水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

西湖でカヤック

2008年10月05日 | キャンプ

この週末、友人4人と西湖にキャンプ&カヤックをしに行った。西湖である。西湖といえば去年の9月1日にも来た。なぜ9月1日だったかというと、山梨中に鳴り響くかと思われる防災訓練の放送があったから覚えているのだ。だからほぼ一年前だ。今回も同じキャンプ場である。勝手知ったるキャンプ場というわけだ。このキャンプ場は、テントサイトから湖に直接アプローチができるので非常にナイスなのである。今回は、西湖キャンプを定例としている3人、カヤックを漕いでみたい!というK治さんとMちゃん、それとぼくという組み合わせであった。

お昼にお肉とサンマでBBQをする。西湖キャンパーの3人はまるで自宅のリビングにでもいるかのようにリラックスして、「プレミアム行きます」とかなんとかゆってビールをやっている。それもみんな酒飲みなのでおそろしくペースが早い。ぼくはそのペースに巻き込まれないようにお酒をセーブして、ぼくはK治さんとMちゃんを連れて湖畔に出た。ウムナックとウィスパーを並べて、漕ぎ方や沈したときの心構え(!)などを5分くらい説明して、いざ出艇!



いやーやっぱり水の上は気持ちがいいなあ。ウィスパーいいなあ。ウムナックに乗ったKとMも楽しんでいるみたいだ。二人の様子を見ていると、なんだか初めてカヤックに乗ったときのことを少し思い出した。楽しさと興奮と、少しの恐怖感。それと初めての動作であたまの中がぐるぐると回転していたように思う。思ったよりシンドイな、と感じながらも、こんな世界があったのか!という新鮮な驚きに心は満ちていた。今回、天気は今ひとつだったけれど、風が落ちてよかったと思った。最初の体験はいいほうがいいに決まってる。

一度上陸して、今度はぼくのウィスパーに乗ってもらう。水上をすべるように進んでいくウィスパーに二人とも感激したようすだ。フフ、コイツはちょっとちがーうのだ。フネをとっかえひっかえして遊ぶ。うーむ、それにしても二人ともはじめてにしてはなかなか余裕があるなあ。漕ぎに関しては助言らしい助言はしていない。ただ体を大きく使うと楽ですよと言っただけだ。もっともこれは、カヤックに限らず一般的な身体運動に関して正しいとぼくは信じている。

楽しく遊んだところで納艇、いい汗かいたぼくらは近所の温泉に出かけた。体が温まったところで温泉を出て、薄暗い林道をてくてくと歩いて帰り、タープの下でちょっとお酒などを飲んでいると食事の時間になった。絶品のゆで豚と、豚汁、ご飯である。うまーい!あったまるー。ビールのペースは衰えるところを知らず、魔の手がワインに伸びたところで焚き火に着火。パチパチとはぜる焚き火を見ながらぼくはギターをポロンポロンと弾いた。

ワインの栓がまた一つ、また一つと開いた。どれもちょっとそのへんじゃ飲めないワインである。ほんとうにおいしい。そしてみんな遠慮なく飲む。今晩は星はのぞめそうにもないけれど、それでも静まった森のいい気配が周りを包んでいた。ここにはぼくの好きなものがたくさんあると、ぼくは思った。

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翌朝。ぼくは一人でウィスパーに乗り込み西湖に浮かんだ。適当に直線にコースをとって漕いでいく。朝の、それも緑に囲まれた静水でカヌーを漕ぐのは気分がいい。体の内部の筋肉を使うことを心がけながら漕いだ。ここのところ、漕ぐほどにもう少し短いパドルのほうがいいと思う。今のパドルが210cmだから、あと5cm短くするとして205cmくらいのやつを漕いでみたい。そうすればもっと負荷の少ないフォームで漕げるような気がする。もう少しお金を出して長さを変えられるパドルにすればよかったのかもしれない。一般に売られているパドルは長すぎる。

あるいは、まったく逆のことをいうようだけれど、長いパドルが欲しい。パドルをもっと寝かせて遠くの水をつかんだら、ウィスパーの場合、もっとスピードが出るような気がする。とりわけ長距離を漕ぐには長いパドルのほうがよさそうだ。慣性があればその分ぶれが少なくなるように思う。パドルの重さに関して、このパドルは何グラム軽いとかの話があるけれど、パドルというのはふって使うものなので、慣性モーメントの大小がモノをいう場合が多いように思う。そう考えるとブレード部分を無理に軽量化するのは考えものかもしれない。重量と慣性モーメントの、適正なバランスがどこかにあるような気がするのだ。

現在は、素材が多いのだと思う。昔はそれほど素材がなくて、材料といったら大体鉄とか木材とか、ごく限られた種類のプラスチックとか、そういうのが使われていて、まあなんというか、物を持った感じというのは大体持つ前に分かっていた。リニアーというか、定数倍というか、直感的なのだ。今は素材もたくさんあって、構造も複雑なものが多くなっているので、見た目と持った感じとがけっこうズレることがある。昔のものがしっくりきたりするのはそんな事情があるのかもしれない。

つらつらと考え事をしながらぼくは朝の散歩を終え、波の無い静かな浜にフネをよせた。

海を漕ぐのも楽しいけれど、穏やかな湖を漕ぐのも楽しい。今回は友人にカヤックの世界をお見せすることができてよかった。またこうやってみんなで楽しい時間を過ごしたいな!