池袋の町を何日もさまよった。
時々、路上にへたりこんで眠り込み、目を覚ましては、また歩いた。
起きるたびに、私を見る人々の目が厳しくなった。
それはそうだろう。
一文無しだったから。
宿無しだったから。
池袋の町は、歳末の人出でごったがえしていた。
バブルが弾けて、自分の全部を失った。
財産も家族も、泡になった。
財布が空っぽの中、屈辱にも耐えていた。
しかし、屈辱や恥など何でもない、空腹に比べれば。
空腹が過ぎると、もう視界が黄色くなってくる。
ビルも歩道も、とろけたチーズのように見えてくる。