船体布のメンテは、雑菌による表面の腐敗を防ぐために行います。何か特殊な手入れが必要ということはありません。船体布が縮まないように組んだ状態で乾かすというのが基本です。海水の場合は少々生乾きでも大丈夫です。次第に乾いて塩分濃度が高くなり最終的に塩になるわけですが、それは雑菌にとって生存するのにはあまりに過酷な環境です。しかし逆に淡水の場合は、丁寧に乾かさないと腐敗の原因になります。
シーソックやスカートやPFDも、海水での使用後、淡水で洗わなければならない理由は見当たらないとぼくは思います。有機物が多い海や人体の脂や汗を吸っていない限りは自然乾燥で大丈夫でしょう。今のところぼくはどれも洗っていません。体に直接触れるウェットスーツとかは使用後水をくぐらせたほうがよいでしょう。
海水はオーケーだ、みたいに言いましたが、落とし穴があるかもしれません。事件は夏に起こります。海水での使用後生乾きの舟をザックにしまうと、船体布の水分が蒸気になりザックにこもります。雑菌君がうっしっしとなってしまう環境が出来上がり、結果しばらくしてザックを空けるとホワンとしたニオイが漂ってくる、という可能性はあります。その昔、柔道部員だった愛すべきぼくの友人の柔道着にキノコが生えた事件があって、みんなで大騒ぎしましたが、乾燥が大切、というのがそれ以来ぼくのキーワードです。保管中はザックの上半分はあけておきましょう。
船体布の材料である樹脂は化学的な腐食に対してとても強いので、塩があろうが酸があろうがアルカリがあろうが平気です(たたたぶん)。海水での使用後に淡水で洗う「潮抜き」は、まず必要ないでしょう。ただし先ほども触れましたが、雑菌の多い海で漕いだ後とかは、話は別です。あくまで敵は塩ではありません。雑菌と水分です。
船体布に入った砂も、ぼくはあまり気にしません。組み立ての時に目立ったものはタオルで集めて手でつまんで出すくらいです。船体布に入った砂はサンドペーパーのようになって船体布とフレームを傷つけると、フェザークラフトのサイトにあります。船体布に砂が食い込んでフレームを傷つけるのはなんとなく想像できますが、船体布へのダメージは少ないような気がします。今後フレーム(または船体布)への傷があまりに目立つようであれば船体布の中の砂を綺麗に掃除することを考えようと思いますが、しばらくはノーメンテナンスで傍観することにします。
いやー結局ぼくってほとんどフネのメンテしてないですね。