水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

生牡蠣ツアー

2006年12月25日 | 外あそび
今日は友達夫妻と前もって計画していた「生牡蠣ツアー」に行ってきた。場所はTomales Bayという湾(あたりまえか)にあるカキ養殖所である。そこでは湾の水でカキを養殖していて、出荷可能なカキを陸にあるでっかい水槽に引き上げておいてある。直売もしていて、生きたカキをダース単位で売ってくれる。BBQのできるグリルも併設してあって、今回はそれを使わせてもらった。

友人夫妻は大のシーフード好きで、生牡蠣をペロリと食べるごとに感嘆していた。カキをあけるのは男の仕事。分厚い手袋をつけて専用のナイフでゴリゴリっと殻をこじあけ、身を殻から引き剥がす。あけたカキはほんのり塩味があって、レモンをふるだけでうまい。半分は生で、残りの半分は炭で焼いて食べた。身の大きなカキは焼くと実にうまい。殻の上で細かな泡を立てて沸騰しているやつを少し冷ましてポン酢でいただく。うまー。ミニサイズのナベみたいである。エノキと刻みねぎなんかをいれて、ふたをして焼いたらうまそうである。

ぼくたちは日本酒をちびちび飲み交わし、カキをゴリゴリとあけ、ベイの景色に見とれてワインに浮気をし、心行くまでカキを食べた。チャコールの火で野菜とキノコを焼く。買ってきたチーズをクラッカーにのせる。サツマイモをアルミホイルに包んで火に放る。シメはカキを使ったスパゲッティ。いやー、幸せでした!カキは1つで1ドルほど。4人で60個食べました。満足満足。また行こっと。

今年最後の平日漕ぎ

2006年12月25日 | カヤック
12月20日水曜日の記録。

ぼくの家から車で20分ほどのところにあるカヤックのショップでは、毎週水曜日にSocial Paddleという名のショートツーリングが行われている。大体10キロほどの距離をみんなで漕ぐ。10ドル払えば全ての装備を貸してもらえるのでグッドである。

天気がよかったので(外は真っ暗だけれど)今日も参加することにした。さすがに寒いので、夏の頃に比べると参加者はぐっと減るけれど、それでも10人くらいのカヤッカーが集まった。皆さん、こんな時期に漕ぐぐらいだから当たり前だけれど、本当にカヤック好きである。ぼくもだけど。

今日はサンフランシスコ方面ではなく、入り江の奥の方へ向かった。カヤックはカレントデザインのSquamish。ぼくのフェイヴァリット。いつかこのフネにキャンプ道具を満載して旅に出たいな。うずうず。

真っ暗な水路を奥へ奥へと漕いで行く。パドルが水を切るリズムと船体が水の上をなめらかに滑る感覚がいい。冷たい空気と熱い体。ナイトパドルってなんかクセになりそう。しかし日中にはない危険もあるので、初めて訪れる場所では日没以降のパドリングはお勧めしません。

一月になったらまた来よう。それ以外の場所でも漕ぐぞ。北カリフォルニアでは冬は凪ぐのだ。できたらキャンプツーリングもやってみたいな!

お気に入りの浜へ

2006年12月19日 | カヤック
12月16日土曜日。ここ北カリフォルニアは雨期のシーズンに入ってしまって、今週は実によく降った。来月はもっと雨が多くなるという。アメリカの東の方みたいに集中的な豪雨はないものの、長く降り続いて重くなった地面が崩れたりして時々人間にも被害が及ぶ。本来あるべき場所にあるはずの樹木を、その昔乱伐してしまったせいだと聞いたことがある。禿げた土地が多いのだ。

今日は気温は低いけど天気は上々。バークレーマリーナの横にあるドックからインフレータブルカヤックを出した。スピードを殺さない程度にゆっくりと漕いでいく。雨のせいで水はにごってる。が、まったくの静水。バークレーのあたりがこんなに穏やかなんて珍しいのではないか。こんな日でも小型のセーリングボートが浮かんでいて、風もないのに楽しいのかな、と思ったけれど風がない楽しみというのもあるのかな、と思い直す。

一時間ほどしてアルバニー(というまち)にあるお気に入りの浜へ到着。





着くとさっそく岩に座ってお湯を火にかける。お湯がわくまでそこら辺を散策して戻り、ベーコンとちぎったキャベツとインスタントラーメンを湯に放り込んで火を弱め、また散策。この浜では流木を使ってアートをしてるお兄ちゃんがいて、ウロウロしていると飽きないのだ。岩に戻ってラーメンを食べる。食後にスコーンも食べる。

若いカップルがやってきて、ぼくに話しかけてくれるかなと思っていたのだけれど、素通りしていった。ぼくが泥で汚れたレインウエアを着ていたせいかもしれない。もしくはぼくがナベから直にラーメンをすすっていたせいかもしれない。まぁいいんだけれど。

しばらくその場で本を読んだり、景色をボーと眺めたりする。今日は曇っているけれど、不思議と遠くまでくっきりと見渡せる。Brooks IslandとかAngel Islandもすぐそこにあるように見える。きっともっとスピードの出るカヤックだったらひょいって(ウソです)いけちゃうんだろうな。

体が冷えてきたあたりで、ぼくはカヤックに戻りバークレーまで漕いで帰った。後半はかなりバテて、根性を50%くらい使った。やっぱりインフレータブルは重い。この距離でいっぱいいっぱいだ。しかしそれでも充実感は残った。水があれば人は漕がねばならないのだ。

インフレータブル・カヤック

2006年12月11日 | カヤック

今日は日曜日。予報が外れていい天気だ。いい天気なのだけれど、あたまがずーんと重くて動けない。昨日そんなに飲んでないよな、と自分で自分のココロに弁解しようとするのだが、記憶の糸を辿っていくと明らかにいつもよりペースが早かったことが思い出され、この頭痛は当然の罰なのだと分かる。

ベッドのなかで悶々として、結局起きたのは午後になっていた。コーヒーを飲んでマカロニグラタンを食べる。パイナップルも食べる。食事を食べると元気が出たので外へ出ることにした。インフレータブルカヤックを車に積んでgo!

ぼくはリジット艇を持っていない。普段はショップのクラスやレンタルで漕ぎ欲を満たしている。が、ショップの存在しない海辺や湖なんかではインフレータブルカヤックを使うことにしている。ぼくのやつはAdvanced Elements社のソロの4mボートである。よくリサーチしてネットで買った。リーンだとかエッジングだとか波だとか風だとか、難しいことを言わなければ最高に楽しいボートだ。このフネには難しいことを要求しないことにしてるので、メンテの類はほとんどしない。海水の場合、塩抜きはしはしない。テキトーに乾かすのみである。淡水の場合はしっかりと乾かすことにしている。

まぁ、そうゆうフネを持ってるんだけれど、今日メインのチューブに穴が空いているのを発見した。マックスに入れてもしばらくするとやわらかくなってしまう。道理でシューっていうような音がしてたわけだ(無視してたけど)。補修キットは今ない。サテどうしようかとしばし考える。しかしながら漕ぎ欲を満たさずに帰るわけにもいかず、ぼくはそのシューと音のするフネを水に浮かべ、静かに漕ぎ出した。

ぜんぜんスピードが出ない。一漕ぎごとにまるでブレーキを踏んだかのように船速が落ちる。気がつけばフネの真ん中が凹んできて、ぼくの体の位置が低くなってくる。いかん、このままでは沈む。空気が抜けてるんだ、そりゃそうだわな、とさらにクソ重くなったパドルを漕ぎ漕ぎ、やむなくスタート地点へ戻ることを決意。だんだんフネがフネの形ではなくなって行き、そういう時に限ってギャラリーの視線を二箇所ほどから感じる。「これは本当のぼくじゃないんです」とボディーランゲージでも何でもいいから伝えたいのだが、漕ぎの手を休めるわけにはいかない。

もう少しで水が船側から進入するというところで、ようやくドックに着く。今日はお気に入りの(すごく)小さな浜に行って本を読んで夕暮れを見ようと思っていただけに、とても残念である。けどまぁ、いろんな意味で楽しめた。

帰りに電動のポンプを買った。満たされぬ思いが購買欲へ変化した日である。


Camp out @ Mt. Diablo (2)

2006年12月09日 | キャンプ
昨日の夜は10時に焚き火を終了して、寝る準備をした。もこもこになった格好で寝袋にもぐりこむ。頭までスッポリと寝袋に入ってようやく温かくなった。





翌朝。鳥の声で目を覚ます。ぬらしたタオルで顔を拭き、インスタントコーヒーを飲む。昨日の残りのご飯に水を入れて沸かし、永谷園をふりかけてサラサラとお茶漬けを食べる。そういえば、と昨晩焚き火で作った焼き芋があったことを思い出し、それも食べた。

食事が終わったぼくは片付けをパパッと済まして、キャンプサイトを後にし、直接オフィスへ向かったのであった。

こんなに何もしないキャンプはおそらく今回が初めてだろう。息抜きのためのキャンプである。ものすごい短いキャンプだったけれど、それでもかなり気分がリフレッシュされた。キャンプっていいぞー!と誰かに勧めたくなるような、そんな日だった。

Camp out @ Mt. Diablo (1)

2006年12月09日 | キャンプ
12月6日の水曜日、ぼくは朝からなんだかうずうずしていた。なんとなく気分が重い。最近仕事でずっと考えてることがあって少し疲れたのかもしれない。ぱっと外へ出て遊びたい。朝のコーヒーを啜っていると彼女が、今日一日くらい休んでカヤックでも漕いでおいでよ、と嬉しいことをゆってくれる。仕事にマジメな彼女がそういうのだ。ぼくのことをよく見ていてくれるのだな、と思った。

ぼくの仕事は研究職で時間にわりと自由が利く。研究が進みさえすればいつ仕事をしようとその人の勝手なのだ。これから始まってしまうカリフォルニアの雨季のことを思うと、今日の晴天は絶対に逃すべきじゃないとぼくの直感が訴える。そしてぼくはネットで今後の天気予報をチェックする。・・・晴れは今日と明日でおしまいじゃないか! そうと分かるとぼくはグズ男からデキる男に変身して、仕事を猛スピードで片付けた。決めた区切りまでをやり終えると、「知ったことか!」と一言心の中で捨て台詞を吐いてぼくはオフィスを出た。

オフィスを出たのが1:30。家に着くやいなやキャンプ道具を引っ張り出し、ビールにジン、ラーメンにリンゴ、研いだお米と水を入れたビンをデュッフェルバックに突っ込んで家を出る。はやく、はやく自然の中へ飛び出したい!

Mt. Diabloはイーストベイからさらに内陸へ向かったところにある標高1,137mの低山である。真夏の猛暑は有名で、乾いた内陸の空気と相まって山火事の発生率が高い。随分大きなパークなのだが、はずれた場所にあるせいかいつも人が少ない。しかしプロのレンジャーや多くのボランティア達がしっかり自然を守っている貴重な場所である。静かで、ぼく好みの山だ。今回なんて車で山を登る途中に自転車の人を一人見たくらいで、あとは終始ぼく一人であった。

途中レンジャーステーションで止まってお金を払う。さすがにこの時期だからだろう、レンジャーも見当たらない。封筒にお金を入れるシステムになっていた。今回は二つあるキャンプ地のうちの標高の低いほうを選ぶ。以前もキャンプした場所である。新しいキャンプ地もいいけれど、勝手が分かってるキャンプもまたいい。一通りサイトを見て回る。うーんどこもよさそうだ。ずっしりとしたキャンプテーブルと石を組んで作られたちょっと珍しいファイアーピットを見ると、ぼくは嬉しくなった。さっきまでの焦る気持ちはフッとぼくの中から逃げていった。無人の広いこのキャンプサイトで一人で夜を過ごすのだ。想像するだけでたまらなく嬉しい。




ぼくは並べた二つの段ボールに寝転がり、発泡スチロールの快適な枕に頭を乗せて本を読んだり、空を見たりして時間を潰した。ビールを二本飲んでジンに氷を入れた。徐々に寒くなるので、少しずつ服を着込む。だいぶ暗くなって文字が読みづらくなったところで本は終了。薪に火を入れ、ガスでご飯を炊いた。




さぶい(あたりまえです)。ご飯を火からおろして保温し、炊き上がったところで別の容器に移してふたをした。そのまま洗いもせず同じコッヘルでインスタントラーメンを作って食べ、残った汁にご飯を半分ぶちこんで、食べる。リンゴをタオルでごしごし拭いて焚き火の前でかじった。炭水化物ばかりでちょっと味気ないけれど、なにせ急いでいたのだからしょうがない。ジンが終わって、この間日本の食材店でゲットした泡盛に移行。

ちょっと酔っ払ってきて、ヘッドランプの光で再び本を読み出したら後ろで「かたっ」と音がした。いいとこだったので無視したのだが、ふたたび「かたっ」と音が鳴る。見ると(たぶん)アライグマがお米の入ったスチールの容器を手でいじってる。ぼくはびっくりして、「オイ」と声をかけたのだが、(たぶん)アライグマはそのままの姿勢でじっと僕を見返した。目測およそ70cm。いやもっと近いか、左手のすぐ先だ。逃げないのでぼくはさらにおどろき、「それはダメ」と自然の動物に向かってアホなことをしゃべって少し自己嫌悪しはじめたあたりでようやく(たぶん)アライグマはテーブルをおりたが、それでもぼくから6メートルくらいの位置でとまりぼくの様子を伺っている。




そのあともう一回同じようなやり取りをやった。この暗闇で一人で、平日だし寒いのだから、ぼくのほうもちょっと威勢がないというか、少しコワくなってきて、(アライグマに噛まれたらいたいかな?)などとドキドキしてしまったのは内緒である。しかし3度目にヤツがコソコソとテーブルに近づいたときにはぼくはある種の親近感を感じ始めた。(ラスカルって実話だったかな?)と思い出しながら、ちょっとぼくのほうから近づいてみた。奴は逃げ、また距離を保つ。

ハラが減ってるのか、かわいそうだなと思い、一時は本気でご飯を分けてあげようと思ったのだけれど、やはり自然の動物はあまり人間になれてしまっても不幸だろうとおもい止めておいた。

焚き火をいじって、ちょっと酔って本を読む。ぼくは幸せである。本が何かすごくおかしなことをゆってるような気がしてきて一人でクックッと笑っていたのもナイショである。一人キャンプではいろんなことがあるのだ。

Wednesday Night Paddling

2006年12月04日 | カヤック
11月29日水曜日の話です。

夕方、仕事を早く切り上げてオークランドのEstuary(入り江)に向かった。まだ5時を少し回ったところなのに日はもう随分傾いている。いつもお世話になっているカヤックのアウトフィッターに6時に到着。化繊の長袖を二枚重ね着して、パドリングジャケットを頭からスッポリかぶる。スプレースカート、ライフジャケット、パドルをがばっと手にとって、ぼくはボートのあるドックまで駆けて行った。

自分の乗りたいシーカヤックが見つからず、仕方がないので4mくらいのレクリエーショナルカヤックに乗ることにする。6時半、ショートツアー開始。もう真っ暗である。ニット帽の上につけたヘッドランプを点灯する。もっともそんなちっちゃなランプを点けたところで見えるものはフネのバウ(船首)とパドルと腕時計のパネルくらい。動力船に乗ってる人が少しでも我々の存在に気がついてくれるように、明かりを点けるのだ。

風は向かいの微風だけど、水面はほぼ完全な静水。こんなナイトパドリングは最高に気持ちがいい。5キロほど西へ漕いで、サンフランシスコ・ベイに出た。軽い湾のうねりを突然感じる。ぼくたちはベイ・ブリッジの付け根のすぐ近くにいて、みんなでサンフランシスコの街の方を眺めた。等間隔に光を発するブリッジの放物線がまっすぐにサンフランシスコの街の光の中へ溶けている。そんなはずはないのに街の光が眩しく見えたのは、冬の澄んだ空気のおかげだろう。光がまたたくのは遠くの星だけではないのだなと、ぼくは今日学んだ。

そのあとぼくたちは近くのブイまで漕いで寒くなるまで時間をつぶした後、同じルートを戻った。素晴らしいナイトパドリングだった。