窪みに身体をはめ込み、扉を閉めた。
焦げたような匂いが鼻についた。すぐに、それが蝋燭のものであることに気づいた。というのは、私は小学校の低学年から中学にかけて、母に連れられて毎週教会に通っていたことがあるからだ。いつも会堂の最前列に座っていたので、蝋燭の匂いには慣れていた。おそらく、この窪みには蝋燭などの道具が押し込まれていたのだろう。
その時期、母はキリスト教に入信し、教会の奉仕活動に精を出していた。ただでさえ母子家庭で兄弟もいず寂しいのに、母が始終教会の用事で家を空けるので、私は正直なところこの宗教にあまり良い印象を抱いていなかった。
そんな昔のことを考えているうちに、猛烈な眠気が襲ってきた。
私は一瞬のうちに眠りに落ちた。気絶といってもよい。それほど身体が疲れ切っていたのだ。