水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

サンフランシスコ再訪 一日目、昼

2009年07月04日 | 旅行



腰の重い流れ者
時々ふっと街を出て行きたくなる。どこか違う場所へ行って、そこで少しの間身をおいてみたい。旅行者というには腰が重く、居住者というには責任がなさすぎる。そのくらいの流れ者でいてみたい。思えば二十代のころのぼくはそんな流れ者だったのかなあ、なんて思う。そんなことをつらつらと考えている折に、Eがゴールデンウィークにサンフランシスコに行こうかと話をもちかけてくれた。一年半住んだサンフランシスコベイエリアの景色を想い起こし、腰の重い流れ者であるぼくは「ああ、いいだろうねえ」と返事をしたのだった。

サンフランシスコは霧の中
ぼくとEは成田からサンフランシスコへ飛んだ。エコノミーシートでスラムドッグ・ミリオネアを観た。クイズミリオネアのあの独特な緊張感と、インドのスラムで生きる少年たちが味わう違う意味の緊張感が巧妙に交差していた。人は善人と悪人に分けられるのではない。信じることのできる人とそうでない人に分けられるのだというメッセージを感じた。

サンフランシスコ空港に到着したぼくとEはBlackBerryを借り、予約しておいたレンタカー会社で車をピックアップした。そしてその足でサンフランシスコ市内のとある病院へ向かった。その日その病院の前ではささやかなファーマーズ・マーケットが開かれており、ぼくの友人が弾き語りの演奏をする予定になっていたのだ。ぼくたちがその場所へ到着すると、彼女はちょうどマイクの前に立っていた。



突然たずねてきたぼくとEを見つけたMienaは、驚きの表情とともに演奏の手を止め、ぼくたちに歩み寄りハグをし、なつかしく言葉を交わした。ぼくとEはオーガニックのベリージュースを買い、それを飲みながらMienaの渋い歌声を聴いた。こんな声を出せる女性は他にはいない。病院からは車椅子に乗った人や高齢者の方が出入りしていて、そのうちの何人かは彼女の演奏に足を止めた。

彼女はこのようにサンフランシスコ周辺のバーやファーマーズ・マーケットなどに出向いては、自分の曲を演奏をし、チップを貯めてそれを寄付に回しているのだ。ぼくとEは彼女に気づかれないようにチップボックスにそっとお金を入れて、別れの挨拶をして病院を後にした。

滞在先は、フィッシャーマンズワーフを少し南下したロシアンヒルという所にある。そこで車を止めて荷物を降ろし、ベイのマリーナへ歩いて向かった。なんでもそこにあるGreen'sというベジタリアンレストランがおいしいという。ちょうどお昼時であった。



トウモロコシの粉の練りこまれた生地に野菜のペーストが乗ったピザが絶品!色とりどりのサラダも瑞々しくておいしい。調子に乗ってグラス11ドルもするワインを飲む。ンー、アミーゴ(意味ないです)



ンー、やっぱりカリフォルニアの食事はいい!とEと意気投合する。食事とワインに元気をもらい、意気揚々とサンフランシスコの坂を登り(疲!)滞在先のコンドミニアムにたどりついたぼくとEを待っていたのは、窓からのゴールデンゲートブリッジの眺めとフカフカのベッドだった。ブリッジは海から流れてくる霧を全身で受け止めているかのようで、橋というより太平洋への巨大な門のようにも見えた。

荷物を整理しおえたぼくとEは、結局ベッドの魅力に抗う(あらがう)ことは出来なかった。時差ぼけにはなりたくなーい!と心で抵抗してみたものの、ベッドに乗ったらコロリと眠りに落ちたのであった。